巨剣ラムダ

ポケパラ〜ケビンオフまでに使用した構築です。結構強かったので記念に残しておきます。

最終的に今年度の振り返りみたいになってます。

構築経緯

 レギュD〜Eにかけて、トルネロス+水ウーラオスの並びが台頭した。この並びに対して甘えた選出・行動をとると、一瞬でゲームが終わって負けてしまう。そのため、まずはトルネウーラの両者を黙らせることのできる並びを模索しようと考えた。

 ペリッパーとイダイトウの並びは、タイプ的に一見トルネウーラに有利なのだが、雨で強化してしまった水流連打と必中の木枯嵐のゴリ押しで、意外と不利になってしまう。テラスタルした水流連打が冗談抜きでペリイトウに半分以上入るのははっきり言って異常だ。そのため、ずっと使い続けてきたBに振ったペリイトウは引き続き軸にしつつ、+αでトルネウーラの行動を縛れるポケモンが欲しい。もっと言うと、ペリイトウと連動して強い行動ができるポケモンならなお良い。 

 

 

 トルネウーラに一貫するタイプは電気しかない。そのため、電気タイプの全体技が使えて、かつトルネウーラより早く動けるポケモンを条件に探した。

まず、電気タイプの全体技は、[放電・エレキネット・パラボラチャージ・雷嵐]がある。これらを使えるポケモンでトルネウーラの上から行動できるのは、レジエレキ・スカーフ霊獣ボルトロス・スカーフタイカイデン・(トリル下の)ハラバリーがいる。この中で、霊獣ボルトは雷嵐の命中率が低いため安定せず不採用、タイカイデンは風力電気が魅力なのだがあまりにも耐久が低く信用できず不採用、ハラバリーはトリル下パラボラチャージができる状況を作るまでにボコボコにされて終わるので断念した。よって、残ったレジエレキを採用。倍率が低下したとはいえ、トランジスタエレキネットの火力は眼鏡を持つとウーラを一撃で仕留めるほどの威力が出る。スカーフウーラまで縛る電気アタッカーという点でも、レジエレキは速すぎて持ち物なしでスカーフウーラを抜いているため、火力アップアイテムを持たせる余地がある(霊獣ボルトはスカーフを持たないとスカーフウーラを抜けないため、持ち物で火力を上げられない)  加えて、「レジエレキのボルトチェンジペリッパーに引いてイダイトウを動かす」という連携もできる。このように、求める条件を全て満たしているため、レジエレキを使うことに決めた。

 

 

 追い風されるとエレキでも抜かれてしまうため、当然こちらもトルネロスを採用する。トルネ自身も相手のトルネウーラに木枯嵐で致命傷を与えられるし、トルネロス+レジエレキの並びは後述する様々な強いゲームプランを作れる。そもそも私のトルネロスに対する評価は高く、どれだけ上手くトルネを扱えるかでこの環境の追い風構築の勝率は決まっていると言っても過言ではない。その点、この軸は必中で木枯を撃てるだけではなく、相手がイトウやエレキというアタッカーに気を取られてトルネの対応を疎かにしがちなので、トルネを強く使うことにおいても悪くなさそうである。

 

 

 軸が決まったところで、残りは補完&エレキを出しにくい時の裏エースとなるアタッカーで埋める。エレキを出すと苦しくなる草・電気・地面・ドラゴンタイプのアタッカーに強く(トルネだけではカバーしきれないため)、これらのタイプに弱点を突け、または半減以下で受けることのできるアタッカーが候補に上がる。そこで今回は、タイプ的な条件を満たしていて、なおかつ極めて対面採用が高い玉セグレイブを採用した。

 

 

 残る補完のポケモンは、草への耐性がついて打点として欲しかった草タイプを採用しようと考えたが、相手のトリルに対する処理能力のある草タイプにしたい。今のメンバーだとトリルされると普通に苦しいからだ。採用にあたって、

①トリルを張り返す

②トリル下で暴れる

③汎用的な草タイプでトリル適性の高いものを使う

 

のいずれかの方針があるかと思うが、全て試した末に③に落ち着いた。

 まず①は、選出の幅が狭まるので難しい。ポケパラ直前まで試していたのが、私のシンボルポケモンの1匹で有名なオーロット(セグレイブとの相性を考えるとヤバソチャより良い)だが、試合中に置物になりがちなのと、去年の構築のようにチーム全体で連携できない(オーロットを活かせる選出とプレイが見出せない)ため没に。オーロットを出す時が完全にトリパと戦う時だけになってしまっていたのが、実質5体で戦っていて厳しかった。

 ②は、主にラランテスを試していた。この方針で使う条件は、相手のトリルエースに対面で負けないことだが、ラランテスはそれを満たしていたからだ。トリルを張られる前に馬鹿力を撃ってABを上げておくと、カイナガチグマあたりとの撃ち合いに滅法強くなる。加えて、急所の期待込みで強いリーフブレードサマヨールにとても有効なはたき落とす、相手の草やエスパーに撃てて回復もできる吸血など、いい技が揃っている。炎テラスにすることで、コータスと鬼火にも耐性がつく。しかし、結局このポケモンも使わず終いだった。その理由は、ポケパラ本戦がすぐそこにあって上手くプレイングをまとめられる自信がなかったことと、やはりラランテスを出せる試合が限られてしまい、選出の引き出しが少ないことが気になったためである。

 ③は、私も世間もよく知っている分かりやすく強いとされるポケモンなので、使用するハードルは高くなかった。モロバレルよりはゴリランダー(アラブルタケも試してよかったかもしれない)かなと思って試してみたら、当然無難に強かった。猫騙しでトリルターンのテンポを遅らせたり、トリルパのパターンの一つであるイエアルマのフィールドを塗り替えられる(ペリと合わせれば盤石)点が強力だ。地面技があるからヒードランが来ても止まらないのも偉いし、何よりトリパ以外のどの構築に出しても一定以上の働きをしてくれる。その文句なしの有能さから、最後のピースの草ポケモンはゴリランダーに決定した。

 

 

 

この6体で最終調整しつつ、ポケパラへ。

 

 

 

コンセプト・立ち回り

 

・イダイトウ&レジエレキorセグレイブをエースに高火力を押しつけ、高圧的な対面を維持して勝つ。

トルネロスを強く使う(木枯の試行回数を稼ぐ&なるべく外さない)

 

 

選出の幅、攻めの選択肢(および攻撃範囲)が広いことがこの構築の魅力だと考える。主な攻撃パターンをまとめてみよう。

 

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1.追い風エレキボールor追い風エレキネット→ネット木枯orペリ引き木枯

オーバーキルエレキボールor雑に削りを入れてから更に同じことをするかエレキを引いて必中木枯しでエレキだけ温存する。

2.ボルチェン→ペリ引き木枯→手助け木枯

電気弱点の相手が守ってきそうな時に、確実に通る方にボルチェンしてペリに引きながら必中木枯。相手の出方が分からない序盤において、強力な様子見(かつまあまあの攻めにもなる)の一手である。こうやって様子見する間に相手の受けテラスを誘発することもある。ペリとトルネが並んだら手助け木枯で更に押し込む。

3.ペリイトウで攻撃→エレキでスイープ

逆に初手を雨にしてイトウで殴りつつ、誘発しがちな相手の水テラスに対して後発エレキをぶつける。この場合ノーリスクで雷を撃てるので最強のエレキが爆誕。草タイプで受けられそうなところには暴風や木枯をぶち込めるため、やはり攻撃の範囲が広い。

 

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1.追い風巨剣突撃or木枯巨剣突撃

氷柱落としでも同じだが、S操作+玉セグレイブの攻撃は、相手のスタンダードパーティに対して絶大な強さを誇る。例えば、レギュEから台頭したトドロクツキ軸スタンは、(ハバタクカミ以外で)氷とドラゴンの一貫を全く切れておらず、序盤から崩しに行くことでアドバンテージを稼げる。特に、トドロクツキは相手の攻撃の要となるポケモンだが、これが試合中あまり攻撃する余裕のないトルネロスに弱いという特徴がある。凍える風や木枯のSダウンなどで足を奪われると厳しいからだ。それを活かして終始有利な状況を作って勝ちに持っていく。

2.凍える風氷柱落とし→追い風巨剣突撃

追い風トルネミラーで行うことの多い立ち回りがこれ。追い風ミラーは、トルネロスを早めに倒す&追い風ターンを意図的にずらすことで長期的に試合を有利に進めることがセオリーだ。例えば相手の初手がトルネ+ハバタクカミだとして、セグレイブに毒テラスタルを使ってムーンフォースを耐えながら、凍える風で足を奪い、集中でトルネを落とす。そして、2ターン目に後攻追い風を使うことで、遅くなったハバカミをセグで縛ることができるというわけだ。持ち物やテラスタル、数値の高さが成せる業である。

 

(oror)

 

1.ボルチェン→ペリ引きウェーブタックル

エレキのボルチェンにより相手を削りながら確実に1体持っていく動き。盤面にある択にあまり左右されず強い。エレキが睨みを効かせているため、イトウの水技を受けるための水テラスが切り辛くなっている。交換や悪戯心による天候操作の後から行動するため、天候の取り合いに勝てる動きでもある。

 

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1.手助けウェブタ→ゴリラ引き→先制技集中

トリルパに対する出し方がこれ。猫騙しによる妨害をされないイトウでトリル始動役を初手から消しに行く。この指などで吸われてトリルを張られる場合は、諦めて適当に加減してイエッサンを倒さないようにしながらゴリラに引いて猫騙しを撃ったりして時間を稼ぐ。テラスで耐えられそうな場合は、滝登りと暴風に切り替えて怯みや混乱の運要素を押しつける。中盤以降は、イトウゴリラセグの先制技でトリルエースを殴れるなら積極的にそうする。そうでなければ守るなりペリに鋼テラスを使って無理やり反撃したりして時間を稼ぐ。

 

 

主にこのような動きによって試合を進めていく。

 

 

個体紹介

 「なぜその型が強いか」を重視して説明しようと思う。また、配信に映る機会が多かったので、確ニックネームの由来についても触れる。

 

ペリッパー 

(NN.そうじん)

特性:あめふらし
性格:ずぶとい
持ち物:ゴツゴツメット
テラス:はがね
実数値:165(236)-63-156(172+)-123(60)-93(20)-88(20)
技:ぼうふう / ハイドロポンプ / てだすけ / ワイドガード

調整:

B:陽気パオジアンの氷柱落としを最大乱数切り2耐え2.7%
 意地パオジアンの地獄突きを低乱数2耐え18.7%
 陽気水ウーラの水テラ雨水流を2耐え
D:臆病252ハバタクカミのテラ妖ムンフォが低乱数1 25.0%

   特化眼鏡サーフゴーのシャドーボールが低乱数1  37.5%
 C154までのトルネロスの木枯嵐(ダブルダメ)を2耐え
S:少しSに振った60族(ニンフィアヌメルゴンなど)を余裕もって抜けそうなライン
 無振り70族(チオンジェン)と同速(もう少し上げてもよかった?)

 

 最早記事を書くごとに説明するのも面倒なことだが、これがペリッパーの最強の型である。水ウーラオスやパオジアン、ゴリランダーと撃ち合うにあたってHBにしない理由がないし、水流連打を食らうのにゴツメにしない理由はない(オボンは強そうだと思うが)

  テラスタイプは、本来抜群から等倍にかけて受けるほとんどのタイプを半減できる鋼。パオカイやカミツツミ、ガチグマやカイナなど、あらゆる相手の前で行動保証がつく

 味方の火力補助技として必須な手助け(これがあるとペリイトウは完全に猫騙しの択を拒否できる)と、強い範囲技が飛び交う中で刺さるワイドガードが強い。攻撃技は、暴風は無論のこと、ハイドロポンプが必須だ。ハイドロを入れていない弱いペリッパーをチラホラ見かけるが、本来の役割対象の水弱点相手に対して即処理しにいけないのがあまりにも弱すぎるため、ハイドロを切るのは考察不足以外の何者でもない。

 倒されそうなところor倒されるかは分からないが、ペリが確実に動けることでゲームが有利になるところでテラスを切り、攻撃していくのがポイント。暴風混乱でズルする時もある(最高)が、とにかく堅実に動かしていく意識が必要。相手をワンパンすることにこだわる必要はない。

 「NN.そうじん」の由来は、三国志演義の魏(曹操陣営)の武将、曹仁から。曹操の身内の1人で、飛び抜けた武力はないが、堅実な立ち回りで安定した成果を残す。旗揚げから曹操軍を支える最古参のこの武将が、このペリッパーを表すのに最適なので命名した。

 

イダイトウ(オス)

NN.てんい

特性:すいすい
性格:いじっぱり
持ち物:こだわりハチマキ
テラス:みず
実数値:212(132)-150(36+)-115(236)-90-96(4)-111(100)
技:アクアジェット / たきのぼり / おはかまいり / ウェーブタックル

調整:

A:最低限足りそうなところまで(感覚だがA4→A36にしたことで気になるミリ耐えは消えた)

B:
A特化プレート水ウーラオスの雨水流連打をほぼ2耐え
アイテムなしで確定2耐え
A特化パオジアンの不意打ち耐え
A200までのテツノカイナのワイルドボルトを確定耐え
A特化ゴリランダーのグラススライダーを玉でも最高乱数切り耐え
特化オーガポンのウッドホーン耐え
水テラス時特化悪ウーラオスの不意打ちを余裕の2耐え
S:最速スカーフシャリタツ抜き(準速スカーフウーラに抜かれていたことに気づいたが、特にそれで負けることもなかったし調整カツカツで修正する余裕もないので許容した)

 

 このイダイトウの強みは、上記の調整のように、相手の物理アタッカーが倒すつもりで放った抜群攻撃を耐えて想定を崩す点にある。ただ、発想の原点は「滝登りを使って怯ませながら戦いたい」にあり、HBベースで回そうと思ったのは後付け。

 イトウはバランスよく高いステータスをしていて、このように弱点を耐える余地がある。しかし、既存のイトウの型はウェーブタックルを主砲としていたので、反動で耐久調整が崩れて意味をなさないのが弱みだった。お墓参りは終盤でこそ強力だが、序盤で火力を出せず、序盤からイトウを使うにはどうしてもウェブタを押さなければならない。そして、1体倒せたはいいものの、返しのもう片方の相手の攻撃で倒されてしまい、1-1交換になりがちだ。これではフローゼルと大して変わらないので、反動を受けずに大体の攻撃は耐えるイダイトウを考案しようと8月辺りから模索していた。そこで誕生したのが、第二の水技・滝登りを使うイトウ。高速で20%の怯みを常に押しつけるため、普通の攻防の先に上振れがついてくる。この上振れは最近私がテーマにしていた勝ち方なので、これは実現できているいい型だなと思った。ほとんどの物理攻撃を耐えるためには、やはりBにガッツリ振らないといけないため、ASはやや落とし気味にしてHBベースに。このままでは火力がなくて弱いので、水技を複数採用することもあり持ち物は鉢巻にした。耐える攻撃の中で最も重要なのは、カイナのワイルドボルト。イトウが耐えてくれるからこそ、この構築はカイナが重くない。9月のDEXオフでこのHBペリイトウ(とカミユイのアグロ)を使用してbest4になり、翌日のてるチャレでもbest16、ポケパラ権を獲得したことで、その強さが実証できた。

 「NN.てんい」の由来は、三国志演義に登場する魏の武将、典韋から。夏侯惇経由で曹操に登用された古参の猛将で、曹操ボディガードを務めた。部下の反乱の際、酔って武器を奪われたため丸腰で奮闘し、数百の矢を身体に浴びながらも暴れ回り絶命。そのパワーと鬼耐久から、このイダイトウに相応しいNNだと考え命名した。

 

ゴリランダー

NN.ガオコング

特性:グラスメイカ
性格:いじっぱり
持ち物:とつげきチョッキ
テラス:ほのお
実数値:181(44)-189(212+)-111(4)-72-121(244)-106(4)
技:グラススライダー / 10まんばりき / ウッドハンマー / ねこだまし

調整:特に意図なし。何となくADベースが強いよな〜と考えていたら友達がそれっぽい配分をくれた。剣盾時代から活躍する個体。

 

 本体性能は周知のことだが、トリル展開に対する立ち回りの強さがこの構築でのポイントになる。特に重要なのは猫騙しとグラスフィールドだ。例えば、トリル始動役にエレキイトウで圧をかけてテラスを切らせた後、ガチグマが着地して根性が発動してないターンにあと投げ、次のターンはゴーストテラス出来なくなったところに猫騙しが通り、その次のターンはウッドハンマーで倒しに行けるため注意を引く。他には、イエアルマコータスに対して、雨とグラスフィールドで相手のフィールドを全て奪うことで弱体化し、猫騙しも撃てるようになる。テツノカイナにも比較的強い。炎テラスにすることで、コータスヒードランの前で動いたり、パオジアンと撃ち合ったりできる。これらの強みをそのまま実践し、何度も勝利に貢献してくれたので、神ポケモンと言わざるをえない。

 「NN.ガオコング」の由来は、百獣戦隊ガオレンジャーに登場するパワーアニマル、ガオコングから。

赤がガオコング、緑がガオゴリラ。ゴリランダーは緑色なのでガオゴリラとしていた(別の個体は今もそう)が、炎テラスにより身体が赤くなるため、ガオコングが妥当だろうと考えて命名

 

レジエレキ 

NN.メーザーほう

特性:トランジスタ
性格:ひかえめ
持ち物:こだわりメガネ
テラス:はがね
実数値:156(4)-108-79(68)-165(236+)-71(4)-245(196)
技:エレキネット / ボルトチェンジ / エレキボール / かみなり

調整:

B:A特化水ウーラオスのプレート雨水テラスアクアジェットが低乱数1発31.2%(最低限妥協できる乱数)

特化パオジアンの不意打ち耐え
S:最速スカーフウーラオス抜き(最速スカーフとマッチしすぎたので仕方なく)

 

 構築の出発点となるアタッカー。全てを破壊する勢いで攻撃するだけでなく、S操作やボルチェンによる偵察も行える。

 弱点は先制技に弱い点なので、環境に飛び交うほとんどの先制技を耐えるようにした。パオジアンや悪ウーラの不意打ちや水ウーラのフルパワーアクジェは普通に耐えるようにし、神速やグラスラは鋼テラスにより耐える。初手パオカイでは神速不意打ちの集中をかけてくるため、イトウに引いて透かしながら木枯かこご風で削る動きが強い。これにより弱点を克服した眼鏡レジエレキで、ガンガン攻めていけるのが理想だ。

 「NN.メーザーほう」の由来は、ONE PIECEの登場人物、四皇ビッグ・マムの技の1つの「メーザー砲」から。

形状がどことなくレジエレキに似てる気がするんだよなぁと前から思っていたので命名。元々超電磁砲(レールガン)っぽいキャラデザのポケモンではあるので方向性は間違ってないはず。

 

トルネロス(けしん)

NN.はたの

特性:いたずらごころ
性格:おくびょう
持ち物:きあいのタスキ
テラス:ゴースト
実数値:155(4)-121-90-177(252)-100-179(252+)
技:こごえるかぜ / おいかぜ / まもる / こがらしあらし

調整:最速CS特化

 

 多くの構築にとってゲームメイクの要となるポケモンだが、私はトルネロスの攻撃性能を重視している。そのため、ミラーにも強く確実な行動保証があり、アタッカーとして最大限力を発揮できるCS襷型が強いと考えた。パオの前でも1度動かせるし、カイナのワイボを反動ダメージを最大にしながら耐えるため、本来苦手な相手も苦手ではないという気持ちで動かせる。

 技構成で木枯の次に重要なのは守る。行動保証がつくのは襷が前提になるため、猫騙し択など怪しい場面では丁寧に守らせてから動かす。

 ゴリラ、オーガポン、バレル、ウーラなど、上位&雨に強めのポケモンたちに対して木枯が抜群で入り、雨天では必中のため、雨+トルネロスの相性は(弱点が被っていても)とても良い。なお、HBペリイトウ+CSトルネの並びは、DEXオフの時から使っていた。エレキも雷を必中で使えることもあり、本構築が最もトルネエレキを強く使えると言えるだろう。

 「NN.はたの」の由来は、淫夢ファミリーの1人、HTNから。

「風神HTN」の異名からトルネとの関連性を見出して命名

トルネの項にさしかかって「あ、これHTNの説明もしなきゃいけない流れじゃん…」と失敗したなの顔になってしまったが、既に4体説明しておいてコイツだけ省くのも不自然なので渋々記載。

淫夢厨でほんとすいませんでした……何なら一緒にHOMEから連れてきたボルトランドにもDBとTDNって名付けてます。ごめんなさい。

分からない人は分からないのが1番なのでとっととスルーしよう。

 

セグレイブ

NN.グレイグ

特性:ねつこうかん
性格:いじっぱり
持ち物:いのちのたま
テラス:どく
実数値:219(228)-214(236+)-113(4)-85-107(4)-112(36)
技:きょけんとつげき / つららおとし / こおりのつぶて / まもる

調整:HAベース(BD両方高めたいためH振り)でSは最低限抜きたい相手に合わせて調整

B:毒テラス時水ウーラオスのプレート水テラ雨水流連打(災い)を最高乱数切り耐え

S:追い風下準速スカーフウーラ抜き

 

 第二のエース。水、電気、飛行の範囲で突破できないドラゴンに強いのが良い。テラスは格闘とフェアリーを半減してカミとカイナに強く出れる毒で、序盤から積極的に使うことが多い。

 スタンパに無類の強さを発揮する追い風セグレイブだが、追い風ミラーになった時に相手の高速アタッカーと対峙すると、自身の中速が目立つ。素早さを上げたところで相手の高速アタッカーとの試合を有利に進められるわけでもなく、HA〜AS間の抜ける範囲にいる相手も微妙なところなので、Sに振るメリットはないと言える。故にHAベースに調整している。

 技構成で注目すべきなのは氷の礫。地面技を採用せず礫を採用する理由は、地面打点がなくても他で鋼を処理しやすいのもあるが、終盤の詰めで有効に働くことが多いことが第一にある。例えば、トドロクツキスタンとの戦いで初手からセグを投げるが、相手がツキを終盤に温存していた場合。事前のカイナとの戦いで消耗すると、体力がはたき落とす圏内に入ってしまう。ここでセグを守らせたり引いたりして温存しながら、トルネやペリで削っておけば、再びセグがツキと対峙した時に玉礫で縛ることができる。他には、パオジアンとの戦いで消耗した後に出てきたゴリランダーも倒したいが、体力的にグラスラで縛られてしまう時に、死に際に礫で削りを入れておけば裏のペリの暴風で倒せる圏内に入る。このように、礫が活きる場面が多いため採用している。巨剣突撃は崩し用の大技として、氷柱落としは怯ませる上振れ技(イカサマダイス持ちではないので氷柱針だと不安定)として強い。

 NN.グレイグの由来は、ドラクエXIの最後の仲間、デルカダールの将軍グレイグから。

体格がよく体力と攻撃力に優れていて、武器も大剣(巨剣)を装備できる。このようにセグレイブと似ているので命名

 

選出

 

基本

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or

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(@1)

 

 選出パターンの基準として、相手が初手に出してくる可能性の高い&出された時にマークしてないと構築が半壊する相手に合わせてトルネの相方を選んでいることが多い。例えば、サーフゴーがいる場合はレジエレキを、カエールパではハバタクカミが来る可能性が高いからセグレイブを、といった具合だ。追い風が必要なかったり、木枯の通りがそこまででもない場合は、ペリイトウからスタートして通りの良い補完を裏に置く。

 

対パオカイ

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 一刻も早くカイリューを葬らないとヤバいことになるので、命懸けで巨剣突撃を放つ。パオカイを温存されてゴリラから来られた時も大体これで有利になるので頑張るしかない。テラスはペリに使って半減しながら何とかする。死ぬほどキツい。

 

対天候パ

(@1)

 エレキのボルチェンで天候を取りながら攻めれる構えをするが、必ずしもその動きに固執せずに状況を見て最適な動きをする。よほど面倒な相手ではない限り大体有利になる。

 

対トリルパ

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or

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 雨で相手のトリル始動役を初手から狙いに行く。倒せなそうなら早めにゴリラに引くか切り捨てるかして、裏で何とかする。ゴリラで時間を潰せるのと、高耐久で守るを使えるセグで終盤捲れるのを活かして打開するしかない。また、選出の3/4が先制技持ちなため、相手のアタッカーに集中や手助けをかけて対抗するのも有効な手だろう。

 エレキボールで誰か倒せそうな場合は、エレキイトウから入ってエレキボ+水テラウェブタ。対面が苦しくなったら裏のペリとゴリラをクッションに修正する。

 

対寿司

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 エレキで初手ヘイラッシャにプレッシャーをかけることで、相手は高確率で守ってくるため、隣にボルチェンを撃ってペリ引きながら必中木枯を撃つと上手くいく。しかし、それも結局択で、初手から合体されて突っ張られたらボルチェンが透かされてエレキが出落ちしてしまう。そのため、相手が初手合体する可能性の高さによって動きを変える。

 合体する場合、例えばパオジアンのような高速アタッカーとヘイラッシャが並んだ時。ラッシャよりパオの方が脅威に感じていると相手視点では考えるし、ボルチェンでなくともエレキネット→木枯でパオが倒されてしまうので、襷を温存してスイーパーとして使うためにも1度引いて合体し、ラッシャにテラスを切って強引に耐えながら攻める方がよい。このような場合は即合体ルートを視野に入れ、こちらもエレキをボルチェンせず即ペリに引き、木枯から入る。そうすることで特に裏目なくゲームを進めることができる。

 合体しない場合、例えばキラフロルと出してきた時。毒寿司とは序盤に毒や欠伸をを撒く運用が基本になるので、即合体はしてこない傾向にある。加えて、フロルがパワージェムでトルネを、大地の力でエレキを倒せる点も、フロルを居座らせたい理由に拍車をかけている。この場合は即合体は100ないと割り切り、フロルにボルチェン木枯集中から入る。硬すぎて落とせなかったとしても、エレキに大地から入ってくることがほとんどなのでペリで透かせるし、最悪ジェムを撃たれていてもトルネは襷なので生き残る。 

 いずれにせよ、合体したら木枯と暴風を連打して追加効果の確率を押しつけていく。相手がテラスを切ったらイトウの滝登りで怯みを狙う。雷麻痺もある。あらゆる確率を総動員して上振れを狙い、楽にヘイラッシャを突破しよう。シャリタツが出てきた後もイトウやエレキの方が早いため、後続の相手をそのまま縛ることが可能だ。

 

対壁構築

or()

  猫騙しでオーロンゲを止めながら大技で突破しに行くことで壁展開を防ぐか積みエースに致命傷を与える。出オチか片壁だけ張って退場で済ませるようにロンゲから狙っていくのがポイント。その猫騙しに合わせてゴーストテラスされると萎えるのでやめていただきたい。

重いポケモン

 

・パオカイゴリラ(オーガポン)

 

 先制技で死んでいくパーティなので、当然ゲロを吐くほどキツい。神速、不意打ち、グラスラそれぞれ1回ずつなら耐えるよう工夫しているが、重ねられたり連続で撃たれると無理。個人的にこいつらがこのゲームの癌だと思っている。サイドチェンジとかじゃなくてね。

 

・ドドゲザン

 

 こいつにどうやって勝つの選手権第2位。チョッキなら爆発的な火力がないので細かい攻防の末に勝てるのだが、黒い眼鏡剣舞不意打ち型は人生終了レベルで無理。ただでさえ不意打ちが受からないだけでなく、このパーティのコンセプト上木枯を連打しなければならないので、ドドゲに当たるとSが下がって負けん気が発動して詰むため、順当に降参ボタンに手が伸びる。

 

・壁ヌメルゴン

 

 こいつにどうやって勝つの選手権堂々の1位。基本的に突破手段がない。唯一の方法が、ゴリラセグから入って猫で壁を止めながら巨剣をぶっ放すヌメルゴンが赤ゲージまで削れていくので、そこから回復の隙を与えず一気に畳み掛けることだ(それで勝ったことがある) 相手が察して守ったりフェアリーテラスしてきたら終わりで、時間の無駄なのでさっさと降参して次に行った方がいい。

 

・テツノカイナ

 

   逆に全くキツくないポケモン。なぜなら、こちらのほとんどのポケモンが、カイナに得をさせないようにできているからだ。

 どういう意味かというと、カイナの強みは高耐久+ドレインパンチによる持久性にあるが、ドレパンを撃たないと回復ソースがなく、攻撃の試行回数を稼がれやすいという弱点を抱えることになる。一方、こちらのイトウとトルネはワイボの反動をほぼ最大にして一度耐えながら木枯らしで細かいダメージを稼ぎ、ペリは即死するが反動とゴツメでカイナの体力を大きく削る。ゴリラは猫でテンポを稼ぎながらウッドハンマーで安定したいいダメージを入れるし、セグはテラスでドレパンを半減しつつ同じく安定したいいダメージを入れる。足が遅いため、滝登りや氷柱の怯み、暴風の混乱自傷といった運勝ちのチャンスも多々ある。

 このように、一見構築単位で刺さっていそうでも、実際の展開ではテツノカイナというポケモンは本構築の恐るるところではないのだ。カイナは反動で倒すポケモンなのである

 

主な戦績

 

軸の原型

+(霊獣)/

 

9月:北陸オフ 4-3で予選落ち

       DEXオフ best4

       てるオフ best16

       ランクマ 一桁タッチして最終日に蒸発

10月:ランクマ 一桁タッチして最終日に蒸発(構築全く違ったかも)

 

本構築

11月:ポケモンパラレルアリーナ 3-4で予選落ち

  ランクマ   3位まで行って最終日2日前から蒸発

12月:ケビンオフ best4

 

スペシャルサンクス

 

・ルミナス…9月の北陸〜DEX期間で共同考察してくれていた。金沢まで来て一生bo3してたのは思い出。

・てるこ…11月末から構築を渡してケビンオフまで使ってくれた。今まで中々こんなことはなかった。

・マスター…無限回bo3の対戦相手として召喚。

 

NoFaceキッズたちに支えられてここまで頑張れたし、今でもモチベは尽きない。

 

 

最後に

 最後の方ポケパラ前の期間に回してた並びもサラッと出してしまいましたが、今年のVGC の集大成としてここにまとめたかったのでお許しください。(ポケモン関係ない理由で)公式大会に進めなかった悔しさがあったので、残り半年はケジメとして全力投球してきました。構築の完成度・納得感共に及第点だと思います。トルネエレキの結論パ言える構築ではないでしょうか。

 これまでより勝てる日が増えていてポケモンの実力も上がってきていると同時に、オフで会う人にも相手から認知してくれていたり挨拶しにきてくれたりと、ありがたいことにブランド的な面でも大きくなってきたなとやり甲斐を感じています。同じく頑張っていたテラスクエアが大きいのかな?

 VGC2024は意外とすぐそこまで来ています。今年のかけがえのない経験を糧に、来年は公式大会で大事を成すプレイヤーになってみせます。再来年の自分が後方腕組みできるような誇れる結果をこの手に。

 

 

 

おわり

 

 

おっふ、、テレパシー波乗り雨さん!?

 

はじめに

 

キタカミプロローグで使った構築を記録しておきます。

 

今回はナツメグさんに誘っていただき、一緒に構築を考えていました。

 

構築経緯

 

 雨パが強そうなプール(実際はそうでもなかったが)だったので、ニョロトノイダイトウを強く使えるように構築を考えたい。

 私が叩き台として用意したのは、すいすいアタッカーの攻撃で残数有利を取り次第トノの滅びの歌で詰める「雨滅び」のスタンダードなもの。

()

*ヤバソチャを使わなすぎたので、後に追い風展開に対応できるオンバーンに変更

 

守るや猫騙しを使えるポケモン(ルンパッパ・マシマシラ)を多く入れることで、終盤の滅び詰めを行いやすくしている。

 

 今回の仲間大会はリアルの都合上あまり参加できず、いい結果を残す機会はなかったものの、昔から私の最も得意とするプレイスタイルを再現できてる。それはニョロトノのポテンシャルを最大限引き出せるものなのである程度練習を積めば勝てると判断し、外型を作成してナツメグさんに共有し、技構成などの細部を相談して決めていた。

 

 ところが、仲間大会に潜ったナツメグさんから「この型のニョロトノが使いづらい」との感想をもらう。具体的にはニョロトノ自体にパワーがなさすぎる」点が使いづらいようだ。

 私はそこまで気になっていないが、その指摘は確かにそうで、出し負けてそのまま劣勢になると打開するのは難しい。(トノにパワーがあれば警戒の外から相手を倒すことで状況の打破が狙えるが) 私は大味な戦いになるアグロな構築も定期的に使うが、本質的には相手の勝ち筋を順に潰していくじっくりとした戦い方を好む。そのため滅びトノとプレイヤー的な相性も良いのだが、当然人によっては使いづらいポケモンなので、今回は2人ともストレスなく使える方法に変えるべきだと考え直した。

 

ニョロトノにパワーがあること」

 

をテーマにした場合、自ずとC特化したアタッカー型を想起する。トノはC種族値90とべらぼうに高いわけではないため、拘り眼鏡を持たせるくらいでないと相手に圧力をかけることができない。よって、先発眼鏡ニョロトノを構築の起点とする。

 

 スカーフトノはそれなりに知名度があるものの、眼鏡を想定して動ける人はほとんどいない

ので、想定外のダメージを与えるこの型は強いと思った。

 また、スカーフトノは「波乗り」を採用することが特徴的(6〜7世代は最速130族が高速の基準だったので、実数値200を1上回る最速スカーフが強いと言えた)だが、これは眼鏡トノにも取り入れられる。高火力全体技で相手を削り、スイーパーのイダイトウで取りこぼしを回収するという、単純かつ協力なゲームプランができるので、要求されるプレイのハードルが下がってよいのではないか。

 

 ここまでで、トノ+イトウの大まかな型が決定する。私は両波乗りを連打した時の制圧力の高さを評価してメスのイダイトウを、ハイドロポンプの外しを嫌ったナツメグさんはオスのイダイトウを採用して雨側の基盤が完成した。

 

 残りのポケモンは、波乗りを主体とした雨パにおいて解決しなければならないことを埋める形で決める。それは、味方を巻き込んでしまうことと、相手の草タイプが極端に苦手になることだ。具体的には、波乗りでこだわることによりヤバソチャ水オーガポンの処理が遅くなる。これらは、処理が遅れた瞬間に一瞬で詰みまで持っていかれるため、弱点を突ける味方を隣に置きたい。しかし、該当する炎飛行毒タイプなどには波乗りがクリーンヒットしてしまうため、立ち回りが窮屈になりがちだ。

 

 これを解決するためには、波乗りを半減以下にできる+草タイプに強いポケモンを採用する必要があるが、最初の並びの時点で好感触だったオンバーンが特性テレパシー(味方の攻撃を無効化)を持っているため、怖いほどこの条件に合致することに気づいた。トノと並べると暴風が必中になり、水+飛行の範囲で相手に負荷をかけられる(ペリッパーに似た役回りを担う)、オーガポンより早く行動できて追い風も使える、ペリッパーと異なるところは流星群で相手のドラゴンを倒せる点だが、これも非常に優秀だ。

 

 次に必要なのは、相手の水タイプへの打点不足を補うことだ。具体的には、テラスタルした水オーガポンを倒したい。水ポンはDが上がるため、ルンパッパのような特殊アタッカーを採用して倒しに行くのは一手遅れてしまって良くないと感じたので、物理草アタッカーを探したところ、こちらも水ポンを採用すればいいことに気づく。

 特性が貯水なため、波乗り無効どころか小まめに回復できるおまけ付き。気軽にウッドハンマーを採用できる。そして、雨により棍棒の威力も上がるため、雨要素のない水タイプではあるが、十分に採用する理由があると言えるだろう。

(水)

 

 5体目は、ルール発表直後からずっと使っていた襷マシマシラが雨の補完としてあまりにも優秀すぎるため、そのまま続投した。振り返るとこれを我慢して外し、色々と試行錯誤する必要があったのだろうが、好きなポケモンなので後悔はしていない。

 

 トリックルームを張られると本当に厳しいので、最後の一体はここをメタれるポケモンにしたい。その方法として封印が最適だと考えた。なぜなら、ヤバソチャやドータクンはメンタルハーブを、サマヨールはイエッサンやオーガポンなどに守られているので、挑発や吠えるの類の技では止められないからだ。そのためトリル封印枠を探すことになるが、ここはサーナイトに決定した。特性がテレパシーなため、トノと並べて初手に置けるからである。トリル封印展開には「封印が来ることを予期した相手が初手で普通に攻撃技を選択して封印枠が倒され、残数有利を取られてからトリルを決められてしまう」という欠点があるが、横にトノを置いて波乗りを連打すれば初手から相手に圧がかかるし、ダメージレースで後手に回ることもない。よって、波乗りを無効化しながら封印でき、横のトノを気兼ねなく暴れさせる並びを作れるサーナイトが最適なのだ。

 

 こうしてコンセプトを最大限に活かせる形で構築が完成した。技構成や細部の調整などは要相談し、出れる仲間大会では1580〜1600台に安定していれる程度には勝てたので、そのまま本番に持ち込むことに。

 

 

個体解説

 

1.ニョロトノ

特性:雨降らし
性格:臆病
持ち物:拘り眼鏡
テラス:飛行

技:波乗り/テラバースト/凍える風/ハイドロポンプ
実数値:165-*-96(4)-142(252)-120-134(252)

調整:特になし

 

 構築の軸となるポケモン。Sに振ってないコノヨザルやジャラランガを抜ける最速、重い草や格闘を奇襲で吹き飛ばせる飛行テラスル。 飛行テラスは当初イダイトウに持たせようと考察していたが、トノを眼鏡型にした時点でこちらに変更になった。波乗りを連打するのが基本で、相手に嫌な草タイプがいてオンバーン不在の場合、飛行テラスを切る。シンプルかつとても強力で、使ってみて良かったと思えるほどに活躍してくれた。

 

2.イダイトウ(メスの場合のみ記載)

特性:すいすい
性格:控えめ
持ち物:命の玉
テラス:水

技:波乗り/シャドーボール/ハイドロポンプ/守る

実数値:199(28)-*-85-149(228)-95-130(252)

調整:

H.玉ダメージ意識の10n-1

S.ミラー意識の準速

 

 トノで削った後に出すスイーパーの役割を持つアタッカー。波乗りがコンセプトのパーティなため、水技に波乗りとハイドロポンプを両立している。メスのイダイトウは開拓していなかったが、水技が相手に当たれば強い(本構築は命中する波乗りを撃てるよう工夫したので活躍できた)点と、玉シャドーボール序盤からゴーストの火力を出せる点が強く感じた。ただ、どんな構築にも入れることができるほどの使いやすさはないので難しい…(熱湯をくれなかったのは嫌がらせなのだろうか)

 

3.オンバーン

特性:テレパシー
性格:臆病
持ち物:隠密マント
テラス:フェアリー

技:暴風/流星群/追い風/挑発

実数値:161(4)-*-114(108)-143(204)-103(20)-181(172)

調整:

B.補正なしA252オーガポンの玉じゃれつく耐え

S.最速110族(オーガポン)抜き

 

 構築の司令塔的役割を担う。想像より数段硬く、役割対象のオーガポンの攻撃を余裕もって耐えるようにした。優秀な補完タイプである飛行・竜打点、高速追い風、そしてトリルや積み技展開を阻害して相手の勝ち筋を潰す挑発を採用した「メスガキ型オンバーン

 ヤバソチャやジャラランガギャラドスを「ざぁこ…❤️」と挑発することで大活躍してくれたが、現実のメスガキとは異なり、特にこのポケモンが誰かにわからされることもなかった。私はカロスのポケモンが好きなのだが、オンバーンの想像以上の攻助兼ね備えた盤面支配力に感心したし、カロスポケモンといい思い出が増えて嬉しい限りである。「キタカミダブルのサンダー」と称したい。

 

4.オーガポン(井戸の面)

特性:貯水(面影宿し)
性格:陽気
持ち物:井戸の面
テラス:水(仕様により固定)

技:蔦棍棒/ウッドハンマー/瓦割り/守る

実数値:156(4)-172(252)-104-*-116-178(252)

調整:ミラー意識の最速

 

 対水タイプを担うポケモンで、相手に合わせてイトウと選択するか、構築の最大火力を出すために両方選出する。どんな相手に合わせてかは完全に場合によるが。

 技が1枠余りがちなポケモンだが、後述する相手のドドゲザンがとにかく重いので、余った技枠には瓦割りを入れていた。壁構築に対しても有効なので入れて正解だったと思う。

 貯水で回復できるため、ウッドハンマーの反動を波乗りでチャラにできることから高速アタッカーとして反動技を振り回せるのが面白かった。

 

5.マシマシラ

特性:毒の鎖
性格:臆病
持ち物:気合いの襷
テラス:ゴースト

技:ヘドロ爆弾/サイコキネシス/猫騙し/守る

実数値:164(4)-*-86-182(252)-110-173(252)

調整:特になし

 

 毒とエスパーの超絶優秀な補完タイプを持つ高速アタッカー。オーガポンを意識した耐久調整を考えていたが、あまり活きた試合もなかったのでCS252とした。特性は、クローズドルールのネット大会で相手の持ち物を見れるお見通しも魅力的だが、追加ダメージ込みで相手を射程内に入れることも多く好みだった毒の鎖で使っていた。

 毒タイプは草・高耐久フェアリーに、エスパータイプは格闘・毒タイプに刺さるため、雨が相手するのに面倒な多くのポケモンを倒してくれる。猫騙しも覚えるため、初手に並べて猫択も含めてこちらに有利な高圧的な盤面を作れるのが強い。タイプが刺さりすぎてよく狙われるので、最後の技は守るにした。

 しかし、この構築に絶対になくてはならない存在とまではいかなかったのかもしれない。今となっては言える話だが、マシーラ単体の性能に目が眩んでしまい、考察を止めていた感があるので反省している。ここに入れなければならないのは格闘タイプで、対ドドゲザンが大幅に緩和される。毒タイプは魅力的だったので、イイネイヌが妥当なのだろう。(キタカミにいたら間違いなく乾燥肌のドクロッグを採用していたので残念)

  反省はこのくらいにして、最後にこのポケモンの健闘を讃える。今後も機会があったら積極的に使いたい程の攻撃性能をしていて好きだった。

 

マシーラいつもありがとう。

 

 

6.サーナイト

特性:テレパシー
性格:控えめ
持ち物:ゴツゴツメット
テラス:ゴースト

技:マジカルシャイン/トリックルーム/封印/波動弾

実数値:175(252)-*-95(68)-179(140)-136(4)-106(44)

調整:

B.陽気テクニシャンイッカネズミのネズミ斬6発耐え

C.波動弾の火力が出せるようなるべく多く

S.無振りイエッサン抜き

 

 トリルパにだけ選出するポケモン。本番ではトリルパの使用者が多く、とても活躍した。

 トリルを張る時に目についたのが、イッカネズミでこの指を使って守りながらトリルを張ると見せかけてネズミ斬で攻撃してくるパターンと、命懸けでこちらのトリルを覚える方を抹殺しに来るパターンだった。そのため、その両者をすかせるゴーストテラスを、サナにテラス切りたくない事情がある場合にネズミ斬を6発耐え、反動で無償突破するためのゴツゴツメットを持たせた。

 技構成は、トリル封印と一致技のマジカルシャインは確定とした。(ブリムオンを封じたかったのと指+ジャラランガを触りたかったのでムンフォではなく) 残る技は、ドドゲザンへの打点となる波動弾としたが、トリルを封じた後にそのままドドゲが出てくることが多かったので、撃つ機会は多かった。

 

 

選出

 

基本:()

 

 波乗り+水技と暴風の押し付けで押していく。

 

 

ギミックの多い相手(指+積み技など)

(@1)

 

 マシーラのお陰で攻めの範囲が広い他、猫騙しや挑発で相手のゲームプランの核となる行動を幅広く潰し、試合の主導権を握りやすい。

 

 

トリルパーティ:()

 

 封印波乗りからスタートし、そのまま上から殴り続けて勝つ。

 

 

苦手なポケモン

 

 ドドゲザンが本当に辛かった。構築単位で悪技の通りが良く、不意打ちを撃たれているだけで崩壊しかける。テラスタルで等倍になることである程度解決していたが、剣の舞型だとどうしようもなかったり(1回はギリ勝てたけど)、他のポケモンの対処にも当たらなければならない時もあるので、普通のチョッキドドゲザンでもきつい。2日目までは何とか話になる勝率を保っていたが、3日目は完成度の高い相手に構築単位で差をつけられ、徐々に負けが込んでレートを上げられなかった。立ち回りでカバーできるだろうと正直舐めていた結果痛い目を見たと思っている。改善点としては、やはり格闘タイプを採用して積極的に選出に組み込めるよう模索することだったと分析している。

 

 

 

戦績

45戦消化してこれ

 

 ドドゲザンが辛い以外は特に構築に欠陥はないと思うので、最終日にプレイの精度が大いに落ちていた自分の実力不足が大きい。構築の欠陥を治すことで勝率は多少上がるが、それでも上位の成績を残せるプレイができているとは思えない。10月に入ってからずっとこんな感じで、下手くそなプレイングに悩まされ続けている。情けない。

 

 

おわりに

 

 誰かと一緒に考察して大会に臨むのは、5〜6年ポケモンをやってきて今年が初めて(今回で2度目)だったので、まずそれだけで嬉しかったです。欠陥はあったものの、構築のコンセプトやオシャレ度、見た目の良さは100点満点をつけたいと思います。考察に声をかけてくれたナツメグさんに感謝すると共に、次はいい結果が出るよういずれリベンジしようと思います。

 それはそれとして私個人の問題ですが、9月に2日連続オフ会でいい結果を残してポケパラの権利を得てから、明らかにプレイの質が落ちています。強いと納得のいく構築も中々できません。構築ができるかどうかは延々と試行錯誤を重ねて折り合いをつけていくしかないのですが、そもそもポケモンに向き合う態度がこれまでと比べても明らかに悪く、舐め腐っていました。私はただでさえ対戦の才能がないのに雨パ縛りでポケモンをやってる(別にそれ自体はハンデだと思ってないが)奇特な人間なので、人の何倍も練習しないとまともな成績を残せないことを忘れていました。ポケパラ本戦で相手に鼻で笑われないように、優勝目指して今では特訓中です。(50万円も欲しいし)

ここで甘えは削ぎ落としておく。

 

 

 

(書く書く詐欺し続けてきた他の記事も何とか進めていきたいです)

 

登雨竜門

 

 

 

 

はじめに

7月とWCSお疲れ様でした。

 本文は、レギュレーションDダブルの雨パーティの構築記事になります。

 私の最終順位は全く振るいませんでしたが、全国大会に出る時のような気持ちで練った構築なため、クオリティの高さを確信して書き残すことにしました。

 特に詳細な立ち回りに注目して読んでいただけると幸いです。

 

<注意>

*普通の構築記事のように、カジュアルに読めるものではありません。長い文章が嫌いな人や、読んでいて気後れする人などは読まない方がいいと思います。

*技名(欺きの森・森踊りなど)あります

 

使用構築

*以下状態

 

 

概要 -イトウ革命-

 レギュレーションDの始動にあたって、雨パーティに一つの革命が起こった。

 それは、「イダイトウ(オス)」の台頭である。このポケモンがなぜ私にここまで言わせるのか、その強みは簡潔にまとめると以下の通りである。

1.フローゼルを超える超火力水技使い

2.第二のタイプ技(お墓参り)の威力が高すぎる

3.先制技・アクアジェットの威力が高い

4.全体的に高数値

順を追って補足する。

1.フローゼルの雨ウェーブタックルの威力は、「手助け+水テラスタル+命の玉」により、フレンドガード下の水コノヨザルの体力を死ぬ寸前まで持っていくほどである。(直後のイッカネズミの袋叩きの4発目で丁度死んでいってゲラゲラ笑っていた)

 このフローゼルの攻撃種族値105を、恐ろしいことにイダイトウは7上回る

2.お墓参りは、味方が倒れるごとに50ずつ威力が上昇するため、中盤以降で絶大な力を発揮する。従来の雨エースには、第二のタイプ技で絶大な火力を出せる者は一体も存在せず、それゆえに雨パーティの攻撃方法は基本的に水技のゴリ押しを主としていた。

 イダイトウのお墓参りは、そんな雨パーティの今ひとつ足りない点を補い、雨に依存しない攻めの選択肢を増やすという意味において、革新的と言える。

3.雨エースは天候による超スピードが強みだが、有効な先制技は誰も使えなかった。

 しかし、イダイトウのアクアジェットは、威力40とは思えないほどの火力が出る。これは、場合によってはハバタクカミが手助けなしでも吹き飛ぶレベルだ。同じくアクジェを覚えるフローゼルでは微妙に足りなかった火力も、イダイトウなら有効な選択として成立するレベルの攻撃へと変わる。この点においても、雨パに革命が起こっていると言える。

 

4.雨エースは、キングドラガマゲロゲのように元数値が高いポケモンは少なく、ほとんど天候に支えられた能力値だった。イダイトウは種族値が高いため、たとえ弱点でもある程度は耐えるという安心感がある。

 

 この雨パ界の革命児・イダイトウ(以下イトウ)による『イトウ革命』が環境に影響を与える。ポケモン界の雨を象徴する私がこのポケモンにいち早く触れないはずもなく、イダイトウの基本的な性能について一定の理解を納めるため、皆の模範となるスタンダードな雨パーティを完成させることを7月の目標に定めた。

これが本構築の動機・目的である。

 

 構築名は、「雨パ入門者が皆通る道」であれ、という願いを込めて、『登雨竜門』と名付けた。

 

構築方法論

 

 模範的な構築にするための方針として、「イダイトウを主攻とするが、それに依存した立ち回りはしない」という、私のこれまで掲げてきた理念を引き継ぎたい。

 具体的には、イダイトウやペリッパーギミックパーツとして見るのではなく「優秀な対面性能を持った1体のポケモンと認識し、種族値スタン構築のような気持ちで動かす。

 雨パはゴリ押すだけの完全なアグロ構築というイメージがついている。しかし、そのプレイングではいつか限界が来るので、勝ち切ることはできない。

 ここで重要になってくるのが、攻め(雨天)の体勢を維持しつつ、劣勢時(追い風中に縛られている時など)には交換などの工夫を加えることにより、体勢を立て直せるだけの力を持った構築編成をすることだ。難しいことを言うようだが、これを満たすためのハードルは実は高くない。例えば、「ウインディ(ガオガエン)・モロバレル」のようなサポートに充実したポケモンや、「ゴリランダー・テツノカイナ・(ガオガエン)」のような、猫騙しによる妨害と攻撃を使い分けれるポケモン、総じて「サイクル性能の高いポケモンを入れれば、多少の慣れはあるものの柔軟に立ち回ることができる。これらは、相手主導の試合展開から切り返すのにとても重宝するため、多くのプレイヤーに使用されている。

 では、ウインディモロバレルのような所謂「サイクルパーツ」を、雨とかけ合わせてみよう。

×(仮)

このような編成にすれば、スタンダードな強いパーティとなり得るのか。

答えは「否」である。それはなぜか?

 「サイクルパーツ」と呼ばれるポケモンは、一時の劣勢を凌ぐ力はあっても、最終的な勝利に紐づける力が弱いことがある。

ポケモン対戦に勝利する条件は、「相手の手持ちを4体先に倒す(その手段として素早さや技の威力が重視される)」ことだが、彼らはあくまでサポーターであり、「勝利に近づく=相手のポケモンの数を減らす」力は役割上二の次に回る。

 そのようなポケモンを増やすと、どうしても攻め手に欠けてしまう。すいすいエース以外に対面性能の高いポケモンが少なく、イトウをサポートするために入れるポケモンが選出に多いと、結局相手を倒すためにはイトウにその大部分を任せるハメになってしまう。そうなれば、雨に依存したプレイから脱却できないし、冒頭で挙げた私の理念に反する。

 

 サイクルパーツポケモンを完全に否定しているわけではなく、寧ろ1〜2体は構築にいたほうがいい。しかし、人によってはよくやりがちな「サイクルパーツを構築に結集させてしまう行為」は、以下の3つの弱点を抱えている。

・敵を倒す火力不足

(ウインバレルで相手倒せる??)

・素早さ不足

(耐久が高くても上から動けないことが多いから全く圧がない)

・被弾数の多さ

(耐久値が高くても、受け出したり相手に先行される前提のプレイをしていては体力の消耗が激しく倒されやすい)

 

よって、その逆である、

・敵を倒せる攻撃力(単に火力が高いではない)

・素早く相手に圧をかけられる

・被弾数を極力減らせる

・+最低限撃ち合える耐久がある

ポケモンこそ、私の求める要素を持ったポケモンであり、冒頭で述べた「対面性能の高いポケモンで高種族値スタンのように動かす」を実現できる。(上記4点が「対面性能の高いポケモン」の定義と言える)

  元より、「グッドスタッフ(高種族値スタン)」とは、対面性能の高い+耐久や耐性も一級品な強ポケの集まりなので、サイクルも回せはするが、そこに本質を奪われた、よくありがちなあまり強くないサイクル構築&プレイングとは相容れないものなのだ。

 

「イダイトウだけが主役なのではなく、ポケモン6体全員が主人公でありたい」

 

そんな望みを思い浮かべながら、グッドスタッフに近い考えで考察する雨が、WCSのような大舞台でも勝ち切る力を秘めた構築だと私は考えている。

 

 さて、前置きがかなり長くなってしまったが、レギュD環境のポケモンで、上記の私の理想に最も合致するポケモンがいる。

それは「パオジアン」だ。

・相手を倒せるだけの火力を持ち、

・素早いため相手への圧をかけれる。不意打ちによる先制まで込みで、縛れる範囲は広い。

・素早く相手を倒せれば反撃もないわけで、被弾数を極力減らせる。氷柱落としで相手を怯ませることがあるので、並の耐久でありながらも、他のアタッカーよりも被弾を減らす能力は高い。

・加えて、パオジアンの特性「災の剣」は盤面全体に作用するため、味方の火力補助という更なる対面性の向上効果も有している。

 

 このポケモンが私の理念に適しているため、「イダイトウorパオジアン」を置いて相手に圧をかけ続ける盤面作りを意識し、構築の軸に決定した。

 

構築経緯

 

 

 ここまで軸が決定したので、残りは補完となり、かつ対面性能の高いポケモンを選びたい。ここで真っ先に思い浮かんだのは、「ゴリランダー」だった。

理由は以下の通りである。

・草タイプが雨の補完として優秀であり、ゴリラ自身も弱点の炎に耐性がつくため、相互に相性が良い。

・対面性能が高い。素早さは中速程度だが、素の耐久とグラスフィールドで場持ちが良いので、大体の相手と互角以上に殴り合える。

猫騙しと蜻蛉返りにより、盤面を整えるサイクルパーツにもなる。

・耐久値が高いため、簡単に受け出してから体勢を整えられる。

これらの理由からゴリランダーを採用する。剣盾の頃から使い慣れているのでよく知っているつもりではいたが、今作のゴリランダーのパオジアンと並べた時の安定感と火力は正直目を見張るものがある。雨の並びをタイプで受けにくるポケモンたちにも強いし、「不利な時に最低限のサイクルで体勢を立て直せる+高圧的な攻めの構えは極力維持できる」という目標も満たしている。

 

次に、相手のトリックルームに干渉する要素を持った鈍足気味のポケモンを用意して、トリル展開に抑制をかけたいと考えた。ゴリランダーや先制技を駆使すれば、ある程度相手のトリル展開をやり過ごすことはできる。

 しかし、本格的なトリル構築には通用しないため、かつてのナットレイのようなトリルにただ乗り可能なポケモンによって対抗したい。鈍足ポケモンは、トリル意識以外にも、イトウ(雨エース)と共に初手に並べることにより、交換による天候の取り合いで優位に立てるという利点もある。

 

 そこで、イトウの引き先になれるという観点から、電気とゴーストの一貫を切れる優秀なタイプを持った「ガチグマ」を採用した。

 「鈍足でトリルを抑制する」+「補完が取れている」という利点の他にも、根性で火傷を発動させる戦い方が、モロバレルの胞子をシャットアウトしてくれる」という点にも気づけて強いと感じた。ゴリランダーと並べ、霊テラスタルを切ることで、トリル主体の戦い方をする構築には無類の強さを誇る。

(//)

このような構成のパーティには、余程のことがない限り負けない。

 

 

 ここまでは対面性能の高いポケモンたちで固めてきたが、最後の1枠はサポートを兼ねる役割を持たせたい。具体的には、S操作要素を入れた、味方を通すための補助ができるポケモンだ。また、アタッカーが物理技寄りなので、特殊技主体で殴れるキャラでありたい。

 

6体目の推敲

 

 環境でのS操作の手段として、

①追い風

トリックルーム

③凍える風orエレキネット

④電磁波or怖い顔

が存在するため、これらのいずれかを絡める&汎用性の高い特殊技主体のポケモンを探す。

 

候補1:トルネロス

 

 ①③④を満たし、技範囲が広く汎用性も高い。一考の余地ありだが、追い風をしてる間に倒されやすく、攻撃よりも追い風を優先してしまいがちなため、採用は憚られた。ここまでの並びでこちらに通りの良い辺りに弱点が被ってしまう、木枯嵐の圧が強いと感じていないため強い盤面を維持できているか微妙、サーフゴーなど横に高火力全体技使いを置きたいがそんなスペースはない、などの難点も目立ったので見送り。食わず嫌いせず使ってみてもよかったかもしれないが、使っても満足感はないだろうと思う。

 

候補2:クレセリア

 

 ②③④を満たす。ガチグマを既に採用しているため、採用することでガチクレセの並びになれる。

 しかし、ガチクレセのように本格的なトリルの形で使うつもりは毛頭ないし、トリルを張ることがバレバレなので、相手の追い風は誘えず挑発が飛んでくるなど、やることが分かりきっている点が気になる。

 何よりパワーがなさすぎるため、味方が軒並み倒されてクレセリアが孤立する展開が嫌だったので見送り。

 

候補3:化身ボルトロス

 

 ③④を満たす。このポケモンは途中まで採用していた。その理由は以下の通りである。

・電気タイプの技がありがたかった

・追い風構築に対し、電磁波を撒けばパオジアンやイダイトウで抜いていける&麻痺上振れも狙える(雨ミラーにも強い)

・挑発や雨乞いなど、補助技が豊富

・全国大会などで使った愛着がある

 

特性:いたずらごころ
性格:おだやか
持ち物:オボンのみ
テラス:フェアリー→みず
実数値:184(236)-121-99(68)-148(20)-156(132+)-135(28)
技:かみなりあらし / ちょうはつ/ でんじは / まもる

 

こちらの型で使用していた。

 テラスタイプは、レジドラゴやカイリュー、悪ウーラオスを意識してフェアリーにしていた。しかし、トルネ+レジドラゴ対面では「ドラゴ守る+追い風→ボルトに挑発」の流れで封じてくることがほとんどで、フェアリーテラスは機能しなかった。悪ウーラに関しては、隣のパオジアンは簡単に倒されるが、ボルトがフェアリーになって残ったところで、ウーラをどかして盤面を解決できるわけではないのであまり意味がない。そのため、水と氷に耐性のつく水テラスに変更した。

 技は、「雷嵐・挑発(バレル やトリルを止める)・電磁波(S操作の手段)」が確定で、残りの一つは「怪電波」「雨乞い」「睨みつける」などを試したが、最終的には「守る」を採用した。その理由は、電磁波でヘイトを集める(+雨などの強い水タイプとの戦いで有利になるため重要)ボルトが狙われるターンに守ることでアドバンテージを稼げるためである。

 

 しかし、最終的にはボルトも没にした。なぜなら、「そもそも選出する機会があまりなかった」からである。意外かもしれないが、追い風構築への立ち回りは、基本選出の「パオジアン+ゴリランダー(イダイトウ)」で大体対応できるのだ。同様に、先述したようなクレセリア始動のトリル展開にも、「ガチグマ+ゴリランダー(イダイトウ)」で容易に対応できるため、ボルトを出す機会は少ない。

 

 

 この状態で回していたのは環境最初期で、レンタルパーティも公開していたが、思ったよりも使ってくださっている方が多く、とてもありがたい限りである。

 ただし、私本人は、初期型だけ一度公開してからアプデせずに放置し、次の段階へ考察を進めていたので、その点は申し訳なく思っている。

 

候補4:ハバタクカミ

 

 火力がある特殊アタッカーで、②〜④を満たす。このポケモンが強いと感じた点は、クローズドルール(ランクマッチなど)ではこちらにS操作技が確実にある保証がないため、相手の裏をかいてイージーウィンを狙いやすい点、オープンルール(BO3の大会など)では逆にS操作技(トリックルーム)が見えているため、相手のS操作を抑制する点である。

*クローズドは、互いの構築の情報がない状態で戦う通常ルール。オープンは、互いの構築の情報を事前に見せ合った上で戦うルール。

 

トルネロス+相手のハバタクカミ」を例に挙げる。

クローズド:ハバタクカミの同速対決を解消するため、トルネが追い風からスタートしてくれる可能性が高いが、それに合わせてトリックルームを決めると、素早さが逆転してイージーウィンを狙える。

オープン:こちらのトリルでのカウンターを嫌ってトルネが追い風を選択しないため、その間に殴り倒して対面勝ちする。(追い風は張れないので裏の雨で詰めやすくなる)

 

最低限の火力を持ち、相手のS操作展開をブレさせる、何より環境一汎用性の高いポケモンであるハバタクカミは、採用するに足るポケモンだと判断した。(一定数の試合で選出もできた)

 

 

この組み合わせで確定とし、殴り合って勝てる盤面をなるべく維持することを意識して立ち回った。

 

 

 

 

個体紹介

 

ここからは、各ポケモンの個別解説に移る。

 

ペリッパー

特性:あめふらし
性格:ずぶとい
持ち物:ゴツゴツメット
テラス:はがね
実数値:165(236)-63-156(172+)-121(44)-93(20)-90(36)
技:ぼうふう / ハイドロポンプ / てだすけ / ワイドガード

調整:

B:陽気252パオジアンの氷柱落としを最大乱数切り2耐え 2.7%
 意地252パオジアンの地獄突きを低乱数2耐え 18.7%
 陽気252水ウーラの水テラ雨水流連打を2耐え

 A特化鉢巻カイリューの逆鱗を余裕もって耐え(災込みでワンパン)

[鋼テラス時]

陽気パオジアンの氷柱→聖剣耐え(意地パオジだと中乱数)

A特化ゴリランダーの地団駄を最大乱数切り2耐え 9.7%

GF補正ウッドハンマーが確定3発(32〜39%)

(→ウドハンを受けてテラスタルした場合、次の地団駄まだ耐える)
D:臆病C252ハバタクカミのテラ妖ムンフォが低乱数1発  25.0%
 C154までのトルネロスの木枯嵐(ダブルダメ)を確定2耐え
S:少しSに振った60族(ニンフィアヌメルゴンなど)を余裕もって抜けそうなライン
 無振り70族(チオンジェン)と同速(もう少し上げてもよかった?)

 

 このポケモンをどれだけ使いこなせるかによって、スタンパとしての雨パーティでの勝率が決まる。ペリッパーは、種族値が低くて弱い」とよく誤解されがちだが、しっかり耐久調整をすることにより、環境で主要なポケモン達の主に物理アタッカーとは対等以上に殴り合える。耐久に振らない理由がないのである。

 

 調整は、環境の中心であるを意識し、Bに補正をかけたHBベースで配分した。恐らく世間的なイメージであるCS襷型と違い、大抵の攻撃に耐えて切り返しができ、ある程度後投げ可能な耐久をしている。

 テラスタイプは、岩だけでなく草・氷・龍・妖など、明確に不利ではないが、状況によっては押し切られてしまう相手にカウンターとして機能する鋼タイプが最適である。

 例えば、パオカイリューには「神速+氷柱」や「災い補正込み鉢巻逆鱗」などで突破されてしまうが、鋼テラスを切ることで全てを半減で受けながら反撃できる。フリーズドライで4倍弱点を突いてくるノオーツツミにもカウンターの暴風が極めて有効だ。レギュレーションCから鋼テラスで愛用しているが、ここぞと言う時にペリッパーラスタルの判断をする目は至高の領域まで鍛えられたかと思う。

 持ち物は、パオカイウーラの襷やマルチスケイルを削れるゴツゴツメットがベスト。水ウーラオスやゴリランダーは、反動込みでイトウのお墓参り圏内に入ってくれることも多々ある。

 技構成は、このポケモンの第一の存在理由である「暴風」、火力で押し切りたい時に必須のハイドロポンプ、味方の攻撃のリーチを伸ばせる(猫騙しも掻い潜って仕事できる)「手助け」、強い全体技が蔓延る環境であるためカモれるワイドガードを採用した。この構成が結論だろう。採用する必要性がほぼゼロだが何だかんだで結果的に活躍する場合もある「追い風」はともかく、「守る」など言語道断である。レギュCで使っていて強かった「羽休め」も試したが、火力のインフレが目立ち余裕がなくなってきているので没にした。

 

 ペリッパーの実用的な使い方については、記事丸一つ分の内容となってしまい、ここでは語り尽くせないため、この程度で済ませようと思う。

 

イダイトウ(オス)

特性:すいすい
性格:いじっぱり
持ち物:いのちのたま
テラス:みず
実数値:199(28)-180(220+)-85(4)-90-95(4)-130(252)
技:ウェーブタックル / まもる / アクアジェット / おはかまいり

調整:

H:10n-1(玉ダメ効率)

S:ミラー意識の準速

 

 思った以上にイダイトウが流行り、ミラーマッチも多発した。同速に負けてそのまま敗北という試合が何度かあったが、あまりにもしょうもない(そもそも相手のイトウがきつい)ため、先制できる確率をなるべく上げるために準速とした。

 テラスタイプは、元技の威力を引き上げる水テラス。盤面を整えるまでに時間がかかる壁構築などに対してウェブタで崩しを行える点も強いが、どちらかと言えばアクアジェットの火力を上げる」重要性がより大きい。アクジェで低耐久アタッカーをワンパン可能なレベルの攻撃力を誇るポケモンはイトウくらいであり、素早さで負けている状況でも手が出ることから射程範囲が格段に広がる。

 持ち物は、火力と立ち回りの柔軟性を意識した命の玉火力が玉以上か以下かで大きく話の変わるポケモンなので、倒せる相手の範囲を知っておくためにダメージ計算を怠ってはいけない。個人的には、玉以下の持ち物は火力面では弱いと思っている。(うちのハバカミが雫イトウのウェブタを余裕もって耐えた時は逆に悲しくなってしまった)

 技は、本文の冒頭で述べた強みをそのまま反映した3つに、大事に扱うための「守る」を採用している。いたづらに採用しているわけではなく、単に1ターン確実に凌ぐことが有効な場面が多かったり、 相手のパオジアンが不意打ち以外の悪技を採用しているのか様子見できる点も偉い。私がもっと使い慣れてくれば「身代わり」に変えていいのかもしれないが、立ち回りに安定感を出すために無理せず守るでよいとした。

 細かい立ち回りや使う時のコツは、ここでは語り尽くせない程の深いテーマとなってしまうが、とにかく世間一般が思っている10倍はアクアジェットが強い」雨下でパオジより早く殴ることにより不意打ちを透かせる点を始め、相手の追い風+カミユイ展開に抗う、削れたトルネロスに対して日本晴れを使われる前に倒しに行く(先制技同士なら素早さ順で行動するため)など、様々な場面で有効に働く。相手の展開したトリル下&雨が降っていたとしても、イトウが逆に相手を縛っている状況なども作ることができる。ウェブタやお墓参りは何の障害もなくイトウを通せる時に活躍することがほとんどだが、戦局を覆すのはいつでもアクアジェットである。

 

イダイトウはアクアジェットが本体のポケモンなのだ。

 

 

パオジアン

特性:わざわいのつるぎ
性格:いじっぱり
持ち物:クリアチャーム
テラス:どく
実数値:158(20)-183(212+)-101(4)-99-100(116)-175(156)
技:つららおとし / まもる / せいなるつるぎ / ふいうち

調整:

D:毒テラスで臆病C252ハバタクカミのムンフォ→シャドボ耐え

S:準速+2ヘイラッシャ抜き

 

  最初は普通の襷パオジアンを使用していたが、襷が機能して勝った試合があまりなく、もし襷がなかったとしても、慣れてくるにつれ立ち回りでカバーできる範疇なのではないかと感じていた。襷を外したとしてどのような型にしたら強いかを考えていると、先月のある考察を思い出した。

 レギュCでシングルバトルをしていた時に鉢巻フェアリーテラバースト型のパオジを使っていたのだが、テラバをあまり撃たなくなっていたことから、テラスタイプを有用そうなに変更して試してみた。その結果、辺りに突かれる弱点が覆り、そのターンで得した分ダメージレースで優位に立てることに気づいた。

 これを思い出して試しに流用して使ってみると、襷を持っていないのに、毒にチェンジすることによってかなり場持ち良く攻めることができた。ここで強さを確信して採用するに至る。

 努力値は対ハバカミやテツノツツミなどを意識し、ムンフォ→シャドボをなるべく耐えるようDに厚めに配分。タイプで受けて戦うので135族のミラーに勝つ必要もなく、準速の合体寿司を抜くラインに留めた意地っ張りASベースとした。

 持ち物は、守るで柔軟に立ち回りたかったので、まずは鉢巻を外す。ダブルでは技の切り替えができた方がこのポケモンは強く感じる。ここで何か強い持ち物はないか(玉はイトウが持っている)考えたところ、威嚇による火力低下に苦しめられていたことからクリアチャームを採用してみたら、威嚇だけでなく凍える風捨て台詞などにも強くなり、とても強かった。ランドロスへの安定感が増した気がする。(毒で蜻蛉半減になるのも偉い) 技構成は特に語ることもなく普通のものである。

 具体的な盤面で最も助かったのは、よくある「トルネ+ハバカミ」の初手に対面勝ちできることだ。「パオジ+ゴリラ」からスタートして毒テラスを切って「トルネに氷柱&ハバカミにウドハン」を選択することで、1ターンに2体同時に倒せる。後は追い風を凌いで裏の雨で倒せば勝ち。(ここで悪ウーラオスが登場すると逆にパーティ崩壊で、これの増加が7月下旬の勝率低下に直結している)

 

 

ゴリランダー

特性:グラスメイカ
性格:いじっぱり
持ち物:とつげきチョッキ
テラス:みず
実数値:181(44)-189(212+)-111(4)-72-121(244)-106(4)
技:はたきおとす / とんぼがえり / ウッドハンマー / ねこだまし

調整:剣盾から連れてきた個体。特に明確な仮想敵はいないが、ADベースが配分効率がいいので変更せず。

 

 配分は剣盾時代から変えていないが、特に気になる点はなかった。ツツミのフリドラを2回耐える程度には硬いので、高種族値で対面勝ちするという目標を達成しやすい。ミラーを意識してSラインを更に上げることも考えたが、結局不毛なチキンレースになって他のステータスから努力値が削られるのが嫌で調整しなかった。

 持ち物は、

これだけの特殊アタッカーの前で動き回らなければならないため、流石に突撃チョッキで採用せざるを得ない。

 テラスタイプは、炎と氷を半減で受けるタイプが望ましく、炎・水の2択から選択といったところ。環境のゴリラは炎が多いイメージだが、このゴリラは「相手の水タイプに安定して役割遂行する」という仕事も担っているため、テラスタルを使った後も弱点を突かれないテラスを採用した。

 技は、ウッドハンマー猫騙し」を確定として、交代で盤面を整える(天候やフィールドを奪い合う時に特に有効)「蜻蛉返り」と、持ち物を叩く&クレセリアなどに刺さる悪打点の「はたき落とす」を採用。「ドラムアタック」も面白そうだが、削りたい技がない(ウドハン抜くと火力なさすぎてダメ)ので見送り、「地団駄」はイーユイやヒードランに有効だが、それらは雨やガチグマで弱点を突きやすいため、なくてもいいと判断した。

 存在意義は構築経緯で説明した通りだが、水テラスを上手く絡めて不利盤面でも強引に動かしながら解決していくことが多く感じた。例えば、「トルネ+イーユイ」の初手に対し、イーユイを猫騙しで止めながらパオジを動かすと、相手の霊テラスで透かされた時に初手から全滅してしまう。よって、パオジを守らせながら水テラス+叩きをイーユイに撃つことにより、木枯+熱風を等倍以下に抑えながら攻撃できる。(本当に霊テラだった場合イーユイ撃破)

 

 

ハバタクカミ

特性:こだいかっせい
性格:ひかえめ
持ち物:ブーストエナジー(C↑)
テラス:はがね
実数値:161(244)-54-102(212)-176(36+)-157(12)-156(4)
技:マジカルシャイン / シャドーボール / トリックルーム / まもる

調整:

B:陽気A252水ウーラオスの雫(1.2倍)水流連打を最低乱数切り耐え 6.2%
 黒眼鏡陽気悪ウーラオスも同様
 A特化鉢巻ランドロスの地団駄耐え
D:鋼テラス時、C特化ブーストハバタクカミのシャドボが高乱数2発 84.3% (GF回復込みで大体2耐え)

 

 配分は場持ちの良さを意識してHBベースに、火力UPアイテムがないと相手に圧をかけられないため、最低限話になるラインを確保するために特攻が上がるブーストエナジーを持たせた。

 テラスタイプは、ハバカミがよく対峙する相手のほとんどのメインウェポンのタイプを都合よく受けれる

 このポケモン確実に出す時は、追い風軸構築とガチトリル構築である。両者にトリルを返したり霊妖の範囲を活かして殴ったりするのが主な役割だ。これらの構築では、以下のような相手と戦うことになる。

[追い風]

[ガチトリル]

[その他スタンなど]

 これらのタイプ上では不利ではないが弱点技や数値で押してくる相手に対し、相手が最初に選択するタイプの技はほとんど鋼で半減できる。ここで相手の想定を崩し、ダメージレースに優位に立ったり安全にトリルを決めることができる

故に鋼テラスが最適なのである。

 技は特に言うことがないが、立ち回りで気をつけていることは、「クローズドではトリルを決めて虚を突く、オープンではとにかく殴る」ことだ。このポケモンは最もシート提出の有無で取るべき行動が変わるので、当初の思惑通りにこれを徹底している。

 

ガチグマ

特性:こんじょう
性格:いじっぱり
持ち物:かえんだま
テラス:ゴースト
実数値:208(20)-190(100+)-143(140)-58-121(164)-81(84)
技:からげんき / ぶちかまし / まもる / じしん調整:

A:余りだけどみんなにミリ耐えされて泣いた

B:A特化パオジアンの氷柱落とし耐え
 A特化水ウーラオスの水流連打を最大乱数切り耐え
D:C特化ハバタクカミの妖テラ眼鏡ムンフォを低乱数1発 25.0%
    臆病C252テツノツツミのハイドロポンプを低乱数1発 18.7%
S:無振り60族抜き(ヌメルゴンまで抜けてればアド感覚)

 

 このポケモンの耐久調整は完全に間違えた。上記の攻撃を喰らう状況が思ったほどないし、Aを削ったことにより全ポケモンにミリ耐えされ、それが敗因で負けた試合が多い。面倒くさがって配分を直さなかったのは、ガチグマに本当に申し訳なく思う。反面、Sラインはそこそこ上げておいて大正解だった。トリルの抑制効果を期待して採用しているポケモンだが、何も自分の素早さを落とす必要はない。Sに振ることにより、ほとんどのガチグマミラーとテツノカイナを抜いていて、先制でぶちかましをぶち込む動きが強力だ。相手視点だとガチグマの方がカイナより遅く見えているので、想定外を誘いやすい。

 持ち物とテラスタイプは特筆することがないが、技に関しては「ぶちかましに触れたい。

 主にカイナに強いという点で、ガチグマの地面タイプを評価している。しかし、浮いている味方が1体しかおらず、フィールドが撒かれることも多いため、地震では火力が見込めないことが多い。そのため、根性が発動してない初手だとしても、瞬間的に火力を出せるぶちかましも採用することで、パワー不足の解消を図っている。(なのに火力を落としすぎてぶちかましすら耐えられているのは本当にマヌケ)

 

 

選出・立ち回り

 

選出

 

[基本・対スタン]

 

() 又はその逆

 

困ったらこれ。大体プレイングで何とかなる。

 

[対スタンで明らかにパオカイから来そうな時

(初対面の相手)]

 

()

 

狙いは後述。

 

[対追い風アグロ]

 

()

 

パオゴリで凌ぎきれない時は不意打ちのトリル展開をするのが現実的。

 

[対ガチクレセトリル]

 

()

 

 相手がウーラオスを上手く通してくると初めて負け筋が発生するレベル。ほぼ勝ち。

 

[対寿司系統]

 

()

 

去れ!!

キツすぎるので雨で威圧することで早めに片方引かせて合体してもらうしかない。

ヘイラッシャへのペリの暴風の回数を稼ぎ、ウェブタで倒してもらうと、ラッシャがものすごい反動を受けるので勝ちやすくなる。無視された場合はその分暴風が通るので、混乱ワンチャン狙い込みでアド。

(↑とはいえどうすれば勝てるか未だに分かっておらずノリと気合いで戦っている)

 

[対晴れ・イエアルマ]

 

(//)

*イエアルマ入りにはゴリラ確定

 

ハバカミを上手く駆使してマジシャで削るorトリルを返す立ち回りで盤面を有利に導く。

 

[対雨]

 

/(@1)

 

相手のイダイトウを倒せるポケモンで固めることで、構築の崩壊を極力防ぐ。不意打ち+その他の技の集中で完封することができるため、その状態を目指す。雨ミラーは、基本的に雨が降ってなければ構築のメンバーの相性で勝てる方に分がある。つまり、イトウやその他のポケモンに相性で勝っている限り、こちらから雨を降らせてやる必要はない。その方が有利だからだ。そのため、相手はペリッパーを出してくるのだが、私の知る限りペリを強く動かせる他人はほぼ存在しないため、十分に付け入る隙があった。

 

ここからは主要な立ち回りをいくつかまとめ、解説していく。

 

立ち回り

 

○草髪隠し

()

対象:追い風軸

手順:

1.ゴリラ→トルネに蜻蛉(襷潰しや、トルネの横に猫騙し警戒で守られることをケア)→ガチグマ着地

  ハバカミ→(大体鋼テラスを使って)トリル

2.4ターン使ってガチグマ+ハバカミ+ペリで攻め切る

 トルネ+特殊アタッカーの選出を想定した戦術。クローズドルールにおいて、ハバカミのトリル展開が追い風軸に刺さることは先述したとおりだが、この初手からガチトリル路線で来られるとは(オープンだとしても)相手視点では思えない。実際に何度かオープンシートBO3の1本目で試したが、綺麗にはまっていた。

 トリル蜻蛉でガチグマがノーリスクで綺麗に着地するため、そこから4ターンフル活用して攻めることができる。また、グラスフィールドにより徐々に回復できるのも、毎ターン火傷で消耗するガチグマにとってありがたい。

 例えば初手に眼鏡と思われるハバカミやサーフゴーがトルネの横にいた場合、鋼テラスで耐性を変えながらトリルを張れば成功する。木枯嵐まで半減できる優れものだ。

 相手は突然の出来事に置いてけぼりになり、当てもないまま4ターンのトリル空間を彷徨い続ける。異空間に攫われた子供のような有様は、さながら神隠しならぬ「髪隠し」のようだ。(羽撃く髪にかけて)

 初見の相手にはほぼ決まるが、再戦時には裏のガチグマをイトウに変えて、「普通に殴る+雨展開」に持ち込むと相手の対処筋を更に裏切ることができる。

 

○疫災毒豹牙(エキサイトファング)

()

対象:スタンや追い風軸など幅広く

手順:毒テラスパオジアンで攻撃+ウッドハンマー

 パオジアンで突っ張れば対面勝ちできる場合にいきなり毒テラスを切ってぶっ放す技。とはいえ普通に相手を一撃で粉砕する気迫で殴るだけだ。追い風+弱点技で縛られているとパオジアンを突っ張らせることを躊躇ってしまうが、毒テラスにより格闘やフェアリーへの「抗体」を作ることで、その不安を解消しながら攻撃できる。

パオ×ゴリは対面性能の鬼。

 

○熊転(べあてん)

()

対象:初手で来ることが予想されるパオカイ(初見の相手に限る)

手順:

1.パオジ守る+ガチグマで霊テラス地震→相手パオジの襷を割り、ノーマルカイリューマルスケを潰す。

2.パオジ方向に聖剣・神速が来るため、パオジ→イトウ交代、ガチグマ方向の不意打ちを透かすためクマ→ペリ交代

これで全ケア&速やかに雨展開可能。

3.雨で制圧する。地震でアクジェ圏内まで削ったパオジを縛れているため、そのまま撃つか守る読みでカイリュー側に集中するか、場合によって選択。怖かったら素直にアクジェ。

 

 初見の相手に対してはほとんど決まる対パオカイ戦術。パオジアンを前に放置もできず、かといってガチグマも削っておかないと次のターンに大ダメージを受けてしまうため、そもそも相手視点で行動選択が難しい。こちらは、その隙をついてカイリューの聖剣とけたぐりを透かせる霊テラスを切りながら、守る地震でパオカイ両者を削ってアドを稼いでいく。

 次のターンは、パオクマとイトウの縦の補完が取れていることを利用して両交代を行い、有利盤面を維持していく。ここまでの完璧な流れで相手や第三者からは激ウマプレイに見えるだろうが、こちら視点では予定していた通りに動かしているだけなので、精神的負担もほぼない。

参考動画

https://youtu.be/KSy3JuI8eOM

8:23〜

 

 

不利な相手

 

 

 7月終盤にかけて上位帯で数を増やしたポケモンたち。寿司は突破困難、イーユイ悪ウーラは技の一貫と火力がとんでもないことになっているため、相当頑張らないとパーティ崩壊して負け。ここら辺と戦うことをあまり想定していなかったので、増加してしまったのは終盤の勝率低下に大きく響いた。相手のイトウは確かに厳しいが、プレイングで何とかできる範疇ではある。

 

 

成績

 

旧型:テラスクエアbest4まで(別の構築でも抜けてるのでこれで抜けてる回数少なめ)

新型:ランクマダブルS8

最高成績2055・3位  (イケメン)

最終成績1886・247位(ザコ、ブス)

 

 7/29あたりから悪霊に取り憑かれたように勝てなくなって撃沈。最高順位で放置していれば最後まで1桁(5〜7位程度)だったらしい。

 

 突然勝てなくなる原因が分かっていないが、今後も起こる可能性を考えると、ポケパラ権がかかっている8月のランクマは、現実的なラインに留めて終盤4〜5位くらいまで来たら冷静に撤退しようと思う。

 

 

おわりに

 敗因を正確に読み取るのが難しい時もあるが、今回は引き際を見誤ったことと、構築が環境の変化に左右されるレベルだったことが大きいのは分かる。

 WCSでアラサー世代のVGC勢の方々とたくさん交流した。その人たちにほとんど共通してあるものは「具体的な目標を見据え、そこへ向けて自分の身の丈に合う取り組み方を模索する」というもので、ポケモン歴こそこちらの方が長いものの、人生経験の差からくる彼らの素晴らしい姿勢に感服し、自分に足りないところだと感じた。

 確かに7月は少し無理をしていた気がするし、今月の目標である「ランクマ最終1桁を取ってポケパラ権を得る」ことを第一に、新たな構築や取り組み方を考えようと思う。

 構築のクオリティや考え方への納得感は高いので、引き続き「対面勝てるグッドスタッフ雨パーティ」の模索を続けたい。

 

 

 

 ここまで読んでいただきありがとうございました。構築記事の文量じゃないよなと毎回思いますが、私は小説だと思って書いています。今後も当ブログが好きな方は御一読いただけたらと思います。

 「記事の内容(考察や考え方など)が良かった」「ガチで熊転(べあてん)した😅」など好評価いただけたら、フォロー拡散投げ銭してもらえると励みになります。

 

次回はペリッパーの単体解説記事でも書きたいと思います。(ニョロトノ内定による寝取られが発生する前に)

 

 

レギュレーションC環境まとめ

 

*データは毎日開催される仲間大会をもとにアバウトな数字を記載

*全体的に口調が辛口です

 

1.並びまとめ

 

A.パオジアン×カイリュー

コンセプト:不意打ちと神速の先制技で制圧。

想定テラスタイプ:

パオジアン→ 

カイリュー→ノーマル40%飛行60%

特性:カイリューマルスケ80% 精神力20%

持ち物:パオジアン→襷 カイリュー→鉢巻

選出:2体セットで先発/後発、片方選出で後発など、何でもあり。 両方先発は初心者に多そうな気がする。

注意すべき技:

パオジアン→聖なる剣、黒い霧

カイリュー逆鱗(半減でも持ってかれる)、けたぐり

対策:

・数値の高いポケモンで対面で処理する。(難しい)

・先制技を封じる特性持ちを入れる(そもそもそいつらがタイプ的にパオジアン苦手で怪しい)

備考:使用者層が幅広く、崩し性能が高いので使いやすい。対策も難しいため、現環境で3番の指に入る強さの並びだと思う。使用者層の幅が広いのは本当で、先制技を主体としたプランのくせに、先制技を防ぐ特性のポケモンを知らなくて普通に初手から神速撃ってくるやつもいる。

 

B.イッカネズミ×コノヨザル

コンセプト:ネズミでサポートをしながらサルをムキムキにして勝つ。袋叩き→威力250憤怒のコンボが筆頭。

想定テラスタイプ:

イッカネズミ→ 

コノヨザル→炎40%水30%鋼20%

特性:

イッカネズミ→ほぼフレンドガード(ファイアローと出てくるやつはテクニシャンネズミ斬型)

コノヨザル→負けん気60%やる気35%精神力5%

持ち物:

イッカネズミ→ゴツメ、ゴーグル、オボンなどから選択

コノヨザル→残飯60%オボン40%

選出:袋叩きの回数を4回に確保したいため、原則先発

注意すべき技:

イッカネズミ→フェイント怒りの前歯つぶらな瞳

対策:

全体技で一気に圧をかける(ハバタクカミのマジカルシャインなど)

・ネズミを上からワンパンする手段を用意する。

備考:四災の台頭もあって、コノヨザルの通りが過去最高によい。積んで殴るタイプの構築なので、怯みなどの運負けもありがちだが、耐久が高く崩されにくいため、安定感がある。使用者数も3月下旬の現在までとても多く、息の長い並びとして環境トップの一角として存在している。

 

C.ハバタクカミ×イーユイ

コンセプト:高速高火力コンビの全体技で制圧する。

想定テラスタイプ:

ハバタクカミ→妖 イーユイ→

持ち物:

ハバタクカミ→眼鏡、玉

イーユイ→スカーフ、襷

選出:先発、後発どちらも可

注意すべき技: イーユイ→オーバーヒート

対策:S操作や先制技などで更に上から殴って倒す。

備考:CSが高く、どちらも全体技を覚えるため、制圧力が極めて高い並び。お手軽に高火力を出したい時に適当に採用しておくだけでも、そこそこの働きはしてくれるし、初心者にも扱いやすい。ただ、S操作や先制技で一度マウントを取られるとすぐに瓦解してしまうこともあるため、決して万能ではない。イーユイが技を外すことがあるのもネック。襷の可能性があるイーユイはともかく、眼鏡ハバカミでハッサムの前で初手から突っ張ってくるヤバいプレイヤーも一定数いるので、相手にする時は"ここで動くはずない"と信用しないことが重要。

 

 

D.ヘイラッシャ×シャリタツ

コンセプト: ヘイラッシャで無双(相手の1〜3体をもっていくのが目標)

想定テラスタイプ: 地面、鋼、飛行、草、炎、竜など

地震の通りの良さが注目され、レギュB後半以降から地面寿司が台頭してきた。

*チオンジェンメタの飛行や草が現在だと注目されている。虫も見たことがある(多分弱い)

持ち物: 

ヘイラッシャ→残飯70% 玉15% ラム10% クリチャ、マントなど→5%

シャリタツ→スカーフ60%  襷20% ラム10%

玉は地面寿司の証拠だと思っていい。

*ラムなどの毒寿司メタの持ち物は、今後も徐々に数を増やすかもしれない。

選出:

原則→前ヘイラッシャ後シャリタツ

追い風構築→後寿司2体

注意すべき技: 各タイプのテラバースト、眠る、寝言

対策:

・パワー負けしない選出でゴリ押し

クリアスモッグ、黒い霧(モロバレル 、イルカマンなど)

・状態異常(キラフロルなど)

ウインディ、チオンジェンなどのデバフ

・テツノツツミ(アンコール推奨)

備考:最初注目されていなかったが、今や着実に数を増やしている。キラフロルを入れた「毒寿司」が大多数であり、これに対処するためのメタ要素が随所に見られるようになった。寿司の合体中の通りは、これまでと比べるとそこまで良くはないように思えるが、取り巻きのキラフロルやパラドックスのパワーで誤魔化して勝っている人が多い印象。

 

 

E.イルカマン×モロバレル 

コンセプト:序中盤でサイクルを回して盤面を整え、終盤にイルカマンで全抜きを狙う。

想定テラスタイプ:モロバレル

持ち物: 

イルカマン→神秘の雫、玉など

モロバレル →ゴツメ、オボン、ヘドロなど

選出: 前イルカマン後モロバレル 

注意すべき技:

イルカマン→黒い霧インファイト

モロバレル花粉団子

対策:

・水の一貫をなるべく切る。

・イルカより早いポケモンを選出し、ジェットパンチで済ませる(ジェッパなら火力が足りないのでまだ楽)

モロバレル の出てくるタイミングを予測し、スムーズに処理できるよう有効打を入れておく。

備考: イルカマンを介護する構築。バレル以外のメンバーは、ウインディ、テツノカイナ、ハバタクカミ辺りがよく採用されている。これらのサイクル性能が高いため、イルカを通せる状況が作りやすくなっているのがポイント。そのため、相手のサイクルの軌道を見切ることによって、サイクル崩壊を狙う戦い方がオススメ。そのためには、イルカの一貫切りや、バレルへの打点の確保が重要になってくる。

 

 

F.チオンジェン×キラフロル

コンセプト:毒や宿木を巻いて定数で削り、ゆっくりと詰める(orアタッカーの圏内に入れて全抜き)

想定テラスタイプ:

チオンジェン→毒70% 炎、水、妖など

キラフロル→

持ち物:

チオンジェン→残飯80% オボン15% その他5%

キラフロル→襷80% チョッキ10%

選出:前キラフロル後チオンジェン、どちらも前or後など自由

注意すべき技:

チオンジェン→イカサマカタストロフィ

キラフロル→キラースピン、大地の力

対策:

・キラフロルを迅速に処理する。

・チオン詰めルートに入らないよう、なるべく残数有利を確保する。

モロバレル 

ハッサム(チオンのテラスタルで勝てなくなるが、それを逆手に取ることができれば勝てる)

備考:最近になって数を増やしてきた並び。いわゆる陰湿耐久系の構築だが、ハッサムモロバレルなど、特定のポケモンを採用するだけで負担が軽減される面も大きいので、対策という観点で見ればまだ優しい方なのかと思う。ただ、ハッサムモロバレル を倒すためにウインディが選出されたり、飛行寿司と組むケースが多い並びなので、そこは構築単位で抑えておく必要がある。

 

G.ファイアロー×イダイナキバ

コンセプト:追い風+高火力で制圧する。

想定テラスタイプ:

ファイアロー イダイナキバ→地

持ち物:

ファイアロー→鋭い嘴、隠密マント

イダイナキバ→襷60% 鉢巻、スカーフなど

選出:原則は前ファイアロー、イダイナキバは自由(上手い奴は後アローできる)

注意すべき技:

ファイアロー→鬼火、フェイントファストガード

対策:

・トリルをチラつかせる。

・キバを受けれるポケモンで処理する。

・先制技を使う。

頃合いを見てアローを倒しに行く。

備考: レギュBと比べて大幅に数を減らしたが、たまに現れる追い風軸構築。仲間大会で1650行った人も確認したし、本当に弱くて減っているわけではないと思う。イダイナキバの枠は他のパラドックスが何体か入っているが、特にテツノツツミはいる印象が強い。マウントを取られると流石に苦しいが、セオリー通りの対処をすればそこまで困ることはないだろう。

 

H.バンギラス×ルガルガン

コンセプト:岩雪崩を連打して削りを入れ、運で有利を掴みながら対面で殴り勝つ。

想定テラスタイプ:

ルガルガン バンギラス飛行

持ち物:

ルガルガン→襷90%

バンギラス→鉢巻、スカーフ、クリチャ、保険など

選出: 原則は前か後にセットで出す。対他天候時には、前ルガルガンバンギラス

注意すべき技:

ルガルガンインファイトがむしゃら、アクセルロック、ファストガード

バンギラスダメ押し、冷凍パンチ

対策:

・先制技で倒す。

・格闘タイプなどの岩に強いタイプで対抗する。

備考:天候「砂」を利用し、岩雪崩の怯みを押し付けながら戦う。使用難易度はそこまで高くなく、初心者にもオススメかと思う。しかし、運勝ちもあれば雪崩外し運負けもあるという弱点があるため、頼り切るのは危険。がむしゃら+砂ダメージでヘイラッシャを楽に突破できる点は素晴らしいと思う。

 

I.ユキノオー×テツノツツミ

コンセプト:吹雪の全体技で氷の確率を押し付けながら相手をゴリゴリ削って勝つ。

想定テラスタイプ:

テツノツツミ→、霊

ユキノオー→炎、水

持ち物:

テツノツツミ→、ブーストエナジー

ユキノオー→チョッキ、保険、残飯など

選出:原則は前か後セットで選出。対他天候時には前ツツミ後ノオー、または後セット。

注意すべき技:

テツノツツミ→吹雪、アンコール、オーロラベール

ユキノオーオーロラベール氷の礫、大地の力

対策:

・先制技で倒す。

・鋼や炎タイプを使う。

備考: あまり見ない並びではあるが、やることは単純かつ強力で、今後の環境にも刺さる、ポテンシャルを秘めた並びだと思う。吹雪を押していくだけなので、初心者にもオススメできる。ヘイラッシャに強い点も評価が高い。

 

 

2.頻出構築組み合わせ

 

*上記の並びの説明に当てたアルファベットを組み合わせの表記として表現する

 

○ABC(パオカイイッカコノヨ)

Cまで入ってくるかは人それぞれだが、前イッカコノヨ・後パオカイの選出をする構築はよくあるため、真っ先に想定しておく必要がある。

 

○AE(パオカイイルカ)

イルカマンが第3の先制技使いとして機能するため、パオカイと組むことが多い。イルカの引き先となるバレルなども一緒にいると考えていい。ディンルーの枠は自由。

 

ACH(パオカイカミユイバンルガ)

アグロすぎだろ!と思うかもしれないが、こういう相手も普通に考えられる。追い風してもルガンの方が早かったり、先制技で来られたりして辛いので、ペースを掴まれないように戦うのが大変だなと思う。ウインディがこれに雰囲気強そう(ウインは添えるだけで隣に強いポケモンおけば対抗しやすい)

 

○BF(イッカコノヨチオフロル)

前イッカコノヨ後チオフロルでもいいし、フロルを前出しして起点を作り、サルやチオン、ハバカミなどで詰めていく構成もあり。サーフゴーが入ることにより、イッカサーフで指悪巧みから全抜きを狙い、取りこぼしを裏で取るプランも加可能。

 

○E(ペリイルカバレルカイナウイン)

ペリッパーを入れて火力を上げた、イルカに比重を置いた構築。日本人はあまり好まない印象があって仲間大会では中々見ないが、海外勢はペリイルカが大好きで、海外大会のリザルトに直々載っていたりする。ネット予選で海外勢と当たりやすい時間帯に潜る人なんかは対処法を練っておいて損はないだろう。

 

○ACD(パオカイカミユイ寿司)

寿司を取り巻くメンツとして無難な強さを持つ並びをチョイスした構成となっている。毒寿司でなければ、大体このような相手だろう。選出は、前ヘイラッシャ×ハバタクカミ後シャリタツ×カイリューのように、合体するか否かという択をこちらに考えさせる出し方をしてくるのがセオリーである。

 

○DF(毒寿司)

レギュC環境にいる寿司の半数以上はこのような毒寿司だ。最初はキラフロル単体+寿司+自由枠の構成だったが、チオンジェンが台頭してきたことにより、DとFが合わさった形の構築へと変わった。チオンで詰めれる(テラスもしがち)ため、ヘイラッシャは相手を2体ほど減らせれば退場しても問題ないと考える使用者が多い。

選出は、前キラフロル×ヘイラッシャ後シャリタツチオンジェンが大半だと考えていい。フロルが1〜2ターンの間突っ張ることが多く、集中して速やかに倒してしまう立ち回りが高確率で決まる。恐らく相手の理屈としては、「こちらがフロル集中してシャリタツに引かれたら即負け一歩手前のディスアドになるので、フロルに集中してこないから動けるだろう」というものだと考えられる。

 

○CDG(追い風寿司)

*C(カミユイ)と書いたが、この手の構築にイーユイはあまり見ず、いることが多いツツミで代用した。

追い風軸で適当に殴りつつ、裏に置いた寿司で締める構成。構築の方針は至ってシンプルかつ強力。この場合に限り、寿司がセットで後に控えていると断定することができる。

 

CGI(カミユイ追い風雪)

雪構築のテンプレとして考えられるのは、このように追い風アグロで攻めていくか、ウインディが入っていて耐久を盾に対面から殴り合いに来るかの2パターン。難易度が高いことではあるが、吹雪を受ける回数をなるべく減らせる立ち回りを目指したい。

 

 

現存する構築アーキタイプはこんな所だろうか。この後台頭してきたものは順次追加していく。レギュCはまだ始まったばかりだが、環境を知ることで自分に合った構築を見つけ、練習することでより良い結果を出すことにつながる。まずは予選抜けを目指して互いに頑張ろう。

 

 

 

雨と格闘

こんにちは。

 本文は、ポケモンダブルバトルの雨パーティを極めようと考察するものです。シングルダブル問わず新規勢がどんどん参入してくる時期なので、間違いがないよう最初に断りを入れていきます。

 

 雨パを極めるためのポケモン論文、第二回は「雨パーティと格闘タイプの関係性」をテーマにします。本文を読み終えた時に、読者の皆様の格闘タイプを見る目が変わるように、気合を入れて書こうと思います。

 

 また、この文は私の研究成果を残す目的で書いています。そのため、「手早くサラサラっと記事を流し読みたい!」「難しいことはよく分からない!」という方には向いてないかもしれません。果てしない文量なので、一気に目を通さず、2〜3日に分けて読むことをお勧めします。(なるべく分かりやすく書いたつもりではありますが…)

(サムネ用画像)

 

*以下常態

 

[目次]

 

 

 

 

 

 

 

 

はじめに

 雨パーティは、格闘タイプの恩恵を大きく受けている。ピンとくる人こない人両方いるだろうが、雨と格闘はこれまでのポケモン対戦において、深い関係性を維持してきた。意図的であるにせよないにせよ、雨パを組む人は自ずと格闘技を求めていることが多い。

 本論は、そんな格闘タイプと雨の関係性について、「なぜそう言えるのか」「どのような関係性の例があるのか」を明らかにし、更にこの関係がどのようにして成り立っているのかを深掘りして明らかにすることを主題としたものである。

 

<注意>

*格闘技(かくとうわざ)と読む。

*雨パに採用される格闘技を覚えたポケモンを、本論では「雨の格闘家」と呼ぶ。

*論題を想像しやすくするために、具体例→一般化の流れで、帰納的手法で本論を進めている。

ポケモンアイコンをたくさん活用しているので、人によっては読みにくく感じるかもしれないが、ご容赦いただきたい。

 

第一章:雨パにおける格闘タイプの意義

 

 勝てる雨パーティには、高確率でどこかしらに格闘技が採用されている。まずはその具体例を、世代に分けていくつか見てみよう。ただ、本来なら全てのプレイヤーが触れている現行ルールから取りかかりたいが、現行の雨パーティは開拓が進んでおらず、S1で結果を残した構築のポケモンも、格闘技をほとんど採用していないものばかりである。そのため、代表例を上げても伝わりにくいので、最後に回して細かい例としてまとめようと思う。

 

よって、8世代→7世代→9世代の順に扱う。

 

 

例1) ザシアンの聖なる剣/インファイト

 

 8世代の覇者ザシアン。タイプ一致の技を等倍以下にしてくるガオガエンなどのポケモンに対し、格闘技を撃ち込むことができる。聖なる剣は相手の能力UP(ナットレイの鉄壁など)を無視できて反動もない点、インファイトは反動で耐久を落とすがタイプ不一致とは思えない高火力を叩き出せる点において優れている。

 ザシアンは雨パーティとも相性抜群である。VGC2021では私が予選抜けを達成した雨ザシアンアーキタイプが、

(vgc2021.雨雲の剣)

VGC2022ではトップメタ構築のカイオーガザシアンに、キングドラガマゲロゲが採用された構築が存在した。私はボルトロスの睨みつけると組み合わせた速攻性を重視してインファイトを採用しているが、聖剣でも問題はない。雨ザシアンの格闘の主な役割対象はディアルガナットレイであり、それらの防御バフを絡めた戦術に有効に働くからである。

 

例2) 気合玉Zボルトロス(トルネロス)

 

 7世代で流行した限界雨には、雨乞いを覚えたボルトロストルネロスを採用した派生型が一定数見受けられた。

(誰かしらがUSUMレートで最終好成績だったはず)

 限界雨に限った話ではないが、雨パに採用されるボルトロス(またはトルネロス)は、高確率で気合玉Z型であった。「電気(飛行)+格闘+強いサポーター」を全て揃えたハイブリッド型というわけだ。雨パの天敵と言われている(私はそうは思わないが)ナットレイを筆頭に、ガルーラスタン構築のガルーラカミツルギ、トリル構築のカビゴン、たまに来るメガユキノオーなどに対して幅広く刺さる優れものである。

 

例3)  今作のいくつかの例

 

 9世代において、私が使ったポケモンや他人の構築で目についたものをいくつかまとめる。

 

フローゼルけたぐり

 などに有効(無振りに近いものは玉でワンパン)

 

カマスジョーインファイト

 カマスは紙耐久で倒しやすいと思うかもしれないが、中々侮れない。襷を持って雑にぶっ放してくる場合もある。すいすいポケモン最速のため、雨ミラーでも強い。

 

ドクロッグ

 VGC2009チャンピオンが愛用していたことで有名なポケモン。特性の乾燥肌は、雨ターン中最大HPの1/8回復し続ける効果があり、すいすいではないが立派な雨戦士である。

 

キノガッサ

 格闘タイプを持つポケモンの中で、意外にも雨との相性が良い。その理由は以下の通りである。

1.草タイプであるため

2.催眠技を使えるため

 1は、水タイプの処理に手間取る雨と攻撃面での補完が取れている。2は、どうしても構築上厳しい相手に対する誤魔化し性能の高さを意味する。突然テラスタルしてきて切り返そうとする相手の行動にも一貫して有効だ。

 格闘技持ちでこの2要素を満たしているポケモンは、同タイプのヒスイドレディアインファイトを覚えるアラブルタケくらいで、極めて相性が良いと言える。

 

ハリテヤマ(テツノカイナ)のトリパ

 ハリテヤマは、猫騙しでトリル始動を補助しながら、次のターンから根性による超火力で制圧することができる。雨トリル構築を組む際に最も優秀な格闘家と言える。

 テツノカイナは、ハリテヤマと同様にトリルのプランをサポートできるアタッカーだが、水に強い電気タイプを持つ点が、差別化点であり大きな強みとなる。

 私の場合は、ゲームプランに嵌めて勝つ戦い方が好成績を残していることが多いので、ハリテヤマと相性が良さそうである。

このような並びが海外大会で散見されるが、バランスの取れたいいパーティだと思う。と言いつつ一度も触っていないのだが、シリーズ2ではハリテヤマ(テツノカイナ)始動のスイッチ雨トリルも研究していきたい。

 

 これらの中から、今回はドクロッグキノガッサをピックアップし、型や性能を詳しく解説する。

 

ドクロッグ解説

特性:乾燥肌

持ち物:突撃チョッキ

性格:意地っ張り

テラスタイプ:悪

技:ダストシュート・瓦割り・猫騙し・不意打ち

数値:

161(20)-154(108)-87(12)-103(140)-134(228) *C抜け

調整:

[A] 猫騙し+ダストシュートで多少耐久に振ったユキノオー雪補正込みで確1

[B] A特化ヘイラッシャの+2一丁上がりを余裕をもって耐える程度

[D]

C特化ニンフィアの眼鏡ハイパーボイスを乾燥肌の回復一回で2発確定耐え

C特化シャリタツの流星群を乾燥肌の回復と相手のCダウン込みで2発耐え

C特化グレンアルマの玉アーマーキャノンが低乱数1(18.7%)

無補正C252ユキノオーの大地の力を2発耐え

[S] 最速70族と同速(ここはもう少し早くても良さそう)

これは私の使っている型である。ドクロッグはただの格闘タイプにあらず。以下の点において雨とのシナジーがある。

1.乾燥肌

→回復することで絶妙に確定数がずれ、場持ちが良くなる。チョッキと合わせると、特殊アタッカーに対してとても強くなる。

2.毒タイプ

→雨が苦手な草タイプに強い。また、高耐久のフェアリーに強い点も、構築に噛み合っている。

3.壁展開に強い

 9世代の壁戦術は、先発オーロンゲを採用したものだが、ドクロッグ瓦割りを採用すると、倒しながら壁を壊せる。雨の勢いを失速させて高種族値ポケモンで押す壁戦術に強い点においても、ドクロッグは優秀である。

4.寿司構築に強い

 ヘイラッシャ以外の多くのポケモンに対して五分以上の戦いができる。寿司合体前の前半戦では、猫騙しをヘイラッシャに撃てる状況を作ることで、寿司構築特有の択ゲーを減らせる。 

 ヘイラッシャを何らかの専用対策(ゴルダッククリアスモッグなど)を絡めて撃破できれば、残りのポケモン

との撃ち合いで勝てる。倒されてしまうセグレイブ、(ノーマルテラス)ウインディカイリューにも格闘で弱点を突けるため、一方的に不利ではない。

 キラフロル・サーフゴーは、相手の技構成とテラスタル次第で決まる。例えば、大地の力持ちフロルには不利だが、「ジェム・ヘドロ・キラースピン・ニードル」のフロルには一方的に有利、といった具合である。よって、総じて五分といったところだろうか。また、(毒マスカーニャ含めて)撒かれた毒びしを消せるという強みもある。このように、現行の寿司構築に強い要素を持つポケモンなのだ。

5.他天候構築に強い

雨→言わずもがな。ペリッパーの暴風に気をつけつつ(そもそも耐えるが)、相手のすいすいエースを仕留めることができる。

晴れ→コータスの相方の葉緑素ポケモンに強い。スコヴィランは焼き払ってくるので、天候を取られないように注意が必要。

砂→バンギルガンをボコボコにする。バンギラスの飛行テラスタルを強制できるため、上手く飛行になるよう誘導して、カジリガメの餌食にしていた。

雪→チョッキで吹雪を耐え、弱点を突いて倒せる。テツノツツミにゴリ押される可能性があるが、水技を無効化する点を鑑みても有利と言えるし、このポケモンに強いことはこの先とても役立つ。

 

以上がドクロッグの強さである。これほどとは正直思っていなかったので、書いている私自身驚愕している。「雨の格闘家最強の男」の太鼓判を押したい。

 

話が脱線してしまったので、格闘技の話に戻ろう。

・壁構築を重く見るなら瓦割り(オススメ)

・より場持ちをよくしたいなら体力を回復できるドレインパンチ

・火力を重視するならけたぐりインファイト

 

どれも魅力的な長所があるので、構築と相談して決めてよいだろう。

 

 毒技は、毒突きだと威力が足りなくて意味がないため、ダストシュートが必須である。外して負けることが往々にしてあるが、これは我慢するしかない。例えば、「眼鏡ニンフィアを毒突きで倒せなかったので、ハイボを許してしまい、横が倒されました」「マリルリを毒突きで倒せなかったので、滅びの歌を決められてしまい、詰めきれず負けました」などが許されるだろうか?否、役割対象とする相手に役割を遂行されていては元も子もない。外し負けは覚悟してダストシュートを採用するべきである。

 テラスタイプは悪。4倍弱点のエスパーを無効化し、ついでに不意打ちの威力も上がる。これにより、サーナイトに勝てたりグレンアルマとも殴り合えるようになる。アルマのテラスタイプは、「草・エスパー・悪」が代表的だが、全て弱点を突けるので、案外不利でもない。

 変化技にも恵まれている。手助け・挑発・アンコール・ファストガードなど… 何でもできるのだろうか?

 

不覚にも語りすぎてしまったが、ドクロッグの説明は以上である。

 

キノガッサ解説

特性:テクニシャン

持ち物:拘りスカーフ

性格:陽気

テラスタイプ:鋼

技:タネマシンガン・インファイト・キノコの胞子・岩石封じ

数値:

158(180)-159(68)-101(4)-81(4)-134(252)

*C抜け

調整

B:A特化鉢巻カイリューのノーマルテラスタル神速を高乱数耐え(12.5%)

S:ファイアローや準速+1ギャラドスなどを抜ける最速

 

 先発に出して盤面をコントロールする型。なぜか初見で見抜かれないので、意表を突いて一気に試合を有利に運ぶことも多かった。型が分かっていても、このポケモンが作るゲームプランを咎めることは難しいため、依然として試合を有利に進めることができる。

 例えば、私はサーフゴーと組み合わせて使っていた。ゴールドラッシュを通すサポートをするというわけである。立ち回りのパターンは主に3〜5つある。

 

1.インファイト+ゴルドラ

 ゴルドラを半減してくる相手の鋼にインファを打ち込み、圏内に入れる。

2.タネマシンガン+ゴルドラ

 同じく水タイプを大きく削ってゴルドラ圏内に入れる。

3.岩石封じ+ゴルドラ

 サーフゴーを倒せる高速アタッカー、例えばマスカーニャなどに対して、上から岩封で襷を剥がしつつ行動順を操作し、先にゴルドラをぶち込む。カイリューマルスケやミミッキュの化けの皮を剥がす際にも大変有効である。

4.岩石封じ+シャドーボール

 サーフゴーミラーで使用する。行動順を明確にし、確実に敵のサーフを仕留める。ただ、構築にヤミカラスがいると一方的にやられるので、この出し方はしない。

5.キノコの胞子+ゴルドラ

 上記の立ち回りではどうにもできない相手や、再戦でこちらの動きに対して交換などでケアを行う相手に使用する。草タイプや一部の催眠耐性キャラ以外の全てに一貫するため、相手はスカーフガッサに全て止められてしまう。長期的に見ると攻撃するよりも有効な選択であることが多い。

 

 このように、隣の強力なポケモンと連携する時に、「胞子・マッハパンチ・草技・守る」の一般的な襷ガッサよりも仕事ができる。"何より"意表が突けるのではなく、意表を突いた先に展開できるものが多い戦術である。

 

 テラスタイプは、飛行やエスパーを受けるために猫騙し+αで縛られている時にも、鋼テラスで耐えてさえしまえば、後はどうとでもなることが多かった。

 

キノガッサの説明は以上である。

 

強い格闘家たちの共通点

 これらの雨パに採用される「格闘家」たちに、何か共通点はあるだろうか。その答えは、「格闘以外のタイプが対雨ポケモンに強い」ということである。多くの優秀な格闘家は、水タイプを半減してくるタイプに弱点を突けるタイプを有している。

→水に強い

→水に強い電気

→水に強い電気

→草とフェアリーに強い

→草に強い飛行

→ドラゴンに強いフェアリー

 

この格闘以外のタイプは、構築内でどの程度活躍できるかの一つの指標となる。

 

 

第二章:対戦環境と雨の格闘家の関係

 

 雨パに採用されるポケモンの格闘技が様々な局面で刺さるという事実は、いつの時代も共通している。

「格闘技が刺さる」を言い換えると、雨パが水技(又はアタッカーのもう一つのタイプ技)で処理することが困難なポケモンに対し、格闘技が代わりの決め手になっている(=一撃で倒せる)、という状況を指す。

→では、そのような「処理するのが困難なポケモンたち」とは、具体的に誰のことだろうか。一度タイプ別に整理し、共通点を見出してみよう。

 

対雨&格闘弱点ポケモンまとめ

 

・水技に耐性を持ち、雨の弱点を突けて、格闘タイプを苦手とするポケモン

・水は等倍だが、こちらからは倒しきれずに切り返されてしまう、同じく格闘弱点ポケモン(一部水2倍以上の例外あり)

を扱う。

*世代別には分けず、伝説のポケモンも含める。

*テラスタル時のポケモンは()内に記載する。

*かなりマイナーなポケモンや特別雨に強いわけではないポケモン(ルガルガンやウーラオスなど)は省く。

 

<ノーマル>

()

種族値が高く、超火力を叩き出せる者、いやらしいサポートをする者、ノー天気の使い手など、層が厚い。こちらの格闘の有無で試合展開が最も変化するタイプだろう。

 

<炎>

本来雨で容易に倒せるため、ここにカウントしたくはなかったが、試合展開の構造上、雨パ側が炎タイプを重く感じる現象もあるため、あえてカウントした。

 

<水>

5世代ではトドゼルガの、8世代ではラプラスの全盛期の時代があった。

 

<草>

戦い方は多彩だが、その多くは攻撃力は高い。

 

<電気>

頑丈や襷などで行動補償があり、高火力電気技や麻痺で甚大な被害を与えてくるという特徴がある。

 

<氷>

フリーズドライの存在が大きい。天候を書き換えてくる者もいるので、等倍でもカウントしている。最も雨パに仇なすタイプと言えるだろう。種族値の平均値もかなり高い。

 

<地面>

このポケモンだけは話が別。ただ倒せないだけでなく、場に特攻デバフを仕掛けてくる点もいやらしい。

 

<岩>

倒すのは簡単だが、特殊な能力で雨パを追い詰めてくるキャラが多い。よって、同じく水が等倍以下のポケモンもカウントしている。

 

<ドラゴン>

必ずしも弱点を突かれるわけではないが、種族値の高さと技範囲の広さで全てを解決してくる。

 

<悪>

()

 

種族値が高いのは他タイプ同様だが、デバフ行動ができるものが多い点は、悪タイプ特有のものだろう。

 

<鋼>

()

種族値が高い(4回目)。積み技により要塞化し、手がつけられなくなるポケモンが多い。

レジスチルはVGC2021にて鉄壁型が流行していた(本戦にて選手によるあからさまなメタが施されるレベル)

 

 私は、これらのポケモンを3種類に大別可能だと考える。

 

1.水タイプ(雨)に弱点を突けるポケモン

2.種族値で対抗してくるポケモン

3.天候に干渉できるポケモン

 

に分ける。少し考えれば気づきそうなことなので「そりゃそうじゃ」と言われるかもしれないが、順に説明していく。

 

1.対雨ポケモン

など、水タイプをほぼ一撃で倒せる共通点がある。「雨対策枠」と呼ばれるものだけでなく、「サーフゴーは10万ボルトを覚える」など、技は不一致だが水に有効打を持つポケモンも同様である。勿論種族値も高いが、1はタイプ相性を駆使して攻撃を仕掛けてくる。

 

2.高種族値ポケモン

など、1のようなタイプ上の相関はほとんどないが、圧倒的な耐久や攻撃力で雨と渡り合える力を持つ、という共通点がある。これらを中心に、スタン系構築が構成されることが多い。など、積んだり単純な数値受けをしてくるタイプのポケモンもいる。

 

3.天候干渉ポケモン

は、こちらの天候によるパワーアップを妨げる共通点を持つ。天候を奪われることによって、元々タイプ上有利な岩タイプでも平等な相性になってしまうため、結局単純な殴り合いに持ち込まれて種族値の差で負けることは珍しくない。

 

 この3種類の区分のうち、ポイントとなるのはパターン2であると考える。なぜなら、2に区分されるポケモンは、スタンダード構築の中心に位置することが多いからだ。これらのポケモンは、構築の要として積極的に選出される。その例として、7世代のガルーラスタンを用いて考察してみよう。

 

   

まずはメガガルーラを軸に構築が決まる。

補完となる高数値のポケモンが加わる。この内格闘が弱点のポケモンは、

などである。何れも構築に入る可能性は十分にあり得るが、特にヒードランカミツルギが入りがちだ。

ズルズキンは6世代に、特にトリプルバトルに多くいた記憶がある。

また、格闘を半減以下にするポケモンは、

辺りが一般的だろう。

 これらからなる相手の構築において、構築軸であるガルーラは残しつつ、雨パーティに対して積極的に選出したいポケモンを想定すると、

-()--/()

となる。水で倒される可能性をなるべく廃し、パワー負けや盤面を取られる展開もさせない、隙のない選出である。

 この選出を雨側にとっての最悪の選出、つまり相手側の最善の選出「A1」とする。そして、A1をベースとした相手の構築・選出パターンに対して、格闘技がどの程度通るのかを検証する。

 

格闘一貫率の導入

 ここで、格闘技がどの程度相手の構築に通るかを「格闘一貫率」という造語を用いて数値化する。例えば、明確な一つの選出につき、格闘弱点のポケモンが1体いれば、選出の1/4に格闘が通るため、「格闘一貫率25%」と表す。構築6体のうち1体格闘弱点がいれば、通りは1/6なので「格闘一貫率16.7%(小数第二位繰上げ)」と表す。

 注意しなければならないのは、構築全体での数値と実際の選出の数値が異なることだ。例えば、格闘弱点が1体で16.7%だとしても、そのポケモンが選出されるという確証がなければ、実際の一貫率は0%、その試合において格闘技は意味を成さなくなる。これを認識した上で、相手の最善の選出を、より正確に具体的に見積もる必要がある。こちらにとって最も都合の悪い選出を想定しておけば、実際の選出が予測と違っても、困るどころか有利になるため問題ないだろう。(あるいは格闘一貫率も上がる)

  また、この格闘一貫率は、最低でも相手の半数以上に通れば格闘タイプとして効力を発揮しているため、50%以上を高い(満足値)、未満を低いと定義する。

 

格闘一貫率

・構築や選出での格闘技の通りを数値化したもの。

・構築全体での率とその時の選出での率を分けて見る必要がある。

・格闘一貫率50%以上を高いものとする。

 以上を踏まえて、具体例を用いながら格闘一貫率の度合いを考察する。

 

例1:gen7ガルーラスタン

 

こちらの構築

格闘枠:(毒突きは無い)

があるとする。

 

対する相手の構築全体

への格闘一貫率は、3/6なので50%。

 

A1:

に対しては、ガルーラとカミツルギが格闘を弱点としているため、格闘一貫率は1/2で、同様に50%である。

 相手は、クレセリアを盤面調整の基軸にしつつ、カプレヒレカミツルギを上手く通すことを目標にする。ガオガエンが重めだが、レヒレ水Zやツルギの聖剣、ガルーラの圏内に入れてゴリ押しするなどで対処できる。ただし、雨に対しては最善と思われる選出でも、ナットレイに対してやや手薄なので、ここに選出を変える余地が生まれる。

 本題に戻り、この相手に対して雨と格闘がどのように機能するか、キングドラジャラランガを出すかどうか」を考察する。

 結論から述べると、少なくともキングドラはほぼ出せない。こちらの構築がどう変わろうが、「レヒレ+ツルギ+サポートポケモンの構図は変わらず選出される。そして、キングドラはレヒレの攻撃をチョッキやHDでもない限り耐えることができない。トリルを許すかワンパンされるかの理不尽な択を常に強いられているので、雨エースがキングドラのみの場合は、雨選出の強みはどうしても低くなってしまう。

 一方で、ジャラランガにはまだ選出の余地がある。一度専用Zを撃てればレヒレクレセ以外の全員と有利に戦えるからだ。構築全体の格闘一貫率が50%なのに対し、ランドロスにも比較的強く、クレセにもゴリ押しが効くため、実際に見込める仕事量はおよそ4.3/6、71.7%程度だと考えられる。(4.3/6はあくまで私の体感)

 しかし、試合中に常にレヒレに怯える展開が続き、一度瞑想を積まれると「隣の守る+ムーンフォース」で簡単に切り返されてしまう。この影響により、最終的な仕事量は71.7%→50〜60%程度に落ち着いてしまうだろう。

 よって、こちらの選出は、

確定:(呪いナットならより安定)

準確定:(ツルギに撃てる暴風、火傷の期待ができるガルへの熱湯、ランドやドランへの牽制)

選択枠:/(ジャラはレヒレ以外に強いので気持ち出したい、ボルトは挑発があればテンポを取れるので優先順位↑だがガルーラがキツい)

暫定:

がひとまず安定している。ガエンでサポートしつつナットを上手く通すことができれば、こちらが有利なマッチングである。

 

 互いの選出が固まったところで、別の選出の可能性を考える。相手はナットが重く、グドラが出てくる可能性も低いと認識している。よって、ガルーラかクレセリアヒードランに変更する可能性が出てくる。ドランはガエン+ナットの並びに強く、初手で出し勝てばそのままテンポを掴めるポケモンだ。クレセでサポートをしながら先に身代りを張ってしまえば、ペリにの前でも動かしてガエンナットに圧をかけることができる。

よって、

A2:(50%)

A3:(75%)

と選出が変わる場合がある。盤面操作の要であるクレセを残すのが基本だと思うが、高火力捨て身によってペリの処理速度が上がる利点があったり、クレセ抜きでも勝てるとプレイングに自信がある人もいることから、ガルーラを残す可能性もなくはない。

 

 このように選出が変わると、A3(3/4→75%)のように、場合によっては格闘一貫率が上昇する現象が起こり、格闘というタイプの需要が更に高まる。A1をベースとしつつ、A1〜3までの可能性を想定すると、構築全体の格闘一貫率50%に対して、実際の格闘一貫率は50〜75%を保っているのである。

 ただし、自信を持って格闘タイプのジャラランガを選出すればいいかと言われると、そうではない。キングドラを出せない理由と同様に、ジャラランガもまたヒレに大きく行動を制限されているという問題が残るためである。これは、ジャラランガがフェアリーを弱点とすることが原因だ。要するに、レヒレに無化抵抗な格闘タイプのポケモンでは、この構築に格闘として安定した役割を持つことが難しい。よって、ジャラランガは別のポケモンに変える必要がある。

 レヒレに打点を持つ格闘タイプで候補に上がるのは、1章で紹介したや、メガルカリオ毒突きを覚えたチョッキマッシブーンなどもあり得る。

 しかし、これらよりも良い改善方法が存在する。同じく1章で紹介したボルトロスの格闘Z型への変更だ。

 本来化身ボルトロスは、構築内でサポーターの役割をこなす。6世代なら「電磁波+威張る」、8世代なら「怪電波」といった優秀な技を、「悪戯心」による先制で使用できる。雨パにおいては、天候の取り合いに勝てる「雨乞い」や、トリルを止める「挑発」などに需要が生まれる。

 本章での雨ボルトロスの最初の技構成は、一般に想起されるだろう、「雷or10万ボルト/雨乞い/挑発/守る」からなるものである。この型は、トリルを止め、レヒレの弱点を突いて圧力をかけるという役割において、選出の余地が生まれる。

 しかし、せっかく格闘一貫率が高い選出をせざるを得ない構築と相対しているのなら、ジャラランガを選出しなくても、打点として格闘は残したい。そこで、ボルトに気合玉を覚えさせ、ガルーラやツルギ、ドランにも役割を持たせることで、相手の選出の3.2/4(クレセに有利ではないが挑発は刺さるため+0.2)に強くしようというわけである。

 このように、「有名な構築の選出を予測→格闘一貫率を見積もる」ことにより、どんなポケモンに格闘技を与えるのが効果的か(あるいは格闘持ちを選出するかどうか)が分かる。そして、対雨ポケモンへの対抗になるタイプと格闘を合わせ持ったポケモンが、相手の手持ちの多くの行動を制限することにより、盤面に余裕が生まれ、なるべく相手の行動に左右されない「支配的な行動選択」が取りやすくなる。

 

 まとめると、格闘一貫率は、

1.構築の中心となる種族値ポケモンの多くは、偶然にも格闘で弱点を突ける傾向がある。

2.構築の補完として、雨を対策できるタイプを持つポケモンがいくつか入ってくるが、それらにも大方格闘が等倍以上で刺さる。(あるいは草などの格闘ではない方のタイプで大抵弱点を突ける)

3.結果、相手の雨パに対する選出は、「格闘家」にとって有利なポケモンで似通ってしまい、格闘家を選出している雨パ側が有利な試合を展開できる。

という流れで、雨パーティに対する相手の選出で高数値を記録する。

 

例2:旋律ラプラス構築

 8世代のVGC2020〜21に台頭した、ラプラスのキョダイセンリツを軸に超高耐久のポケモンたちで少しずつ盤面を詰めていく(単純なビートダウンができる軸と共生している)構築だ。

(66.7%)

このような並びが雨に対抗する選出は、

B1: or(75%)

B2:or (50%)

となり、いずれも高い格闘一貫率を維持している。ラプラスを出さない意味があまりないため、B1の選出が一般的だろう。ただ、この世代においては、ダイマックスとサイドチェンジの存在が格闘一貫率を大きく誤魔化してしまい、ポケモン本来のゲーム性が失われていた。しかし、理論上は格闘の重要性が高く、例えば当時活躍したローブシンを採用していれば、雨に滅法強いこの構築に対して互角以上に戦えたことは間違いない。

 

例3:寿司構築

  今作最大のアーキタイプである寿司構築は、(格闘一貫率の高くない並びも少なからずあるが)一貫率が高くなる選出が比較的されやすい印象がある。

C1:(50〜60%)

(50〜60%)

選出は人によるので断定はできないが、このような並びでこのような選出を何度もされた。ヘイラッシャが鋼テラスタルだと、更に格闘の通りは良くなる。

 

C2:(33.4〜40%)

(50〜60%)

砂+寿司の組み合わせ。(雪パターンもある)バンギルガンを選出してくることが多く、ヘイラッシャやサーフゴーも鋼テラスの可能性があるため、実際の選出では格闘一貫率が高い。

 

 カイリューやフェアリータイプが入った寿司には一貫率は下がるが、格闘が通る選出をしてくれる相手が謎に多く、「ラッシャ倒れたら誰でドクロッグ倒すんだよ」と言いながら対戦していた。

 

例外

 これは雨パーティならではの現象である。別の構築では絞り込み辛い相手の選出も、雨だからこそ特定できるからだ。例えば、私が7世代で愛用していた雨以外のパーティは以下の通りだが、

これに対する例1のガルーラスタン側の選出は、

(25%)

か、それに近いものが安定している。カミツルギを出す必要性があまりにも薄いため、格闘一貫率は25%と低い。仮にリザードンに気合玉を仕込んでいたとして、ヒードランに上手くヒットさせるのは難しいだろう。

 このように、雨以外の構築では安定した高い格闘一貫率が見込めないため、格闘の重要性が薄れる。格闘一貫率は、雨パならではの概念と言えるだろう。

 また、格闘一貫率が低いスタンダード構築もあるため、格闘一貫率が全てのスタンに当てはまらないのではないかという意見もあるかもしれない。その例として、7世代のテテフグロス構築を見てみよう。

(16.7%)

 格闘の活きる場面は丁度バンギラスが出てきた時のみ。ここまで格闘というタイプが通らないアーキタイプも珍しい。どの選出をされても一貫率は低いままだろう。

 しかし、この構築は、トリトドンさえどうにかすれば、基本の雨コンボと付随する鋼タイプの補完ポケモンの範囲で勝ててしまう。

()

のように選出してしまえば、基本的に有利を取れるので問題ないだろう。

 つまり、格闘一貫率が低いスタン構築は、雨への耐性が低いため、そもそも勝てる相手であるというわけである。格闘一貫率とは、あくまで対雨要素の強い構築への強い対抗馬を編み出す助けとなる概念なので、仮に一貫率の低い相手の構築と当たっても、問題になるどころか寧ろチャンスなのだ。

 

結論

・雨パは格闘タイプと相性が良く、高いシナジーを持った「格闘家」が、強い構築には選出されている。

・優秀な「格闘家」の条件は、格闘以外のタイプが雨パに耐性を持つポケモンの弱点を突けるか(ドクロッグの毒タイプなど)が大半を占める。

・環境の中心に位置する高種族値ポケモン、及び雨パを対策できるポケモンや、他天候ポケモンの多くは、格闘タイプを弱点としている。

・それらが一つの構築にまとまり、雨パに対して選出されることが多いので、格闘家に弱い選出が出来上がる。

・格闘というタイプを有効活用した、勝率の高い立ち回りのできる構築を作るために、格闘一貫率という概念が役に立つ。格闘の通りと選出全体に対する通りを両立できるポケモンを考察することが重要である。これは雨パーティならではの考え方である。

 

おわりに

 雨パーティが格闘タイプの恩恵を受けるメカニズムを説明できたかと思う。この理論は、少し乱暴に言い換えれば、「スタン構築や砂・雪天候が消えない限り、雨の格闘家は強くあり続ける」となり、雨パの中だけではない、ポケモン対戦の歴史に根付いたものだと考えられる。

 今回格闘に焦点を置いて考察したように、ポケモン対戦の構築の成り立ちや、試合中のプレイヤーの心理などから何かを一般化しようとする試みは、ポケモン対戦をメタ視点で構造的に理解する、非常に意義のある行為ではないかと思う。今回の格闘タイプをきっかけにして、今後もたくさんのことに考察の目を向け、構築力を向上させたい。

 

 

 

 ここまでお読みいただきありがとうございました。長々と説明しましたが、書ききれない部分もあったり、分かりづらい表現になっているかもしれませんので、少しでも読みやすくまとめられるように今後も精進します。「ここガバガバすぎ」「この部分要らなくない?」などの意見や質問は個別に受け付けるので、DMやリプ欄へどうぞ。

 

 次回は「ニョロトノペリッパーについて」か「雨パの選出が炎タイプを苦手としてしまう逆転現象」について書く予定でいます。

 

 

 

 

「雨パにはナットレイ」の罠 [ポケモンダブル]

こんにちは、NoFaceです。

対戦理論記事にハマりつつあるので、シリーズ化を真面目に検討しています()

テーマはどれも雨パのお話で、私がこれまで雨パ専門プレイヤーとしてやってきて感じたことを言語化して残すのが目的です。

今回のテーマは

「雨パのナットレイについて」

大きく分けて以下の流れで綴っていこうと思います。

 

○目次    

 

*以下常態

 

1.はじめに

5世代から登場して以来、様々な構築で活躍するナットレイというポケモン。雨パーティにおいても例外ではなく、

「雨パにはナットレイ

と言われ、雨要員の補完として親しまれてきた。私も数えきれないほどお世話になっている。今回は、そんな雨ナットレイの在り方について考察したいと思う。

 

2.一般的なナットレイ

そもそも雨ナットは、何故雨パーティとの相性がいいのだろうか?ポケモンダブル界では具体的にどのような強みを評価をされて、雨パに採用されているのだろうか?

2-1.雨ナットレイの強み

一般的な雨ナットの評価点は、大きく分けて以下の要素に分かれる。

 

❶雨要員と縦の相性補完が良い(電気・草を半減など)

トリックルームの対策になる

❸単体での詰ませ性能が勝ち筋を作れて好評

❹草タイプ

❺フェアリーの処理ができる

 

❶ 弱点が被りやすい雨パは、他の構築と比べて交換がしづらい。しかし、雨エースが苦手とするタイプの攻撃はナットレイがほぼ半減で受けてくれるため、安定した引き先となり、取るべき行動が分かりやすい。

また、ナット自身も雨の恩恵で4倍弱点の炎を耐える可能性が出てくるので、他の構築と比べて動かしやすくなっている。

❷S20と鈍足なため、相手のトリル下で暴れることができる点が、単なる補完枠以上の重要な役目をナットレイに与えている。鉢巻を持つと雨の障害となる大体の相手を一撃で倒せる。

❸従来の宿木守る戦法に加え、8世代ではボディプレスを習得し、主流の型となった。次の表は、8世代最後のダイマあり全国ダブルS20でのナットレイの技使用率の統計である。

 

ボディプレス鉄壁がそれぞれ3.4位なのに対し、メインウェポンのパワーウィップがまさかの5位、次いでジャイロボールが6位まで低下している。このことから、現代のナットレイの型の主流はほぼ鉄壁ボディプレス型なのではないかと思う。構築に合わせてどちらかを抜いて攻撃技を採用している人も考えられるが、実際、皆さんもナットを選出画面で見た時、第一に鉄壁プレスのセットを警戒するのではないか。

そして、このデータからは、「多くの人がボディプレス以外の攻撃技を切っている可能性が高い」ということが言えるだろう。この情報の有無で、例えば「水地面のポケモンをナット前で動かせる」など、取るべき行動が大分変わってくる。

❹雨で突破するのに時間がかかる水タイプに高威力の打点があるため、シナジーが極めて高い。

しかし、上記の通り、ナットの本来のタイプの技の採用率は落ちている傾向にあり、パワーウィップなどの強力な草技を採用しない雨ナットが数多く存在すると思われる。実際私も何度も遭遇している。

❺雨選出は、カプレヒレトゲキッスニンフィアなどの高耐久フェアリーを苦手とし、対面で分が悪いという弱点がある。これは、攻撃の要がキングドラやルンパッパであることが大きな要因だ。

鋼タイプのナットはこれらに大ダメージを与えて雨に貢献するという、草タイプ同様のシナジーを持つため、ここでも相性が良いと言える。

 

この❶〜❺の特徴を持ち、ナット自身の種族値も高いため、大多数のプレイヤーに信用されている。

 

2-2.型の変遷

昔のデータを集めるのも難しいため個人的見解も含むが、概ね次のような変遷を辿っていると言えるだろう。

 

<5世代>

初登場。残飯持ちで宿木/守る/草/鋼の基本形が確立された。あまり聞いたことはないが、ジュエルによる奇襲型もわずかに存在していたかもしれない。

<6世代>

フェアリー登場により、鋼タイプとしての需要が上がったと思われる。また、当時までは麻痺の弱体化前であり、環境単位で評価が高かったことから、S操作も兼ねられる電磁波を採用したプレイヤーも見受けられた。私はこれをとても気に入っている。

<7世代>

GSルールでカイオーガに安定した即死ダメージを与える草Zが個人的に評価が高かった。

また、この世代で流行した「限界雨」の型である「拘り鉢巻」が、最も数を増やした世代でもある。

<8世代>

ボディプレス登場により、環境の半数以上が鉄壁プレス型になる。ただ、この世代でも猛威を振るうトリトドンを意識してなのか、宿木/守る/鉄壁/プレスのいずれかを草技に変更している人も見受けられた。

 

3.問題提起

ここまで雨ナットの実態を整理した上で、私は既存の雨ナットに対し、二つ問題があると感じている。

 

一つ、雨と鉄壁型の相性が良くないのにも関わらず、特に深く考えずに鉄壁型のナットレイを採用してしまう人がいること。

一つ、「雨パにはナットレイを採用しておけば間違いない」と、ナットレイを盲信してしまう人が多すぎること。

 

前者は雨とナットの関係性の本質から遠ざかる行為であり、後者は視野を狭める行為であると考える。そして、初心者を始め雨パーティを使う人の多くが陥りがちである。

ここからは、なぜこれらが誤りだと言えるのかを説明する。そして、これから雨パを使う人がこれらの問題が原因でレートで苦戦し、雨を使うのをやめてしまうことがないように、ナットの良い使い方の一例などを紹介したいと思う。

 

 

4.本論

まずは雨ナットの構築上の役割を再確認し、その上で鉄壁型がなぜ不適切なのかに繋げたい。

*強み→活躍が見込めるポイント全般

 役割→数ある強みの中でもその構築内で何を優先しなければならないか

このような使い分けをしている。

 

後半では、「雨パにはナットレイ」がなぜ危険なのかを説明する。

 

4-1.雨ナットの役割

2-1で述べた一般的なナットの強みを踏まえて、ナットレイというポケモンが雨パにおいて何をしなければならないのかを論じる。

ナットの役割についてTwitterで軽く調査をしたところ、次のような意見をいただいた。

・(トリル対策など以外にも)雨ミラーのために採用されている。

→7世代限界雨流行期のように、環境によっては雨ミラーが多発する可能性があり、その場合は鉢巻ナットのパワーウィップが勝負を有利に進めるため、確かにその主張は妥当である。(私はミラーした場合のことを考えずに作っているため、新鮮な発想に感じた)

 

この意見も踏まえて、私の見解に移ろうと思う。

 

前提として、雨パーティというものは、威力を上げた水技での突破を第一の攻撃手段とする。

それならば、水技を半減で受けてくる相手の水タイプは、突破するのに時間がかかり、制限つきの雨ターン中に勝ちきれないという問題が生じてくる。

そこで、水タイプに大ダメージを与える(かつ相手の草電気の一貫を切れる)草タイプのポケモンが、雨選出と攻撃補完的に相性が良いと言える。

 

ただし、草タイプというだけなら、カミツルギやゴリランダー、モロバレルなども候補に上がってくる。カミツルギは同タイプ、ゴリランダーはトリル下でも先制攻撃ができるし、モロバレルは妨害技でトリルのテンポを崩せる。

このように、ナットと共通項を持つ草ポケモンは存在する。しかし、ナットは水に高い打点を持つ(バレルでは難しい)、トリルの対策枠になる(ツルギでは対応不可)、鋼への高い打点を持つ(バレルでは難しい)という三つのありがたい要素を満たした草タイプであるため、数ある草タイプの中から雨に採用される場合が多いのだ。

つまり、ナットレイは第一に「最良の草タイプである」という点で、雨パーティの試合展開に大いに恩恵をもたらしているのである。

よって、草技で相手の水に大ダメージを与えることが、必然的に雨構築上でのナットレイの第一の役割となる。

*先程紹介した雨ミラー対策という意見も、水に大ダメージを与えるという役割の中に含まれる。

 

第二に、トリックルームの牽制枠」であることが重要だ。鉢巻による崩しや、鈍いで積みエースになることで、相手のトリルを逆手に動ける。ただし、ナットにパワーが足りないと、相手に圧をかけきれず、こちらの横のポケモンを多く減らされてしまう点は注意が必要である。

*もしトリルを確実に封じる手立てがあるorトリルを張られても構わない構築にできるなら、ナットは必ずしも必要ないと私は思う。その場合、解禁されているなら即カミツルギを使う。

 

以上の二点が、雨ナットがこなさなければならない役割だと私は断言する。当たり前のことを言っているかもしれないが、これを再確認した上で次の話に移る。

 

4-2.要塞型の問題点

ここまでの流れから分かる人もいると思うが、攻撃技をボディプレスのみにした要塞型のナットレイは、上記の役割を放棄している。ここでいくつか例を挙げて、これがどう不味いのかを検証してみる。

 

*こちらの盤面は、いずれもキングドラナットレイ(裏ニョロトノ固定)とする

ダイマックスは使用不可とする

例1) 

対面()

キングドラクレセリアを削り、裏のヒードランまで処理したいが、レヒレムーンフォースで倒されてしまうため、行動を制限されている。ここで、本来ならグドラを一度守らせ、レヒレパワーウィップを振る(→グドラ圏内に入る)のが、一先ずの安定択となる。

しかし、ナットがジャイロはおろかボディプレスしか覚えていないと、レヒレへの打点が皆無となり、瞑想の起点にされ、ムンフォを何発も許してしまう。グドラで残数を減らせないため、ナットが要塞化したとしても裏のヒードランを合わせられて詰む。瞑想を積まれクレセのサポートも絡むと、こちらの裏の4体目が誰だろうと巻き返すのは難しいだろう。

 

例2)

対面

ミロカロスはとぐろ催眠型が有名で、起点を作られると大変なことになる。そのため、早めにウィップを入れて削り、グドラの竜星群圏内に押し込まなければならない。しかし、ここでも草技がないためミロにガン起点にされてしまい、全員眠らされる。

 

例3)

対面

トドンの呼び水で全ての雨エースは水技を制限されるため、速やかにナットで処理したいが…

以下同文。

 

構築上の役割を放棄すると、このような悲惨な思いをしてしまう。なぜ、要塞型ナットはこのような事態を招いてしまうのか。

その答えは、この型が構築で浮いてしまっているからだと考える。役割を放棄するということは、味方にほとんど恩恵を与えずに存在するということだ。ナットだけ独りで戦っているようなものである。

そうなってしまえば、それは最早構築とは呼べないのではないか。縦横のポケモン同士が連動して盤面が動いていくからこそ、"構築"同士をぶつけ合うポケモンバトルは面白い。鉄壁型のポケモンは、適切に組み込まないと、バトルの魅力の一つを損なう結果を生むと私は思う。

しかし、鉄壁ボディプレスという戦術自体が、なまじ単体で完成された強力な戦術でもあるため、たとえ構築単位では破綻していても、噛み合いが良いとナットのゴリ押しで無理やり勝ててしまうことがあるのも事実。それゆえに、雨ナットには不適切だと気づきにくいのだろうと感じる。

また、要塞型の立ち回りを見ると、ナットの体力を確保して要塞化を完成させることが目的に変わっている人が見受けられる。あくまで体感だが、そのような人はしきりに宿木を入れたがる印象がある。そのターンに鉄壁を押されていたら負けていたが、相手が宿木から選択していた故にこちらに余裕ができて勝てた試合を私は何度も経験した。要塞化したら詰む駒というものは、そこにヘイトを集めておいて隣を安全に通す動きもできた方が強いと思うのだが、ナットを介護する人はそこにばかり意識を集中し、ナットを残すには鉄壁が先か宿木が先かで迷ってしまい、行動がブレているようにも感じる。

 

以上が要塞型が陥る問題点となる。

 

*8世代のナットレイのデータを見ると、鉄壁の使用率は初期こそ低かったが、S12(冠ダブル)辺りからは使用率が平均4〜5番目へ上昇し、S19.20では4番目で安定している。雨ポケモンとの関係は、S1〜7ではペリッパーが3/7ヶ月分、S8〜20(3シーズン分の竜王ダブルを引く)では、ニョロトノキングドラがそれぞれ5/10ヶ月分使用率ランキングtop10にランクインしている。

環境のナット全てが雨ではないし、全ての雨ナットが要塞型とは言えない。ただ、雨要員はナットと同時に使用されていることが多いため、ナットの雨率は比較的高い。そして、鉄壁の使用率は初期に比べて大きく上昇している。このことから、雨に要塞型が採用されている確率は上がっていると思われる。

加えて、雨パの情報を誰よりも追っている私個人も、ペリカメナットなどの2020年〜今にかけて注目を集めていた雨ナット構築は、要塞型で採用されているものが多かったと記憶している。

そのため、今の雨ナットの要塞型率は総じて高いと主張させていただく。

 

使用率の推移を表にまとめた。最初は草技を採用した雨ナットの方が多かったが、鉄壁型が次第に数を増やし、8世代中盤には最大の型となっている。(一応要塞型雨ナットの構築は鎧環境以前から一定数存在している)

 

ここからは、想定される反論にいくつか解答していく。

 

Q.単体で完成された強力な戦術なら、構築としてのまとまりがなくても大抵勝てるので問題ないのではないか?実際に私は鉄壁型雨ナットで勝てている。

A.第一に、強力な戦術ではあるものの、試合展開次第では通用しない時も多々あるため、過信は禁物である。

第二に、要塞化に拘る必要がない。雨エースが苦手なポケモンに一撃入れてから交換してニョロトノを出す動きができる方が、雨も通しやすいし選出に幅が生まれる。

第三に、ナットが突破されにくいということは、防御上昇以前に、そもそも相手にナットへの打点が乏しい可能性が高い。それならば、寧ろ存分に攻めてダメージレースを有利にする方が、分かりやすく試合を進められるのではないか。

 

Q.ナットが孤立化したり水タイプの起点にされないように、その他のポケモンを補完として選出し、対策するのではないか?構築は3体で完成するわけではないのに、雨とナットだけで話を進めるのはいかがなものかと思うし、他で対策枠を用意できるなら要塞型でも問題ないはずだ。

A.勿論残りの3体でナットを動かしやすくするように組むべきだ。だとすればなおのこと、わざわざ手間の掛かる要塞型にするメリットがない。恵まれたタイプと種族値を活かし、残りのポケモンと連動して攻めた方がいいのに、場に固定してしまうと構築の対応力が低下する。

また、水の起点にならないように例えば電気タイプを選出するとしても、ナットが草を振るだけで本来事足りていた相手に余計にリソースを割くのは非効率である。電気タイプは相手の飛行に役割を持つという雨構築上の役割があるが、ナットが本来担当していた攻撃範囲までカバーし切れるほどの余裕はない。

 

Q.ナットはパワーウィップを外すがボディプレスは確実に役割を遂行できるし、どう使うかは本人の好み次第なのではないか?

A.そんなことを言っていたらキリがない。雨勢とて水技は大概命中不安定だし、ナットにも種爆弾のような安定技はある。それこそ好みによって使い分けていただきたいが、どうしても要塞型を使いたいのであれば、雨をやめてもっとナットが活かせるように構築を考えた方がいい。

 

こんなところだろうか。鉄壁ボディプレスは、雨ナットが勝利する原因にはなり得るが、雨ナットが勝利する理由にはならない。

キングドラが暴れた後に雨下のナットレイが鉄壁ボディプレスを決めてくるため、雨+ナットレイの並びは勝てる!」

という主張は、次の二つの観点から誤りだと言える。

一つ、ナットである必要がない。鉄壁プレスを使えるポケモンは他にもいる。なぜ4倍弱点のないレジスチルを使わないのだろうか。

一つ、雨ナットの歴史上でこの型は最も新しい。5世代から存在する並びの強さの理由が、ぽっと出の陰湿戦法であるはずがない。

このことから、要塞型ナットは雨ナットの勝てる理由にはなり得ないのである。本当の理由は、上記の雨とのシナジーにある。

もしどうしても雨で鉄壁をしたいのであれば、ドータクンレジスチルなどを推奨する。彼らは他の採用理由(ギミック含めて)もあったり、要塞化と味方補助技を状況に合わせて使い分けられるため、まだ構築との連動は取れる。

 

4-3.ナットレイ依存

「雨パにはナットレイ」という言葉が嫌いだ。そう考えるべきではないと思う。古事記に書いてあるらしいが、そんな古事記は存在しない。

 

では、なぜよくないと言えるのか。雨とナットの相性関係は今まで証明してきたはずなのに、ナットは雨パに必須のポケモンではないのか?

 

なぜなら、ナットレイに依存してしまうことで、ナットレイしか知らなくなってしまうからである。そして、ナットレイは雨パに必須のポケモンではない。

ナットよりも適切なポケモンを採用すべき場合でもそれに気づかず、ナットの弱点も意識しないまま、漫然と使い続けてしまう。また、もしナットがいない環境が訪れた時、どのように構築を組めばいいかが分からなくなる。構築上でナットが占めているポストは大きいが、ナットを採用しなかった場合どのように組むべきかを、雨パを使う人なら本来考えておかなければならない。そうしないと、そこでプレイヤーの構築力は止まってしまう。

偶にしか雨パを使わない人でも、「ナットレイが必須」という情報に釣られて、あまり吟味しないままナットを採用してしまうことがある。しかし、本当はナットより構築に噛み合うものが存在するかもしれない。ここを疑わない人は、85点以上になる構築を自ら75点に止めてしまうことになる。

この私の主張の問題点は、「雨パにはナットレイ」が、完全に誤りであるわけではないところだ。ナットを構築に入れることで得る恩恵は、先述したように多い。よって、何も考えずナットを採用するというだけでも、最低でも60〜65点のクオリティの構築が保証されてしまうのである。「でもナットを入れれば大体それっぽくまとまるじゃん。」と言われると、「それはそうではあるけども」としか言えないだろう。

しかし、それ以上の構築を目指す人なら、その考えは捨てるべきだということは断言できる。そのため、これはJCS以上の目標を掲げている人に向けた問題提起となる。ネット予選を抜けるには少なくとも85点の構築が必要だと、私は予選を通過した経験から感じたので、「雨パにはナットレイ」は、85点以上の構築を目指す人の障害となる。

 

4-4.ナットレイとの差別化対象

では、ナットより適任のポケモンが存在する場合とは、どのようなものか?これは本当に場合によるが、例として私が8世代上位禁止ルールのランクマで最終2ページ目を達成した構築を上げる。

 

https://liberty-note.com/2020/10/03/swsh-double-season10-19th/

 

アシレサマヨナットという強力なトリル軸に対し、ナイトヘッドを耐える身代わりガマゲロゲと、剣の舞でトリルターンを逆手に取って全抜きを狙うシュバルゴという回答が特徴的な限界雨構築である。

今回ナットと比較するポケモンはこのシュバルゴ。「雨パにはナットレイ」の陰に隠れてしまった逸材だ。

シュバルゴは草タイプではないため、ナットの役割だった対水打点を叩き込むことはできない。しかし、代わりに雨の弱点をついてくる草タイプへの打点となる「虫技」を持ち、特性「防塵」は、キノコの胞子や眠り粉などを無視して動ける点で、ナットと共通している。

また、種族値が70-135-105-60-105-20と高く、素早さもナットと同速、攻撃力が高いため等倍メガホーンで水タイプにも良いダメージが入る。

シュバルゴのナットとの差別化点は以下の通りである。

❶対草打点

❷攻撃力(残数を減らす能力)が高い

❸水打点

 

❷ ナットより遥かに火力が出るため、トリル下での圧力をかけやすい。正確には、ナットは「トリル展開をされても圧をかけれる」ポケモンであるのに対し、シュバルゴ「トリルを逆手にとってアドを稼ぎまくる」ポケモンと言える。トリル展開に対してどのような対応をしたいかによって、雨パでどちらを採用するか分岐が生じてくるレベルのポケモンだ。

私は剣の舞を採用し、トリルを起点にする方針をとった。相手が雨にも負けずトリルを張るには、サマヨなどの高耐久ポケモンを初手に固める必要があるが、火力不足のためシュバルゴ剣舞の隙を与える。サマヨが鬼火を採用しているため相殺されてしまうが、鬼火を撃たせているということは、その分相手が緩い行動で場に居座ってくれるため、トリルターンが潰せて雨で反撃しやすくなる。そして、私は最終的にはラムの実で採用したので、そんなサマヨの行動すらもカモにしていた。

 

❸ 今作からシェルブレードを習得した。剣舞ペリッパー引き雨ダイストリーム」の動きは、ほとんどの炎タイプを破壊できる。これはガエン以外の炎タイプに回答がないナットにはできない芸当である。コータスが来ても最悪同速なので、十分に勝負できる。

 

このようなところか。他にも、シュバルゴダイマックス適性が高く、ワームとスチルでバフデバフを駆使しながら戦えるため、相対的に生存率が高かったりする。

もしこの構築にナットを採用していたら、火力不足によりサマヨで無力化され、敵のナットとのミラーで負ける。(アシレサマヨナットにおいては、鉄壁型のナットは成立すると評価している)

そして、放置されたナットの横の味方がどんどん倒れていくので、仮にナットの刺さりが良かったとしても、構築単位では試合負けしている。

一方、シュバルゴは一度剣舞を積んで3ターンダイマックスしているだけで、ナットの倍の仕事をしてくれる。具体的には、A特化+2ダイワームで207(252)-156(52)↑までの図太いスイクンが確定1発。火力upアイテムなしでこれほどの火力が出せるのだ。

ナットを採用したことで対面でそこまで有利ではない相手を「トリル対策」と宣って相手にするより、虫・鋼・水の隙のない技範囲で手っ取り早く残数を減らせるシュバルゴは、この構築においてナットよりも試合に貢献していると言えるだろう。シュバルゴでなければ、私はこのシーズンで好成績を残せていなかった。

 

以上がナットレイが雨パに必須ではなく、他に適任のポケモンがいることがある」という証明となる。仮にナットが雨に必須なら、シュバルゴはナットに仕事を取られて採用の余地がなくなっている。

 

「雨パにはナットレイ」が、必ずしも「雨パはナットレイを必須としている」という意味で認識されている訳ではないのかもしれない。しかし、補完枠を考える時に、多くの人はやはり言葉通りにナットに引かれていってしまうだろう。そうなると、シュバルゴなど思いつきもせず、ナット採用に甘んじてしまい、視野が狭くなる。視野を狭めることは、自分の限界を自分で定めることに繋がる。こうして、「雨パにはナットレイ」が定着すると、初心者を中心に似たり寄ったりの微妙なパーティが出来上がってしまい、勝ちきれずに雨を使うのをやめてしまう人が出てくる。この勝ちきれなかった理由は雨パに限らず「構築の本質」的な間違いなので、別のパーティでも同じことをしてしまうと思う。

よって、「雨パにはナットレイ」という、ナットレイへの盲目的依存行為は、誤りだと断言する。

 

ナットレイを否定する訳ではない。実際に前半で示した通り、雨ナットは強い。しかし、雨ナットを万能と信じている人が多すぎる(みんなナットレイを入れてるし、そんな人を五万と見てきた)ので、採用する際には構築の方向性と役割を明確にし、本当にナットレイで良いのかをよく吟味する必要がある。

 

4-5.仕事のできるナットレイ

ここまで長々と批判ばかりを綴ってしまったので、最後に"役割を遂行できる型のナットレイ"をいくつか提案しようと思う。良かったら参考にしていただきたい。

 

1.電磁波ヨプナットレイ

持ち物:ヨプの実

性格:勇敢

技:パワーウィップ/ジャイロボール/電磁波/守るorステルスロック

配分:179(236)-146(148)-151-*-152(124)-22(個体値0)

調整:

A.棘ダメ+ジャイロで-1無振り悪ウーラオス(インファ後)を確定1発

B.陽気252ウーラオスの暗黒強打が中乱数(普通に危ないので諸説)

D.DL対策のB<D(ここを諦めるべき?)

 

電磁波を採用することで、雨に対抗するS操作要員&高速アタッカー全般の足を奪うという新たな役割が生まれる。明確な仮想敵はいないが、有利ではない対面(又は炎が受けにくる対面)で雑に麻痺を撒くことで、S操作という観点からも雨エースを補助する。

また、ヨプの実で格闘技を耐えるため、不利対面でも動かしやすくなっている。インファを耐えて切り返すことで、理論上どちらのウーラオスにも勝てる。

ステロはエレキウーラの襷を剥げる強力な技で、特に天候を奪いにくるコータスやRキュウコン、ファイヤーやマルスカイリューなどの厄介な飛行にも刺さる。この枠は守るとの選択でよいかもしれない。

この型はダイマなし全国ダブルで使っているが、草&対フェアリー&S操作の役割は、できることが多くて(型が知られていても)使いやすい。

 

2.身代わりHAナットレイ

持ち物:奇跡の種

性格:勇敢

技:パワーウィップ/ジャイロボール/身代わり/守るor鈍い

配分:181(252)-159(244)-151-*-138(12)-22

調整:

A.177(252)-146(84)までの控えめレヒレをウィップで確定1発

 

身代わりにより草技を振る回数を増やせる型。炎タイプ前でも水の動きを制限できるため、ナットの第一の意義を補強した形となる。

例えば、先程の「グドラナット(トノ)vs.レヒレクレセ(ドラン)」の対面を考える。初手でグドラ守るナット身代わりから入ると、敵のレヒレが「グドラ守る&ナット攻撃」に合わせて「レヒレ守る&クレセ→ドラン交換」を選択し、ドランでナットを縛ろうとしてきたとしても、ナットの身代わりが無償で決まるため、結果的に相手は2ターン分ナットの草技の脅威に怯えることになる。

そうすれば、2手目はグドラを裏に引いて受けながらレヒレを攻撃。確一にしやすいように火力は高めに確保しておく。とすることで、ヒードランの前で堂々とナットを動かすことができるわけだ。

 

このような型にすれば、構築での役割を遂行しやすいナットレイとして、本当の意味で雨パで活躍できるのではなかろうか。これらはあくまで一例なので、皆さんもどうかこの視点を持ってナットレイの採用・運用について熟考していただきたい。

 

5.結論

全体をまとめると、

 

○雨ナットは第一に草タイプ、第二にトリル対策枠として、雨パーティ内での重要な役割を持つ。

○要塞型雨ナットは、上記の雨ナットの役割を放棄し、構築内で浮いた型であるのに、世間では当たり前のように信用されている。

○「雨パにはナットレイ」と雨ナットに依存する思考は、自身の成長を阻害する誤った認識である。

○雨ナットは万能ではないし、他のポケモンを採用した方が構築の完成度が上がる時もある。

構築での役割を重視し、ナットでよいか常に吟味する姿勢が重要だ。

 

となる。もし初心者に教えるならナットレイから進めるかもしれない。しかし、使い勝手がいいからというだけでこれに固執させず、様々なポケモンの可能性を同時に提示する。そうして初心者だった人が自分で考えて構築を作れるように導きたい。

 

6.おわりに

ポケモンの対戦環境は新時代を迎えているが、SVにはナットレイはまだ内定していない。もしこのままナットレイが入国しなければ、これから雨パを使う人は、ナットレイのいない雨パーティ」を組み続けなければならない。前作では地方にも内定し、長らく雨パを最前線で支えてきたナットレイ。だが、雨パユーザーは彼らがいなくなっても当然戦い続ける。

「雨パのナット離れ」はそう遠くない未来に実現するのかもしれない。

 

 

 

 

いかがだったでしょうか?「愛」ゆえにとんでもない長さの文になってしまいましたね。

実は私、このポケモンが結構好きなんです。

しばらくお別れになるかもしれませんが、これからもナットレイに頼らず、強い雨パーティを作って活躍していきたいものです。

 

次回は雨パーティと炎タイプの関係性についてでも書きたいなーと思っています。

(そのためにまず卒論を終わらせる)

 

それでは、ご愛読ありがとうございました!!

 

 

 

 

Gen8 ダイマなし全国の雨パーティ

NoFaceです。今回は、ダイマなし環境での雨パーティの組み方の考察をテーマにしていきます。

 

サムネ用

 

○雨パーティの立ち位置

 

一言で言えば 「相当厳しい」

 

7世代とは比べものになりません。

今作では、レジエレキ/ウーラオス/ゴリランダーの三馬鹿が猛威を奮っています。彼らは雨の弱点を突いたり受け切れない火力でゴリ押してくるなどして、雨パに多大な被害を与えてきます。

このトリオの厄介なポイントは、個人的には2つあると考えます。

1.先制攻撃が可能なこと

→受け切れない先制技&雨下でも大抵のポケモンの上を取れるレジエレキ

→相手より先に高火力を叩き込んで勝つ雨パの強みの上を行かれている

2.プレイ難度が低い

→ただ使用率が高いだけではなく、アホでも使える性能をしているため、多少雑に扱っても勝ちやすい(三馬鹿エアプの感想)

→使用者も多いため、相手にする時間&ストレスが大きい

→勝ち切るには精神的に効率が悪い

 

これらの理由から、1日の1/2試合分は不利なゲームを強いられていると言っても過言ではありません。

 

更に、三馬鹿を対策すべく補完のポケモンで構築(選出)を固めようとすると、三馬鹿と一緒に構築に組み込まれることが多いランドロス/ガオガエンに一周回って弱くなったり、アーゴヨン

(火力がおかしい)の一貫が物凄いことになったりして頭を抱えることになります。

加えて、水ウーラオスを受け切ることが難しいです。

その他諸々きついポケモンは存在しており、雨を通すことが本当に難しい環境と言えるでしょう。

 

ここまで厳しい環境なのにも関わらず雨パを使うには、「愛」が必要不可欠です。

 

○構築の組み方

 

ここまでネガティブなことしか言ってきていませんが、全て現実なので、雨パで勝つ意志があるなら、これに向き合う必要があります。

ここからは、構築軸となる雨要員の選び方や、ある程度負けない構築にするために必要なことを、私なりにまとめていきたいと思います。

 

①雨降らしの選び方

 

ニョロトノペリッパーか、適切に選べているかを考える項目です。

まずは二者を比較してみます。

 

特徴:補助手段が豊富/テクニカルなプレイングができる

共通点:凍える風

相違点:手助け/滅びの歌/アンコール/催眠術/高い耐久

 

様々な技によるトリッキーな動きができるだけでなく、手助けで雨エースの火力を上げるという大きな強みを持っています。

このポケモンの真髄は「滅びの歌」にあります。横のキングドラなどの火力を「手助け」で補助して数的有利を取り、残しておいた苦手な相手に滅びを当てて殴らずして倒すのが理想的です。

盤面を整えて(長期的に)切り返すのが上手い人・サイクル戦が得意な人

に向いているポケモンと言えるでしょう。

 

特徴:攻撃補完が取れている/S操作/短期戦向き

共通点:凍える風

相違点:暴風/追い風/ワイドガード/蜻蛉返り/任意の電気技で即死(不一致雷パンチなどは威嚇で耐える)

 

飛行タイプにより草への打点があるため、雨エースとの攻撃補完が取れています。中速草タイプに対する水技+暴風の集中砲火は、交代の択も含めて対処できる強い動きとなります。(例:PJCS2017決勝)

雨パ対策に使われるS操作の筆頭に「追い風」が挙げられますが、ペリッパーも追い風を覚えるので、相手のS操作への解答となる点も魅力です。先手を取られると瓦解するアグロな構築では、追い風を返せるペリッパーの採用に軍配が上がることが多いです。

アグロ構築・攻めの選択が上手い人

に向いていると言えます。

ペリッパーの達人は巧みにサイクルを回せます

 

この両者の特徴を押さえて、自分のやりたいことに合わせて雨降らしを選び、構築の方向性を決める必要があります。

 

②すいすいの選び方

 

構築の方向性に合わせて決めるべきですが、ここでは各すいすいエースの雨降らしとの相性関係の例をいくつか紹介します。

 

1.ニョロトノ×キングドラ

ニョロトノの真髄である「滅び詰め」を行う上で、数値の高いキングドラは最も数的有利を取りやすいです。

・手助け+玉水技

・眼鏡グドラ×スカーフトノの両波乗り

などが強い動きになるでしょうか。両方金縛りやアンコールを覚えるので、苦手な相手にこれらの技を決めに行く戦い方なども開拓の余地がありそうです。

 

2.ペリッパー×ガマゲロゲ

ペリの4倍弱点電気にゲロゲが強く、ゲロゲの4倍弱点草にペリが強めなため、最も攻めの補完が取れた並びです。トノ×ゲロゲの場合、草タイプに無抵抗になってしまうので、ゲロゲを使う時はペリと組むのが望ましいと思います。

 

3.ペリッパー×ルンパッパ

相手の追い風構築に対する追い風返しを行う際、ルンパの猫騙しでテンポを稼げる点が魅力的です。猫騙しを無効化するカプテテフの攻撃は、襷やチョッキによって耐えることができます(眼鏡ショック以外)

 

これらは代表的な並びですが、雨降らしとすいすいの動きが噛み合っているかはよく考える必要があります。

 

③グラススライダー対策

ゴリランダーに一生殴られてるだけで負けるので、グラスラをカットしないとゲームになりません。条件に当てはまるのは以下の3匹です。

 

GFグラスラそのものを無効化できます。対水打点の草タイプ、対草打点のトリプルアクセルなど、対ゴリラ入りで欲しい全ての要素を満たしています。推奨度A

♀ならこの指による守り、♂ならトリル封印でトリル対策を兼ねられます。ある程度優秀ですが、横に後出ししたターンにグラスラが雨エースにヒットするので、アマージョには及ばないでしょう。♀推奨度B  ♂推奨度C+

攻撃力の高さは素晴らしいですが、この手の役割のポケモンは後投げしなければなりません。どうしても耐久に振れない(振っても強くない)テテフは、後投げせず対面から殴るというテテフ自身の強みと噛み合っていないため、採用するのは厳しいと思います。推奨度E

 

アマージョを採用するのが無難ですが、構築次第で変えていくのもいいと思います。

 

アーゴヨンの処理ルート

このポケモンの対策を怠るとパーティが崩壊します。最低でも2つは処理ルートがないと構築次第では対応できないので、よく考えなければなりません。(とは言いつつ私自身もガバりがちです) 持ち物が玉だったら、基本的に一撃で倒されると思ってください。

<対策例>

竜星群で倒すとCが下がって起点になったり、外したりします。かといって竜の波動にするとアゴ以外の相手に火力不足になります。また、序盤で対峙した時は、テッカグヤなどの鋼に即交代されて竜星吐く羽目になることがほとんどです。

 

威嚇でパワーダウンしない特殊型を推奨します。カグヤに引かれても裏目が少ないですが、アゴ側がゴリラと一緒に出てきた時に動きの自由度が下がるのがネックです。

 

グドラ×バレルなどで並べることで、かなり相性関係を覆せます。守る胞子スタートの択まで相手に強要できることから、最も実用性が高そうです。

 

 エスパータイプのアタッカー

構築に入って来にくいタイプですが、相手視点で圧になるので、スカーフラティオスやテテフなどは、攻めの汎用駒としても価値が高まってくるのではないでしょうか。アゴスタンに組み込まれるウーラオスも、ランドロス意識で なのか体感「悪<水」で、弱点が突かれにくい印象です。対アゴで考えるならメタグロスが最強格でしょうか。

 

⑤対飛行打点

カイリュートゲキッス、Gファイヤーなど、高耐久飛行タイプは常に雨パを悩ませ続けてきました。ここではオススメの対策枠を紹介します。

 

どの型でもそこそこ立ち向かえて強いです。霊獣だと飛行と組んだ三馬鹿全てに有利よりになるので、ある程度耐久を確保した火力アップアイテム持ちがオススメです。サンダーでもいいですが、レジエレキに弱くなるのが難点です。

基本対面から負けません。ただし、メテオビーム型でないと火力が足りず、メテビも使いにくい技なので、物理耐久を上げてパワージェム2発で倒すことを目指す型がオススメです。

バコウの実で耐え、無理やりアクセルを当てに行けます。本来の相性関係を無視してアマージョに任せるのは得策ではないと思うかもしれません。しかし、一度アマージョで削ってしまうと、その瞬間に雨エースの水技圏内に入るので、対飛行枠に1匹割かずに、基本選出(雨+アマージョ)の範疇で相手取れます。その意味で、アマージョに対飛行の役割を持たせることは理にかなっていると言えます。

頭を使いたくない人は採用しましょう。ただし、ゴリランダーの的は増えます。(S操作できる点は素直に評価ポイント)

 

⑥格闘打点

必ずしも格闘タイプではなく、「打点」です。仮想敵は草・鋼タイプ。飛行タイプ同様、倒せずとも一度叩き込めば、雨エースの圏内に入ります。特にナットレイなんかは、上から攻撃を当てまくれるのと、向こうからの瞬間火力が低いため、実は「ナットレイ対策」など言わずともゴリ押しで対処できることが多いのです。

例)ガマゲロゲの気合玉、カマスジョーのインファイトボルトロスの気合玉、メタグロスアームハンマーアマージョの飛び膝蹴り

 

コータスへの引き先

コータスは、天候を書き換えるだけでなく、環境にいる炎タイプの中で最も圧力があります。

相手の雨対策ポケモンを意識した選出をすると、本来雨で簡単に倒せるはずのコータスが、一周回って一貫してしまう現象が、雨パの戦いでは起こりやすいです。

例えば、ゴリランダー対策のアマージョ、カプレヒレ対策のナットレイアーゴヨン対策のメタグロス、トリル対策のモロバレル、三馬鹿に強いマッシブーンなど。

みんなコータスの噴火や熱風で死にかけます。このような構築相性の逆転現象も危惧した上で、相手にコータスがいた場合は、炎技を半減以下で受けれる引き先を必ず選出しなければなりません。

 

 

これら①〜⑦のうち、5つは満たしていれば、最低限勝てるしっかりまとまった構築と呼べるでしょう。多分、、

 

○まとめ

 

以上の点に気をつけて構築を組めばいいと思います。

例えば、私はゴリ押したり毎ターン相手の動きを考えるよりも「自分のペースに持ち込んで相手の勝ち筋を潰しながらハメ勝ちする」戦い方が得意です。(それを言うならみんなそうかもしれませんが)

"どんな状況からでも自分のペースを作る"ことが大事だと考えており、そのためにはサイクルを回せることを重視しています。

→雨降らしはニョロトノと相性がいい

「滅びで詰めて勝つ」ことは自分のペースを作ることに繋がるので、ニョロトノの性質とプレイヤーの性質、目指すべき構築の方向性が一致しています。

次に、ニョロトノと最も相性が良いのはキングドラなので、汎用性を考えてもキングドラをすいすいエースに採用します。

 

キングドラで2体倒して速やかに滅びで詰める」

という基本選出のコンセプトを確認したら、注意事項の③〜⑦の条件を満たす&対応力の高いポケモンで補完して、トノグドラと連動させてどのような強い立ち回りができるかを、練習を通してひたすら探り、ブラッシュアップしていきます。

 

○おわりに

いつもこんなふうに取り組めているわけではなく、本当に頑張らなければいけない時以外はいい加減になることもありますが、私が今までそこそこの結果を出してきた構築は、上記の工程をしっかりやったものばかりです。新世代により早く順応するためにも、参考にしていただければ幸いです。

 

このルールで好成績残せる証明が月末のオフ会くらいしかないので頑張ります。