ジョウトの水瓶・封豨烈断

 

はじめに

 予選を抜けた「ジョウトの水瓶」を環境の変化に沿ってアレンジしたものです。本記事では、その経緯と、原型からの一部の修正点について解説します。また、全体的に後語りのような気持ちでいつもより緩く書くので、日記帳のようなものだと思って読んでください。

 

 

第1回予選を終えて

 

 ジョウトの水瓶をあえて公開したのは、トノグドラの歴史を途絶えさせず、今作にもしっかりと爪痕を残すためだ。そのため、個人ブログではなく、より影響力の高いリバティノートに投稿する必要があった。

 構築を公開した後も、本構築は情報開示によりこちらが被るディスアドは少なく、幅広く相手取れるバランスの良いパーティだ。この調子でプレイングを極めれば最後まで通用するだろうという見通しの元、手放さず練習し続けようと決めていた。

 しかし、環境の変化と世のプレイヤーたちの上達スピードはそう甘くなく、第2回予選、てるチャレ、第3回予選と、安定して勝てず成績が芳しくない時が続く。この結果を受けて流石にまずいと焦り始めた私は、なぜ安定しないのか、何に負けているのかを一度整理することに。

 

水瓶の弱点

 

①追い風構築(リキキリン入り)に勝てない

()

*悪ウーラオス、化身ランドロス

 

 当たったら即降参したくなるレベルで本当に勝てない。

 この構築は、「イーユイと悪ウーラオスという意味不明レベルの火力を持つ悪タイプの技を、リキキリンの存在により先制技の妨害を受けることなく通し切って全員倒す」という一方通行型の構造をしている。

 では、なぜこの構築に勝てないのか?

 

 私の構築は、追い風でキングドラの上から動いてくる相手には先制技をメインに対応している。リキキリンがいると、先制技が失敗した時に受けるディスアドが取り返しのつかないレベルであるため、先制技が打てず、攻撃を許してしまう。(実際にはキリンを選出されておらず、先制技を選択していれば結果的に勝てていた試合は少なくない。が、弱気な立ち回りばかりしてしまい、それはできなかった。精神面でのプレイングの欠陥も目立つ)

 そもそも、本構築は悪タイプの一貫をガオガエン以外で切れていない。そしてガオガエンもウーラ・カミ・ランドにすぐ倒されるため、一度攻撃を通されるだけで致命傷になる。また、エルフーンやハバタクカミに仕込まれた搦手の技をケアする余裕もない。

 

 こんなところだろうか。互いの構築の構造上勝てず、確実に相手が勝つことが分かる。(これはどちらか片方が優れている、劣っていると言った話ではない)  この手の追い風構築の最も嫌なところは、「プレイ難易度が低く、初心者でもそこそこ勝ててしまう」点にある。つまり、この構築である限り、どれだけ自分より弱い相手であっても絶対に勝てないことを意味する。

 蓄積したプレイヤーとしての力量を全て無にされてしまう屈辱は耐え難い。それに、そこそこの数がいることが予想される。そのため、このアーキタイプに勝てる何かを見つけない限りは、今後大舞台で使うことは諦めるべきだろう。

 

悪追い風の皆様

 

 

これらを単騎で止めれるポケモンがいればいいが、流石にそんな美味い話もあるまい。

 

 

②タケルライコが重い

 

 正確には"重いらしい"。というのも、これは本構築を使ってくれた他人からの感想であって、私自身は特にそう感じていないため、この言い方を選択した。

 確かに、このポケモンの明確な処理ルートは少ない。玉キングドラor眼鏡タケルライコの流星群か、滅びの歌くらいか。ただ、これらの処理ルートもテラスタルや取り巻きのメンツによって安定しないので、試合の流れの中でいけそうなやつが仕留めるという、何ともフワッとした勝ち方でこれまでやってきた。製作者の私は本構築を使いこなせるため特に不自由はなく、勝って偶に負けてを繰り返していたわけだが、使い出して間もない人にとってはそうでもなく、難しく感じてしまうのも無理はないだろう。

 「プレイングで何とかする」で今まで乗り越えた気になっていた私だが、この考え方は危険で、相手の熟練度が高いと毎回安定してプレイングで差をつけるのは難しい。そのため、もう少し構築で差をつける要素がほしい。

 

種族値スタンの皆様

 

 相手のタケルライコを中心に、このメンツと大体五分以上の戦いができるポケモンがいればいいが、流石にそんな美味い話もあるまい。

 

③トルネブリジュラスが重い

 

 ブリジュラスの処理が難しく、流星群に依存してしまっている上に、相手の追い風下ランドロスやハバタクカミに阻まれて、そもそも流星群を1発入れるのが難しい。そのため、猫騙しや先制技、テラスタルによるタイプ受けからのカウンターによって対面で処理するしかない(大分苦しい)ので、トノグドラを使わずにタケルを軸にゴリラガエンでサポートしながら通していく方が強い。練習段階でもそちらの方が格段に勝率がよかった。この時に、相手のブリジュラスに大ダメージを与えられるポケモンが増えると、より楽な試合になるのではないか。ということで、対ブリジュラス要素も満たせるポケモンを探す。

 

ハッサムとの別れ

 

 上記の問題点を解決するためには、既存のメンバーを変えなければならない。そして、変えるならハッサムだろうと以前から薄々感じていた。なぜハッサムなのか?ここで問題点①〜③とハッサムの関係性を見てみよう。

 

①カミウーラキリンに全対応できるよう、悪テラス型にして運用してきた。しかし、追い風+イーユイ(リキキリン)にはテラスタルで炎を等倍にしてもなす術なく燃やされてしまう。

ガチキリン+Sブーストカミ+襷悪ウーラに対応するために考案した型なので、イーユイに対応できないのは当然。それにイーユイが入っていても、キングドラが上を取れる場合がほとんどなので対応できる。しかし、そもそもこのアーキタイプが減少傾向にあり、①にも勝てないとなると、ハッサムの仕事が減っていると言はざるを得ない。

 

② パオゴリラを突つけるのは偉いのだが、ハッサムを組み込んだ選出だとタケルライコへの有効打に乏しい。()

の方が乏しいだろ!と思われるかもしれないが、これらは猫騙しや捨て台詞でドラゴン勢の流星群&滅びをサポートするという大きな役割があるため、ハッサムを組み込んだ選出よりも実際の勝率は高い。

 本構築を配信で使ってくれている人の試合を見ていると、ハッサムを過信しているように見受けられる。勝ち筋を作れないハッサムを選出したことで相手のタケルの的が増え、どうすればいいか分からないまま負けているという印象だ。

 このように、タケルライコが重くなって負ける試合には然るべき理由があるのだが、構築全体でスタンパに勝つためのハードルを上げている?(というか高いまま放置している)のも事実。ハッサムを外して代わりのメンバーを探すことに意義を感じる。

 

③ カミランドトルネにバレパンがそこそこ通るが、倒せるのはハバタクカミだけ。ブリジュラスにインファイトで打点はあるが、鉢巻なので打ち分けできない。こちらからはワンパンできずに相手からはほぼワンパンに近いダメージが常に飛んでくるため、やはりハッサムで解決にはなっていないと感じる。

 

 ハッサムは10年以上もトノグドラとズッ友で、外すのは心苦しい。トノグドラハッサム(とライコウの亜種であるタケルライコ)というジョウト地方要素の強い雨パーティ。

故にジョウトの水瓶」

なのだが、構築を環境に適応させる必要があるため、私情は捨て、今後は身を引いてもらう。

 

 

救世主・マンムー

 

問題点①〜③を解決するために必要な要素は以下の通りである。

 

・悪追い風に圧倒的に強い性能(悪半減は必須)

・タケルに弱点を突ける(高種族値スタンと戦える)

・ブリジュラスに大ダメージを与えられる

 

 

ハードル高くないか!?ハードル高い!💢💢

(唐突な東大医学部おじさん)

 

 しかし、これを全て満たすポケモンはいた。そんな上手い話ある?と思われても仕方ないが、それは確かに存在した。

 

フェアリーテラス厚い脂肪チョッキマンムー

 

①〜③と照合してみよう。

 

① フェアリーテラスにより、悪を半減する。そして、返しの10万馬力とテラバーストでイーユイと悪ウーラオスをそれぞれワンパンする。

 ハバタクカミと化身ランドロスはチョッキで余裕を持って耐え、大ダメージを与える。ランドに至ってはテラスを切らないと氷の礫で即死するため、チョッキマンムーの存在はかなり嫌なものだ。エルフーントルネロスにも無論強い。残りの相手で苦手な水オーガポンはタケルとゴリラに、リキキリンはガエンに一任してフォローすればよいため、序〜中盤のゲームをマンムーだけで圧倒的に有利に進められる。正に特効薬のようなものだ。

 

テラス前後で電気と龍をそれぞれ無効化するため、タケルライコに圧倒的に強い。相手のゴリランダーと水ウーラオスは流石に苦手(テラス込みでどちらも耐えて反撃可能ではあるので完全に勝てないわけではないが)なので、ここは

でしっかり牽制していく。

また、フェアリーテラスマンムー(というか厚い脂肪ポケモン)は、全ポケモン内で恐らく唯一

パオジアンとイーユイの攻撃を全て半減する。この唯一無二の技範囲と耐性により、に役割を持てることから、(毎回出しているわけではないにしろ)スタンパに対して繰り出す選択肢が持てる。選出の幅が広がり、相手視点で厄介な存在であることに間違いないため、このルールではほとんどやらなかったが、BO3で真価を発揮していただろう。

 

③ ブリジュラスを10万馬力で6〜8割程度削れる。鋼が弱点なのでラスターカノンが痛いが、チョッキで確実に1発耐える+余裕を持てるよう事前に捨て台詞を入れておくことで緩和されている。「序〜中盤に眼鏡タケルwithゴリラガエンの先制技を通す→取りこぼしを体力満タンのマンムーで狩る」という試合の流れ作りを徹底できることが安定した試合の再現に繋がる。

 この時に、取りこぼしとして狩る相手のウーラオス以外の全ての相手に氷技が等倍以上で入るため、マンムーのスイーパーとしての価値が増す。トルネランドがその顕著な例だ。

 

 また、このポケモンは炎と氷を半減するため、対他天候パでも重宝する。現環境では晴れと雪が猛威を振るっているが、綺麗にどちらの天候タイプにも強く、安定した引き先になっている。ウネルミナモにさえ即負けしないようにすれば、補完として出てくる大体のメンツに不利は取らない。

 

 このように、本構築の既存の弱点を全て埋めるどころか、更なる補強まで1匹で担ってくれるのがマンムー

これを"奇跡"と呼ばずに何と呼ぶか。

 

 思いついたきっかけは特にない。2022年のオーロットなんかはさとるんごさんのツイキャスを見ていた時に偶々手持ちに野良個体が居合わせたことがきっかけで閃いているが、今回は黙々と働いてる時に何の前触れもなく脳内に浮かんできただけ。まるで天啓かの如く。

 

 思いついてちょっと試運転してみたら意味分からんレベルで強く、即採用に至った。レギュF最終日までこのポケモンが足を引っ張った試合はほとんどない。

 

 

マンムーウォーキュリー聖説

 

*ここからはONE PIECEの本誌ネタバレを含みます。見たくない人と興味ない人は上手く飛ばしてください。責任は一切持たない。

 

 

 

 

こいつウォーキュリー聖じゃね??

 

 トップマン・ウォーキュリー聖とは、世界政府(ルフィたち海賊にとっては敵)最高権力・五老星の一人。役職は「法務武神」で、猪の怪物(恐らく悪魔の実の能力)「封豨」に変身する。

 

 顔は似てないが、ウォーキュリー聖を思わせる要素が多く、五老星大好きオタクの私は一人盛り上がっていた。

 

・封豨は中国の伝説上の猪の怪物

マンムーはマンモスっぽい名前に反して、実際は猪(進化前もイノムーだし)

 

・トレードマークの立派な牙が共通している

・封豨は物凄く頑丈な皮膚を持ち、ルフィのギア3の攻撃(あのカイドウをも殴り飛ばした)をものともしない防御力を見せつけた。

マンムーも驚異的な肉体でパオウーラガエンの攻撃を寄せつけない。

・ウォーキュリー聖は覇気の熟練度も高く、島中に行き渡る程の覇王色の咆哮で周囲を怯ませる。

マンムーも覇王色の氷柱落としで相手を怯ませる。

 

最後にいつものガバガバアナグラムで締めたいが、特に思いつかなかったので証明終了。

 

 他の誰も思いつかなかったこのポケモンだが、Regionalを追えた海外勢が日本の環境に与える影響そっちのけで構築公開している中にマンムー上げてるやつがいて思わずブチ切れてしまった。しかし型が弱すぎたのと、真似して使う人は幸い現れなかったので、ここで起源主張させていただく。

 

現環境への

 

 

トップマン・ウォーキュリー改め、

 

『トップマンムー・ウォーキュリー聖』

 

がここに爆誕した。

 

 

型の変更点

 

 マンムーの型と、ガオガエンの配分をより効率的にした。

 

マンムー

特性:あついしぼう
性格:いじっぱり
持ち物:とつげきチョッキ
テラス:フェアリー
実数値:187(12)-200(252+)-108(60)-81-94(108)-110(76)
技:つららおとし / 10まんばりき / こおりのつぶて / テラバースト

配分:

A  火力がピンキリなので特化

B  ノーマルテラス鉢巻カイリューの災補正神速が中乱数1 43.7%

D  C特化眼鏡ハバタクカミのフェアリーテラスムーンフォースを確定耐え

 無補正C252眼鏡イーユイの晴れ熱風をテラス時2発耐え

 C特化玉ウネルミナモの晴れ補正ハイドロスチームをテラス時最高乱数以外耐え 6.2%

S  少し振ったゴリランダーをギリギリ抜けそうな程度に

 

 物理耐久はガエンも込みで上手くやれるのと、どちらかというと特殊をより受けてほしいので、D重視に振りたかった。威嚇で何とかできない鉢巻カイリューの神速を、まだ分のいい乱数で耐えれる程度にBに振る。Sももっと振りたかったが、それ以外がカツカツなので最低限に留めている。

 

 

ガオガエン

特性:いかく
性格:しんちょう
持ち物:フィラのみ
テラス:くさ
実数値:201(244)-136(4)-117(52)-90-148(196+)-82(12)
技:フレアドライブ / はたきおとす / ねこだまし / すてゼリフ

配分:ハバタクカミなどを意識したHDベース

 

 元々Sに振っていなかったが、あまりにもミラーで負けて猫騙しを先に撃たないので、少しだけ振っておいた。B方面に回していた分が対パオカイでのダメージ乱数があまり変わらないことに気づいて少し減らし、Sに回す微調整を加えているだけ。ミラーこっちの方が早ければ勝ってた試合が数回あったので、ほんの少しだけ勝率を上げるための変更である。

 

 

苦手な相手

 

 本構築は、ほぼ全対応を目指したバランスのいいパーティである。加えたマンムーも、最初は対追い風兵器のつもりが、想像より数段汎用性の高い性能をしていたので、堅実な戦い方は保ったまま弱点を補えている。絶対に勝てないアーキタイプはほとんどいない。

 

が、一個確実に勝てないものが存在する。

 

それが、Gサンダー×ディンルーだ。

 

 元々ディンルーがかなり重めだったのだが、サンダーに強化されて手がつけられなくなる。サンダーさえ倒せればいいのだが、トノグドラの手助け+暴風やタケルライコの眼鏡ボルチェンをそこそこ余裕を持って耐えてくる。災の器に守られているためだ。こうして確実に一回はコーチングを通され、ディンルーが倒せなくなってそのまま負け。裏の2体が相当弱くない限りは勝てることはない。これは互いの構築の構造上避けられない運命だ。ディンルーヘイラッシャ(パオカイ)に関しては想定していて、最初から最後まで立ち回りが言えるほど練習していた。しかし、サンダーディンルーは、練習段階で数回当たった程度で、ごく一部の物好きが一生擦ってるなくらいの認識でいた。 全国本戦で当たったとしても2〜3回だろうし、これくらいしか苦手な相手がいないなら割り切るしかない。

 

 

成績

 

旧型

PJCS予選第1回 141位で予選抜け

新型

PJCS本戦 11-9で敗退

てるオフ4月 予選7-0→トナメ1没でtop32

 

  残念ながら本戦を抜けられなかった。敗因はマッチングが酷すぎたこと。サンダーディンルーは当たっても2〜3回だろうと先述したが、これを含めてディンルー軸の構築に7回マッチングし、6/7負けた。

 序盤こそ2敗程度で比較的順調だったが、勝てる試合を押しミスで落として負けてしまい、そこからはサンダーディンルー(パオカイ・タクンバレル・ヤバソチャ)が3回、最速ミミズズディンルー、壁ディンルー(ロンゲ・ヤミラミ)が2回など、ありとあらゆるディンルーを浴びせられて心身ともにズタボロになり死亡。

 その他のアーキタイプには安定して勝てていたし、bo1の初見殺しの動きにもその後の立ち回りで捲って勝っていたので、構築とプレイングは間違っていなかった。練習の成果は確実に現れていただけに無念でならない。

 無念を晴らすべくてるオフで優勝しようとした。少しの上振れもあり、予選を7-0で突破。しかし、決勝トナメ1回目で恐らく本戦で当たって負けたサンダーディンルーと同じ構築をいきなり引いて再び死亡。過去一向き合ったにも関わらず、このレギュレーションは私のことが大嫌いらしい。

 

 

さいごに

 

 今年は本戦より前に不運に見舞われることはなく、予選を抜けることはできましたが、その後は悲惨な結果に終わってしまいました。今年も僕の年ではなかったようです。

 しかし、構築とプレイングの納得度は9世代1だと思いますし、何より本当にいろんな人に認めてもらえていたことが嬉しかったです。配信で使ってくれていた方々や、てるチャレでコッソリ使ってくれていてフィードバックをくれたCOMさん、最後まで僕の構築擦り続けてくれたてるこ、壁打ち相手になりますよって言ってくれてディンラッシャの練習に付き合ってくれたSNOWさん、構築めっちゃ褒めてくれたじーんさんやえりーぜさんやつなさん、など、今まで尊敬してきた沢山のプレイヤーに認めてもらえたことでとても報われた気分です。

 この経験も必ず来年への糧になっています。それは去年も一昨年もその前も同じ。今までやってきたことが全部次の年の取り組みに乗っている実感があります。来年こそはWCSの先へ行けるよう、これまで通りサボらず視野を広く根拠を持ってポケモンしていこうと思います。