6月に使った構築について振り返っていこうと思います。
テーマは「雨+レジスチル」で、突然流行り出したレジスチルを使ってみようと考えたことがきっかけです。
【レジスチルの理解】
使うにあたって、まずはレジスチルがどのようなポケモンかを整理する必要があるので、良い点と悪い点を挙げてみました。
[良い点]
・鉄壁+ド忘れによる両受け→ボディプレスでの一掃性能
・優秀な耐性と耐久値によるクッション性能
[悪い点]
・ゴーストへの打点がなく、選出や展開次第では極めて不利になる
・遂行が遅く孤立しやすい
・基本的に構築から独立した戦い方をするが故の難しさがある
・体力管理が難しい
私が以前から特に気になっていたのは「独立した戦い方をする」という点にあります。レジスチルは鋼タイプの特性を活かした受け出し以外には、自分以外のメンバーとシナジーのある行動ができません。自分の耐久を上げ、自分のボディプレスで相手を倒すことだけを考えて動きます。謂わば"一人で戦っている"ようなものです。これを理解していないと、
☆構築単位で向き合うべき問題点を解消しないまま6体目にレジスチルを採用することによって欠陥が埋まらない構築が誕生する
といった事態に陥りがちです。
悪い面から読み取れるレジスチルが負けてしまう主な原因は、構築単位でガンメタを張られている以外には、
・こちらの構築全体のパワーが弱く中々残数を減らせないため、スチルで相手をしなければならない相手の数が多い(TODにも不利)
・選出で出し負けてスチルが積む隙を中々作れない
などの理由が考えられます。
これを解消するために求められることは、
①パワーのある(一人で残数を減らせるという意味で)ポケモンの並びを採用
②スチルの体力を多めに保つ何らかの手段を用意する
③ダイマックス技のバフ(特にD)をかけることでスチルが積む際の負担を軽減する(積む隙を作る)
などが考えられます。
また、レジスチルが構築から独立した戦い方をするという難解な性質を持っているため、勝てるように構築を考えるにはこのまま孤立させるのではなく、逆にスチルの戦い方に寄せた構築方針にするべきです。
具体的には、上記の①〜③を用いて、
パワーのある初手で相手を減らす→先に倒れた方からスチルを出して積む→4体目を後発ダイマエースにして殴りながらスチルの積みのサポートをする(ダイアースを選択する)
といった試合展開を目指せば良いと考えました。これにスチルの体力を復活させる手段があれば盤石となります。
【構築の原型】
まずダイアースがタイプ一致で撃てる強力なポケモンとして、雨でスチルの炎弱点をカバーしながら高速でダイアースを叩き込める「すいすいガマゲロゲ」が挙げられます。ニョロトノと合わせて手助け+ストリームが撃てれば等倍のダイマアタッカーでも一撃で沈められるので、ニョロトノ+ガマゲロゲを構築のもう一つの軸に決定します。もう一つの軸を作ることによって、スチルを厳重に対策している構築に対して相手の炎や地面に強く出れるため、スチルを出さずに戦う場合も試合を有利に進めることができます。
次にダイマせずに動くアタッカーを2〜3体考えます。非ダイマ高火力アタッカーといえば、ダブルバトルをやっている人なら誰もが知っている「レジエレキ+ウーラオス」という信用のあるコンビが真っ先に思い浮かぶため、無難にこれを採用するのが良さそうです。特にレジエレキは、ここまで相手の水タイプの対処が重いこともあり、構築に噛み合っていると言えるので採用します。
しかし、これにウーラオスまで採用してしまうと、相手のフシギバナが猛烈に重いです。よって4体目はウーラオスではなく、気合の襷を持たせて対面性能を上げた「エースバーン」を採用しました。一般枠の中で技のカスタマイズ性が最も高く、襷を盾にした強気な攻めと対応範囲の広さを持ったコマとして動いてもらいます。
ここまでを整理すると、
先発: ゲロゲ・エレキ・エースから2体
後発: スチル確定 トノは場合による
の順に出して試合を進めるところまでが決まりました。攻めのコマ3体は攻撃すること自体がスチルの為にもなるという特徴を持つので、スチルとその他の関連性の乏しい構築にはなっていないと思います。
また、レジスチルはそのままでも耐久がとても高く最後まで立っていられることが多いため、終盤にニョロトノの滅びの歌で詰める展開とも相性がいいです。
ここまでで構築の骨組みから肉付けの段階まではあらかたまとまったので(耐久面は少し怪しいが)、最後の1体には美しさを求めたいところですが、その構築の装飾に最適なポケモンを発見してしまいました。
【タルップルの可能性】
6体目を考える前にスチルを使っていて苦しい時に挙げられる傾向の「体力管理が難しい」について触れていないので、そこに着目していきます。一般的にはレジスチルはこの体力問題を解決すべく、食べ残しを採用して守ると合わせて徐々に回復することでこれに回答しているものと思われます。軽く使ってみると確かに「食べ残し助かるな〜」と感じることが多くて納得しました。
しかし私はこれで満足できず、もっと回復したいと思いました。というのも、一度守って1/16の回復を得たところで盤面が解決していないケースが多かったからです。そこでレジスチルの技欄をチェックしたところ、自己再生の類はないものの、「眠る」を覚えることがわかりました。微弱な回復では盤面が解決しませんが、一瞬で全回復してしまえば(数ターン動かないとはいえ)流石に話が変わってきますからね。
しかし(2度目)、眠るは数ターン行動不能になるデメリットがあり、これもこれで使いづらいです。この難易度が高い技を採用するべきか否か数分迷った末に私は「採用」の選択をしました。
「えっ、じゃあ数ターン就寝問題どうするの…!?」
当然の疑問ですね。それならば…
ーー起こします。ーー
味方の状態異常を治す手段を調べてみると…
・アロマセラピーや癒しの鈴(変化技)
・目覚ましビンタ(味方攻撃技)
・巨大甘露(相手攻撃技)
があることが分かりました。変化技や味方攻撃技はスチルを起こす以上の意味を見出せず、方法としては効率が悪いです。特に目覚ましビンタは手段が乱暴で、就寝を命じられた直後に張り倒されて叩き起こされるのは理不尽な気がするので却下。
よって最後に採用するのは敵を攻撃しながらスチルを起こせる巨大甘露の使い手タルップルです。元々行動順もスチル→タルップルなので、就寝→起床の流れがスムーズになります。怠惰な兄を起こす妹のように、タルップルには「レジスチルを起こす役」として存在してもらいますが、唯一の地面技の十万馬力を入れることでダイアースの媒体になり、ガマゲロゲと同じくなるべくド忘れを使わせないような立ち回りもできます。
乱暴に起こす阿良々木兄妹ではなく、
優しく起こしてくれそうな司馬兄妹
の方が平和でいいと思います。敵の攻撃を受け続けた兄レジスチルが疲れからか眠りにつき、妹タルップルが作るリンゴタルトの香りで目を覚ます。とても美しい光景ですね!!
嘘です。絵面は美しくないです… やってることただの陰キャじゃねぇか!!
でもコンボとしては美しいと思います。多分今まで誰もやったことないんじゃないかな?
【個体解説】
性格:穏やか
持ち物:バンジの実
技:手助け・守る・熱湯・滅びの歌
配分:HB 陽気252鉢巻ウーラの強打確定耐え
陽気252玉ドラパの130攻撃耐え
余りはD
特に解説する必要もないいつものニョロトノです。滅びの歌での詰めがスチルやタルップルの生命力と相性がいいです。
性格:意地っ張り
持ち物:命の玉
配分:189(68)-161(252)-97(12)-*-98(20)-114(156)
H 10n-1
A 火力不足により振り切り
B ダイマ時陽気252鉢巻ウオノラゴンのエラ噛みを確定耐え
D Bの調整に対してDL対策の+1
S 準速テッカグヤ抜き
すいすいエースは特殊型であるという固定観念を逆手に取った物理型。バークアウトや怪電波、ダイアースなど様々な工夫を凝らしてくる相手を嘲笑うことができます。
手助け雨ストリームでダイマしたチョッキボルトロスをワンパン、瞑想後のカプレヒレにもソウゲンで大ダメージを与えます。特にソウゲンはグラスフィールドを張ることでスチルを更に回復し、地震のダメージも軽減、ミストフィールドを解除して眠れるようにするなど、利点が多いです。
相手のゴリランダーやフシギバナが来るとてんで使い物にならなくなることが殆どですが、それを逆用して場にゴリランダーを釣り出し、上手くスチルを出して有利対面に変え、鉄壁を積む隙を作るという立ち回りはしていました。
レジエレキ
性格:臆病
持ち物:拘り眼鏡
技:10万ボルト・雷・ボルトチェンジ・エレキネット
配分:CS252D4
仕事はただ殴るだけ、とまでは言えませんが、基本的にボルトチェンジか雨雷を選択するのが最強な気がします。ガマゲロゲと並べてボルトチェンジ→ニョロトノからのダイストリームが天候合戦において基本的かつ強力な動きとなり
ます。(フシギバナにはそもそも不利なのでこれは成立しません)
S操作手段としてエレキネットを選択しなければならない場面もあるので、そこの見極めが地味に重要だったりします。
エースバーン
性格:陽気
持ち物:気合の襷
技:火炎ボール・不意打ち・飛び膝蹴り・ダストシュート
配分:AS252D4
草タイプを倒せる貴重なアタッカーなので、このポケモンが火炎ボールを命中させることが極めて重要です。不意打ち以外の全ての技を外しまくりましたが、草に対して外した記憶は特にないのでそこは感謝。
最大火力かつ通りのいい飛び膝は当然採用、フェアリーを迅速に処理できるダストシュートが非常に重宝しました。不意打ちも謎に警戒させなくて使い得でした。
レジスチル(兄)
性格:図太い
持ち物:食べ残し
技:鉄壁・ド忘れ・ボディプレス・眠る
配分:187(252)-*-201(100)-*-190(156)-70
H サマヨール意識の振り切り
B 特化カミツルギの聖剣を回復込み2発耐え
D 余り
散々語り尽くしてきましたが、サマヨールとの関係性を補足します。通常スチルは有効打がない(あっても変わらんが)理由から、固定ダメージで削ってくるサマヨールを始めとしたゴーストに勝てません。
しかし、眠るスチルなら死ぬ寸前に眠るで全回復すればTODでサマヨールには勝つことができます。サマヨに痛み分けがあっても回復が追いつくので勝てるのですが、この時に気をつけなければならないのは総合時間切れ最終ターンで眠るを使える状態にあること。これができないと体力判定で負けてしまいます。
そして、無事回復できた場合、最後には相手のナイトヘッドが一発入った分+1/16の体力で試合が終了しますが、その時のHP実数値は148。一方でサマヨールの最大HPは147。お分かりでしょうか?この判定勝ちは"こちらが残飯所持+H252振りでなければなし得ないギリギリの判定勝ち"なのです。以上の理由により、眠るレジスチルは確実にこの調整にしなければなりません。
タルップル(妹)
特性:熟成
性格:呑気
持ち物:オボンの実
技:リンゴ酸・十万馬力・宿木の種・自己再生
配分: てきとー
ボックスにいた個体をそのまま使用したのですが、使い終わった後に配分チェックしたらHP4nになってないわA妥協してるわ努力値12余ってるわ散々でした…
その有様でさえ選出した時は活躍してくれたので、このポケモンのポテンシャルの高さが伝わってきました。1年ほど前に別の方が使っていたタルップルは鉄壁プレス型でしたが、私の型は馬力を採用している以上技スペースが圧迫されているのと、何かこの構築でこいつまでそれやったところで微妙だな〜という感覚があったので、不利ではない相性の相手に対して単体で詰ませる能力のある宿木再生リンゴ酸型にしました。
特性の熟成は木の実の効果を2倍に引き上げる能力です。なのでオボンが発動するとカビゴンと同じ回復の仕方をします。半減実を持たせると効果が1/4になります。ダイマした時の場持ちの良さを考えてオボンの実を持たせましたが、ダイマタルップルの硬さははっきり言って異常でした。(不一致なら氷技も軽々と耐え、レヒレのムーンフォースが1/4程度しか入らなかった)
熟成以外の特性である食いしん坊や厚い脂肪も型によっては十分採用の余地があると思うので、今後もゆっくり開拓を進めていきたいです。
(特性熟成ってなんかジョイマンみたいですね)
ナナナナ〜 ナナナナ〜
ななっぷる タルップル !!
ななっぷる〜 タルップル〜
特性 熟成 !!
みたいな? はいすいません!
【選出】
・スチルが出せる場合
先発:ゲロゲ・エレキ・エースから2人選択
又はトノゲロゲ
後発:スチル・タルップル
・スチルが出せない場合
①
先発:ゲロゲ・エースorエレキ
後発:トノ・何か
②
先発:トノ・ゲロゲ
後発:エレキ・エース
【成績】
てるチャレ10 ベスト4 (予選5-2で個人戦でも抜けの勝率)
【感想】
欠点を反省するなら、草が重すぎました。ゴリランダーが来るだけでゲロゲが何もできないのが苦しかったです。後は意図せずして相手のランドロスが重くなってしまい、とても大変でした。(雨使いは比較的ランドを倒しやすいという感覚があり、恐怖心が少ないという点からこのポケモンを軽視しがちな傾向にあると見ています。)
レジスチルは私が使った頃には対策が進んでおり、当たった人にはゴリゴリにメタられたという印象です。某トッププレイヤーの方はスチルが舐められがちと仰っていましたが、私の周りでは全くそんなことはなかったので、そこで認識のズレを感じました。当たり運の問題などもあるのでどちらが正しいとかいうわけではないです。レジスチルの対策度合に比例してタルップルの選出率が変動するので、選出できない時はとことんできないといった感じです。
使っていた感想は、異質な見た目で攻撃的なプレイと搦め手を使い分けられるとてもお洒落な構築にできたな、というものでした。タルップルで相手を圧倒した時、甘露コンボが決まった時の爽快感は異常です(生粋の陰キャなので)。てるチャレのリザルトに載る好成績も収められたので、安心して供養することができます。今後もこのような私の目指す美しい構築像を体現できる構築を作っていきたいと思います。