はじめに
7月とWCSお疲れ様でした。
本文は、レギュレーションDダブルの雨パーティの構築記事になります。
私の最終順位は全く振るいませんでしたが、全国大会に出る時のような気持ちで練った構築なため、クオリティの高さを確信して書き残すことにしました。
特に詳細な立ち回りに注目して読んでいただけると幸いです。
<注意>
*普通の構築記事のように、カジュアルに読めるものではありません。長い文章が嫌いな人や、読んでいて気後れする人などは読まない方がいいと思います。
*技名(欺きの森・森踊りなど)あります
使用構築
*以下状態
概要 -イトウ革命-
レギュレーションDの始動にあたって、雨パーティに一つの革命が起こった。
それは、「イダイトウ(オス)」の台頭である。このポケモンがなぜ私にここまで言わせるのか、その強みは簡潔にまとめると以下の通りである。
1.フローゼルを超える超火力水技使い
2.第二のタイプ技(お墓参り)の威力が高すぎる
3.先制技・アクアジェットの威力が高い
4.全体的に高数値
順を追って補足する。
1.フローゼルの雨ウェーブタックルの威力は、「手助け+水テラスタル+命の玉」により、フレンドガード下の水コノヨザルの体力を死ぬ寸前まで持っていくほどである。(直後のイッカネズミの袋叩きの4発目で丁度死んでいってゲラゲラ笑っていた)
このフローゼルの攻撃種族値105を、恐ろしいことにイダイトウは7上回る。
2.お墓参りは、味方が倒れるごとに50ずつ威力が上昇するため、中盤以降で絶大な力を発揮する。従来の雨エースには、第二のタイプ技で絶大な火力を出せる者は一体も存在せず、それゆえに雨パーティの攻撃方法は基本的に水技のゴリ押しを主としていた。
イダイトウのお墓参りは、そんな雨パーティの今ひとつ足りない点を補い、雨に依存しない攻めの選択肢を増やすという意味において、革新的と言える。
3.雨エースは天候による超スピードが強みだが、有効な先制技は誰も使えなかった。
しかし、イダイトウのアクアジェットは、威力40とは思えないほどの火力が出る。これは、場合によってはハバタクカミが手助けなしでも吹き飛ぶレベルだ。同じくアクジェを覚えるフローゼルでは微妙に足りなかった火力も、イダイトウなら有効な選択として成立するレベルの攻撃へと変わる。この点においても、雨パに革命が起こっていると言える。
4.雨エースは、キングドラやガマゲロゲのように元数値が高いポケモンは少なく、ほとんど天候に支えられた能力値だった。イダイトウは種族値が高いため、たとえ弱点でもある程度は耐えるという安心感がある。
この雨パ界の革命児・イダイトウ(以下イトウ)による『イトウ革命』が環境に影響を与える。ポケモン界の雨を象徴する私がこのポケモンにいち早く触れないはずもなく、イダイトウの基本的な性能について一定の理解を納めるため、皆の模範となるスタンダードな雨パーティを完成させることを7月の目標に定めた。
これが本構築の動機・目的である。
構築名は、「雨パ入門者が皆通る道」であれ、という願いを込めて、『登雨竜門』と名付けた。
構築方法論
模範的な構築にするための方針として、「イダイトウを主攻とするが、それに依存した立ち回りはしない」という、私のこれまで掲げてきた理念を引き継ぎたい。
具体的には、イダイトウやペリッパーをギミックパーツとして見るのではなく、「優秀な対面性能を持った1体のポケモン」と認識し、高種族値スタン構築のような気持ちで動かす。
雨パはゴリ押すだけの完全なアグロ構築というイメージがついている。しかし、そのプレイングではいつか限界が来るので、勝ち切ることはできない。
ここで重要になってくるのが、攻め(雨天)の体勢を維持しつつ、劣勢時(追い風中に縛られている時など)には交換などの工夫を加えることにより、体勢を立て直せるだけの力を持った構築編成をすることだ。難しいことを言うようだが、これを満たすためのハードルは実は高くない。例えば、「ウインディ(ガオガエン)・モロバレル」のようなサポートに充実したポケモンや、「ゴリランダー・テツノカイナ・(ガオガエン)」のような、猫騙しによる妨害と攻撃を使い分けれるポケモン、総じて「サイクル性能の高いポケモン」を入れれば、多少の慣れはあるものの柔軟に立ち回ることができる。これらは、相手主導の試合展開から切り返すのにとても重宝するため、多くのプレイヤーに使用されている。
では、ウインディやモロバレルのような所謂「サイクルパーツ」を、雨とかけ合わせてみよう。
×(仮)
このような編成にすれば、スタンダードな強いパーティとなり得るのか。
答えは「否」である。それはなぜか?
「サイクルパーツ」と呼ばれるポケモンは、一時の劣勢を凌ぐ力はあっても、最終的な勝利に紐づける力が弱いことがある。
ポケモン対戦に勝利する条件は、「相手の手持ちを4体先に倒す(その手段として素早さや技の威力が重視される)」ことだが、彼らはあくまでサポーターであり、「勝利に近づく=相手のポケモンの数を減らす」力は役割上二の次に回る。
そのようなポケモンを増やすと、どうしても攻め手に欠けてしまう。すいすいエース以外に対面性能の高いポケモンが少なく、イトウをサポートするために入れるポケモンが選出に多いと、結局相手を倒すためにはイトウにその大部分を任せるハメになってしまう。そうなれば、雨に依存したプレイから脱却できないし、冒頭で挙げた私の理念に反する。
サイクルパーツポケモンを完全に否定しているわけではなく、寧ろ1〜2体は構築にいたほうがいい。しかし、人によってはよくやりがちな「サイクルパーツを構築に結集させてしまう行為」は、以下の3つの弱点を抱えている。
・敵を倒す火力不足
(ウインバレルで相手倒せる??)
・素早さ不足
(耐久が高くても上から動けないことが多いから全く圧がない)
・被弾数の多さ
(耐久値が高くても、受け出したり相手に先行される前提のプレイをしていては体力の消耗が激しく倒されやすい)
よって、その逆である、
・敵を倒せる攻撃力(単に火力が高いではない)
・素早く相手に圧をかけられる
・被弾数を極力減らせる
・+最低限撃ち合える耐久がある
ポケモンこそ、私の求める要素を持ったポケモンであり、冒頭で述べた「対面性能の高いポケモンで高種族値スタンのように動かす」を実現できる。(上記4点が「対面性能の高いポケモン」の定義と言える)
元より、「グッドスタッフ(高種族値スタン)」とは、対面性能の高い+耐久や耐性も一級品な強ポケの集まりなので、サイクルも回せはするが、そこに本質を奪われた、よくありがちなあまり強くないサイクル構築&プレイングとは相容れないものなのだ。
「イダイトウだけが主役なのではなく、ポケモン6体全員が主人公でありたい」
そんな望みを思い浮かべながら、グッドスタッフに近い考えで考察する雨が、WCSのような大舞台でも勝ち切る力を秘めた構築だと私は考えている。
さて、前置きがかなり長くなってしまったが、レギュD環境のポケモンで、上記の私の理想に最も合致するポケモンがいる。
それは「パオジアン」だ。
・相手を倒せるだけの火力を持ち、
・素早いため相手への圧をかけれる。不意打ちによる先制まで込みで、縛れる範囲は広い。
・素早く相手を倒せれば反撃もないわけで、被弾数を極力減らせる。氷柱落としで相手を怯ませることがあるので、並の耐久でありながらも、他のアタッカーよりも被弾を減らす能力は高い。
・加えて、パオジアンの特性「災の剣」は盤面全体に作用するため、味方の火力補助という更なる対面性の向上効果も有している。
このポケモンが私の理念に適しているため、「イダイトウorパオジアン」を置いて相手に圧をかけ続ける盤面作りを意識し、構築の軸に決定した。
構築経緯
ここまで軸が決定したので、残りは補完となり、かつ対面性能の高いポケモンを選びたい。ここで真っ先に思い浮かんだのは、「ゴリランダー」だった。
理由は以下の通りである。
・草タイプが雨の補完として優秀であり、ゴリラ自身も弱点の炎に耐性がつくため、相互に相性が良い。
・対面性能が高い。素早さは中速程度だが、素の耐久とグラスフィールドで場持ちが良いので、大体の相手と互角以上に殴り合える。
・猫騙しと蜻蛉返りにより、盤面を整えるサイクルパーツにもなる。
・耐久値が高いため、簡単に受け出してから体勢を整えられる。
これらの理由からゴリランダーを採用する。剣盾の頃から使い慣れているのでよく知っているつもりではいたが、今作のゴリランダーのパオジアンと並べた時の安定感と火力は正直目を見張るものがある。雨の並びをタイプで受けにくるポケモンたちにも強いし、「不利な時に最低限のサイクルで体勢を立て直せる+高圧的な攻めの構えは極力維持できる」という目標も満たしている。
次に、相手のトリックルームに干渉する要素を持った鈍足気味のポケモンを用意して、トリル展開に抑制をかけたいと考えた。ゴリランダーや先制技を駆使すれば、ある程度相手のトリル展開をやり過ごすことはできる。
しかし、本格的なトリル構築には通用しないため、かつてのナットレイのようなトリルにただ乗り可能なポケモンによって対抗したい。鈍足ポケモンは、トリル意識以外にも、イトウ(雨エース)と共に初手に並べることにより、交換による天候の取り合いで優位に立てるという利点もある。
そこで、イトウの引き先になれるという観点から、電気とゴーストの一貫を切れる優秀なタイプを持った「ガチグマ」を採用した。
「鈍足でトリルを抑制する」+「補完が取れている」という利点の他にも、根性で火傷を発動させる戦い方が、「モロバレルの胞子をシャットアウトしてくれる」という点にも気づけて強いと感じた。ゴリランダーと並べ、霊テラスタルを切ることで、トリル主体の戦い方をする構築には無類の強さを誇る。
(//)
このような構成のパーティには、余程のことがない限り負けない。
ここまでは対面性能の高いポケモンたちで固めてきたが、最後の1枠はサポートを兼ねる役割を持たせたい。具体的には、S操作要素を入れた、味方を通すための補助ができるポケモンだ。また、アタッカーが物理技寄りなので、特殊技主体で殴れるキャラでありたい。
6体目の推敲
環境でのS操作の手段として、
①追い風
③凍える風orエレキネット
④電磁波or怖い顔
が存在するため、これらのいずれかを絡める&汎用性の高い特殊技主体のポケモンを探す。
候補1:トルネロス
①③④を満たし、技範囲が広く汎用性も高い。一考の余地ありだが、追い風をしてる間に倒されやすく、攻撃よりも追い風を優先してしまいがちなため、採用は憚られた。ここまでの並びでこちらに通りの良い辺りに弱点が被ってしまう、木枯嵐の圧が強いと感じていないため強い盤面を維持できているか微妙、サーフゴーなど横に高火力全体技使いを置きたいがそんなスペースはない、などの難点も目立ったので見送り。食わず嫌いせず使ってみてもよかったかもしれないが、使っても満足感はないだろうと思う。
候補2:クレセリア
②③④を満たす。ガチグマを既に採用しているため、採用することでガチクレセの並びになれる。
しかし、ガチクレセのように本格的なトリルの形で使うつもりは毛頭ないし、トリルを張ることがバレバレなので、相手の追い風は誘えず挑発が飛んでくるなど、やることが分かりきっている点が気になる。
何よりパワーがなさすぎるため、味方が軒並み倒されてクレセリアが孤立する展開が嫌だったので見送り。
候補3:化身ボルトロス
③④を満たす。このポケモンは途中まで採用していた。その理由は以下の通りである。
・電気タイプの技がありがたかった
・追い風構築に対し、電磁波を撒けばパオジアンやイダイトウで抜いていける&麻痺上振れも狙える(雨ミラーにも強い)
・挑発や雨乞いなど、補助技が豊富
・全国大会などで使った愛着がある
特性:いたずらごころ
性格:おだやか
持ち物:オボンのみ
テラス:フェアリー→みず
実数値:184(236)-121-99(68)-148(20)-156(132+)-135(28)
技:かみなりあらし / ちょうはつ/ でんじは / まもる
こちらの型で使用していた。
テラスタイプは、レジドラゴやカイリュー、悪ウーラオスを意識してフェアリーにしていた。しかし、トルネ+レジドラゴ対面では「ドラゴ守る+追い風→ボルトに挑発」の流れで封じてくることがほとんどで、フェアリーテラスは機能しなかった。悪ウーラに関しては、隣のパオジアンは簡単に倒されるが、ボルトがフェアリーになって残ったところで、ウーラをどかして盤面を解決できるわけではないのであまり意味がない。そのため、水と氷に耐性のつく水テラスに変更した。
技は、「雷嵐・挑発(バレル やトリルを止める)・電磁波(S操作の手段)」が確定で、残りの一つは「怪電波」「雨乞い」「睨みつける」などを試したが、最終的には「守る」を採用した。その理由は、電磁波でヘイトを集める(+雨などの強い水タイプとの戦いで有利になるため重要)ボルトが狙われるターンに守ることでアドバンテージを稼げるためである。
しかし、最終的にはボルトも没にした。なぜなら、「そもそも選出する機会があまりなかった」からである。意外かもしれないが、追い風構築への立ち回りは、基本選出の「パオジアン+ゴリランダー(イダイトウ)」で大体対応できるのだ。同様に、先述したようなクレセリア始動のトリル展開にも、「ガチグマ+ゴリランダー(イダイトウ)」で容易に対応できるため、ボルトを出す機会は少ない。
この状態で回していたのは環境最初期で、レンタルパーティも公開していたが、思ったよりも使ってくださっている方が多く、とてもありがたい限りである。
ただし、私本人は、初期型だけ一度公開してからアプデせずに放置し、次の段階へ考察を進めていたので、その点は申し訳なく思っている。
候補4:ハバタクカミ
火力がある特殊アタッカーで、②〜④を満たす。このポケモンが強いと感じた点は、クローズドルール(ランクマッチなど)ではこちらにS操作技が確実にある保証がないため、相手の裏をかいてイージーウィンを狙いやすい点、オープンルール(BO3の大会など)では逆にS操作技(トリックルーム)が見えているため、相手のS操作を抑制する点である。
*クローズドは、互いの構築の情報がない状態で戦う通常ルール。オープンは、互いの構築の情報を事前に見せ合った上で戦うルール。
対「トルネロス+相手のハバタクカミ」を例に挙げる。
クローズド:ハバタクカミの同速対決を解消するため、トルネが追い風からスタートしてくれる可能性が高いが、それに合わせてトリックルームを決めると、素早さが逆転してイージーウィンを狙える。
オープン:こちらのトリルでのカウンターを嫌ってトルネが追い風を選択しないため、その間に殴り倒して対面勝ちする。(追い風は張れないので裏の雨で詰めやすくなる)
最低限の火力を持ち、相手のS操作展開をブレさせる、何より環境一汎用性の高いポケモンであるハバタクカミは、採用するに足るポケモンだと判断した。(一定数の試合で選出もできた)
この組み合わせで確定とし、殴り合って勝てる盤面をなるべく維持することを意識して立ち回った。
個体紹介
ここからは、各ポケモンの個別解説に移る。
ペリッパー
特性:あめふらし
性格:ずぶとい
持ち物:ゴツゴツメット
テラス:はがね
実数値:165(236)-63-156(172+)-121(44)-93(20)-90(36)
技:ぼうふう / ハイドロポンプ / てだすけ / ワイドガード
調整:
B:陽気252パオジアンの氷柱落としを最大乱数切り2耐え 2.7%
意地252パオジアンの地獄突きを低乱数2耐え 18.7%
陽気252水ウーラの水テラ雨水流連打を2耐え
A特化鉢巻カイリューの逆鱗を余裕もって耐え(災込みでワンパン)
[鋼テラス時]
陽気パオジアンの氷柱→聖剣耐え(意地パオジだと中乱数)
A特化ゴリランダーの地団駄を最大乱数切り2耐え 9.7%
GF補正ウッドハンマーが確定3発(32〜39%)
(→ウドハンを受けてテラスタルした場合、次の地団駄まだ耐える)
D:臆病C252ハバタクカミのテラ妖ムンフォが低乱数1発 25.0%
C154までのトルネロスの木枯嵐(ダブルダメ)を確定2耐え
S:少しSに振った60族(ニンフィア、ヌメルゴンなど)を余裕もって抜けそうなライン
無振り70族(チオンジェン)と同速(もう少し上げてもよかった?)
このポケモンをどれだけ使いこなせるかによって、スタンパとしての雨パーティでの勝率が決まる。ペリッパーは、「種族値が低くて弱い」とよく誤解されがちだが、しっかり耐久調整をすることにより、環境で主要なポケモン達の主に物理アタッカーとは対等以上に殴り合える。耐久に振らない理由がないのである。
調整は、環境の中心であるを意識し、Bに補正をかけたHBベースで配分した。恐らく世間的なイメージであるCS襷型と違い、大抵の攻撃に耐えて切り返しができ、ある程度後投げ可能な耐久をしている。
テラスタイプは、岩だけでなく草・氷・龍・妖など、明確に不利ではないが、状況によっては押し切られてしまう相手にカウンターとして機能する鋼タイプが最適である。
例えば、パオカイリューには「神速+氷柱」や「災い補正込み鉢巻逆鱗」などで突破されてしまうが、鋼テラスを切ることで全てを半減で受けながら反撃できる。フリーズドライで4倍弱点を突いてくるノオーツツミにもカウンターの暴風が極めて有効だ。レギュレーションCから鋼テラスで愛用しているが、ここぞと言う時にペリッパーテラスタルの判断をする目は至高の領域まで鍛えられたかと思う。
持ち物は、パオカイウーラの襷やマルチスケイルを削れるゴツゴツメットがベスト。水ウーラオスやゴリランダーは、反動込みでイトウのお墓参り圏内に入ってくれることも多々ある。
技構成は、このポケモンの第一の存在理由である「暴風」、火力で押し切りたい時に必須の「ハイドロポンプ」、味方の攻撃のリーチを伸ばせる(猫騙しも掻い潜って仕事できる)「手助け」、強い全体技が蔓延る環境であるためカモれる「ワイドガード」を採用した。この構成が結論だろう。採用する必要性がほぼゼロだが何だかんだで結果的に活躍する場合もある「追い風」はともかく、「守る」など言語道断である。レギュCで使っていて強かった「羽休め」も試したが、火力のインフレが目立ち余裕がなくなってきているので没にした。
ペリッパーの実用的な使い方については、記事丸一つ分の内容となってしまい、ここでは語り尽くせないため、この程度で済ませようと思う。
イダイトウ(オス)
特性:すいすい
性格:いじっぱり
持ち物:いのちのたま
テラス:みず
実数値:199(28)-180(220+)-85(4)-90-95(4)-130(252)
技:ウェーブタックル / まもる / アクアジェット / おはかまいり
調整:
H:10n-1(玉ダメ効率)
S:ミラー意識の準速
思った以上にイダイトウが流行り、ミラーマッチも多発した。同速に負けてそのまま敗北という試合が何度かあったが、あまりにもしょうもない(そもそも相手のイトウがきつい)ため、先制できる確率をなるべく上げるために準速とした。
テラスタイプは、元技の威力を引き上げる水テラス。盤面を整えるまでに時間がかかる壁構築などに対してウェブタで崩しを行える点も強いが、どちらかと言えば「アクアジェットの火力を上げる」重要性がより大きい。アクジェで低耐久アタッカーをワンパン可能なレベルの攻撃力を誇るポケモンはイトウくらいであり、素早さで負けている状況でも手が出ることから射程範囲が格段に広がる。
持ち物は、火力と立ち回りの柔軟性を意識した命の玉。火力が玉以上か以下かで大きく話の変わるポケモンなので、倒せる相手の範囲を知っておくためにダメージ計算を怠ってはいけない。個人的には、玉以下の持ち物は火力面では弱いと思っている。(うちのハバカミが雫イトウのウェブタを余裕もって耐えた時は逆に悲しくなってしまった)
技は、本文の冒頭で述べた強みをそのまま反映した3つに、大事に扱うための「守る」を採用している。いたづらに採用しているわけではなく、単に1ターン確実に凌ぐことが有効な場面が多かったり、 相手のパオジアンが不意打ち以外の悪技を採用しているのか様子見できる点も偉い。私がもっと使い慣れてくれば「身代わり」に変えていいのかもしれないが、立ち回りに安定感を出すために無理せず守るでよいとした。
細かい立ち回りや使う時のコツは、ここでは語り尽くせない程の深いテーマとなってしまうが、とにかく世間一般が思っている10倍は「アクアジェットが強い」雨下でパオジより早く殴ることにより不意打ちを透かせる点を始め、相手の追い風+カミユイ展開に抗う、削れたトルネロスに対して日本晴れを使われる前に倒しに行く(先制技同士なら素早さ順で行動するため)など、様々な場面で有効に働く。相手の展開したトリル下&雨が降っていたとしても、イトウが逆に相手を縛っている状況なども作ることができる。ウェブタやお墓参りは何の障害もなくイトウを通せる時に活躍することがほとんどだが、戦局を覆すのはいつでもアクアジェットである。
パオジアン
特性:わざわいのつるぎ
性格:いじっぱり
持ち物:クリアチャーム
テラス:どく
実数値:158(20)-183(212+)-101(4)-99-100(116)-175(156)
技:つららおとし / まもる / せいなるつるぎ / ふいうち
調整:
D:毒テラスで臆病C252ハバタクカミのムンフォ→シャドボ耐え
S:準速+2ヘイラッシャ抜き
最初は普通の襷パオジアンを使用していたが、襷が機能して勝った試合があまりなく、もし襷がなかったとしても、慣れてくるにつれ立ち回りでカバーできる範疇なのではないかと感じていた。襷を外したとしてどのような型にしたら強いかを考えていると、先月のある考察を思い出した。
レギュCでシングルバトルをしていた時に鉢巻フェアリーテラバースト型のパオジを使っていたのだが、テラバをあまり撃たなくなっていたことから、テラスタイプを有用そうな毒に変更して試してみた。その結果、辺りに突かれる弱点が覆り、そのターンで得した分ダメージレースで優位に立てることに気づいた。
これを思い出して試しに流用して使ってみると、襷を持っていないのに、毒にチェンジすることによってかなり場持ち良く攻めることができた。ここで強さを確信して採用するに至る。
努力値は対ハバカミやテツノツツミなどを意識し、ムンフォ→シャドボをなるべく耐えるようDに厚めに配分。タイプで受けて戦うので135族のミラーに勝つ必要もなく、準速の合体寿司を抜くラインに留めた意地っ張りASベースとした。
持ち物は、守るで柔軟に立ち回りたかったので、まずは鉢巻を外す。ダブルでは技の切り替えができた方がこのポケモンは強く感じる。ここで何か強い持ち物はないか(玉はイトウが持っている)考えたところ、威嚇による火力低下に苦しめられていたことからクリアチャームを採用してみたら、威嚇だけでなく凍える風や捨て台詞などにも強くなり、とても強かった。ランドロスへの安定感が増した気がする。(毒で蜻蛉半減になるのも偉い) 技構成は特に語ることもなく普通のものである。
具体的な盤面で最も助かったのは、よくある「トルネ+ハバカミ」の初手に対面勝ちできることだ。「パオジ+ゴリラ」からスタートして毒テラスを切って「トルネに氷柱&ハバカミにウドハン」を選択することで、1ターンに2体同時に倒せる。後は追い風を凌いで裏の雨で倒せば勝ち。(ここで悪ウーラオスが登場すると逆にパーティ崩壊で、これの増加が7月下旬の勝率低下に直結している)
ゴリランダー
特性:グラスメイカー
性格:いじっぱり
持ち物:とつげきチョッキ
テラス:みず
実数値:181(44)-189(212+)-111(4)-72-121(244)-106(4)
技:はたきおとす / とんぼがえり / ウッドハンマー / ねこだまし
調整:剣盾から連れてきた個体。特に明確な仮想敵はいないが、ADベースが配分効率がいいので変更せず。
配分は剣盾時代から変えていないが、特に気になる点はなかった。ツツミのフリドラを2回耐える程度には硬いので、高種族値で対面勝ちするという目標を達成しやすい。ミラーを意識してSラインを更に上げることも考えたが、結局不毛なチキンレースになって他のステータスから努力値が削られるのが嫌で調整しなかった。
持ち物は、
これだけの特殊アタッカーの前で動き回らなければならないため、流石に突撃チョッキで採用せざるを得ない。
テラスタイプは、炎と氷を半減で受けるタイプが望ましく、炎・水の2択から選択といったところ。環境のゴリラは炎が多いイメージだが、このゴリラは「相手の水タイプに安定して役割遂行する」という仕事も担っているため、テラスタルを使った後も弱点を突かれない水テラスを採用した。
技は、「ウッドハンマー・猫騙し」を確定として、交代で盤面を整える(天候やフィールドを奪い合う時に特に有効)「蜻蛉返り」と、持ち物を叩く&クレセリアなどに刺さる悪打点の「はたき落とす」を採用。「ドラムアタック」も面白そうだが、削りたい技がない(ウドハン抜くと火力なさすぎてダメ)ので見送り、「地団駄」はイーユイやヒードランに有効だが、それらは雨やガチグマで弱点を突きやすいため、なくてもいいと判断した。
存在意義は構築経緯で説明した通りだが、水テラスを上手く絡めて不利盤面でも強引に動かしながら解決していくことが多く感じた。例えば、「トルネ+イーユイ」の初手に対し、イーユイを猫騙しで止めながらパオジを動かすと、相手の霊テラスで透かされた時に初手から全滅してしまう。よって、パオジを守らせながら水テラス+叩きをイーユイに撃つことにより、木枯+熱風を等倍以下に抑えながら攻撃できる。(本当に霊テラだった場合イーユイ撃破)
ハバタクカミ
特性:こだいかっせい
性格:ひかえめ
持ち物:ブーストエナジー(C↑)
テラス:はがね
実数値:161(244)-54-102(212)-176(36+)-157(12)-156(4)
技:マジカルシャイン / シャドーボール / トリックルーム / まもる
調整:
B:陽気A252水ウーラオスの雫(1.2倍)水流連打を最低乱数切り耐え 6.2%
黒眼鏡陽気悪ウーラオスも同様
A特化鉢巻ランドロスの地団駄耐え
D:鋼テラス時、C特化ブーストハバタクカミのシャドボが高乱数2発 84.3% (GF回復込みで大体2耐え)
配分は場持ちの良さを意識してHBベースに、火力UPアイテムがないと相手に圧をかけられないため、最低限話になるラインを確保するために特攻が上がるブーストエナジーを持たせた。
テラスタイプは、ハバカミがよく対峙する相手のほとんどのメインウェポンのタイプを都合よく受けれる鋼。
このポケモンを確実に出す時は、追い風軸構築とガチトリル構築である。両者にトリルを返したり霊妖の範囲を活かして殴ったりするのが主な役割だ。これらの構築では、以下のような相手と戦うことになる。
[追い風]
[ガチトリル]
[その他スタンなど]
これらのタイプ上では不利ではないが弱点技や数値で押してくる相手に対し、相手が最初に選択するタイプの技はほとんど鋼で半減できる。ここで相手の想定を崩し、ダメージレースに優位に立ったり安全にトリルを決めることができる。
故に鋼テラスが最適なのである。
技は特に言うことがないが、立ち回りで気をつけていることは、「クローズドではトリルを決めて虚を突く、オープンではとにかく殴る」ことだ。このポケモンは最もシート提出の有無で取るべき行動が変わるので、当初の思惑通りにこれを徹底している。
ガチグマ
特性:こんじょう
性格:いじっぱり
持ち物:かえんだま
テラス:ゴースト
実数値:208(20)-190(100+)-143(140)-58-121(164)-81(84)
技:からげんき / ぶちかまし / まもる / じしん調整:
A:余りだけどみんなにミリ耐えされて泣いた
B:A特化パオジアンの氷柱落とし耐え
A特化水ウーラオスの水流連打を最大乱数切り耐え
D:C特化ハバタクカミの妖テラ眼鏡ムンフォを低乱数1発 25.0%
臆病C252テツノツツミのハイドロポンプを低乱数1発 18.7%
S:無振り60族抜き(ヌメルゴンまで抜けてればアド感覚)
このポケモンの耐久調整は完全に間違えた。上記の攻撃を喰らう状況が思ったほどないし、Aを削ったことにより全ポケモンにミリ耐えされ、それが敗因で負けた試合が多い。面倒くさがって配分を直さなかったのは、ガチグマに本当に申し訳なく思う。反面、Sラインはそこそこ上げておいて大正解だった。トリルの抑制効果を期待して採用しているポケモンだが、何も自分の素早さを落とす必要はない。Sに振ることにより、ほとんどのガチグマミラーとテツノカイナを抜いていて、先制でぶちかましをぶち込む動きが強力だ。相手視点だとガチグマの方がカイナより遅く見えているので、想定外を誘いやすい。
持ち物とテラスタイプは特筆することがないが、技に関しては「ぶちかまし」に触れたい。
主にカイナに強いという点で、ガチグマの地面タイプを評価している。しかし、浮いている味方が1体しかおらず、フィールドが撒かれることも多いため、地震では火力が見込めないことが多い。そのため、根性が発動してない初手だとしても、瞬間的に火力を出せるぶちかましも採用することで、パワー不足の解消を図っている。(なのに火力を落としすぎてぶちかましすら耐えられているのは本当にマヌケ)
選出・立ち回り
選出
[基本・対スタン]
() 又はその逆
困ったらこれ。大体プレイングで何とかなる。
[対スタンで明らかにパオカイから来そうな時
(初対面の相手)]
()
狙いは後述。
[対追い風アグロ]
()
パオゴリで凌ぎきれない時は不意打ちのトリル展開をするのが現実的。
[対ガチクレセトリル]
()
相手がウーラオスを上手く通してくると初めて負け筋が発生するレベル。ほぼ勝ち。
[対寿司系統]
()
去れ!!
キツすぎるので雨で威圧することで早めに片方引かせて合体してもらうしかない。
ヘイラッシャへのペリの暴風の回数を稼ぎ、ウェブタで倒してもらうと、ラッシャがものすごい反動を受けるので勝ちやすくなる。無視された場合はその分暴風が通るので、混乱ワンチャン狙い込みでアド。
(↑とはいえどうすれば勝てるか未だに分かっておらずノリと気合いで戦っている)
[対晴れ・イエアルマ]
(//)
*イエアルマ入りにはゴリラ確定
ハバカミを上手く駆使してマジシャで削るorトリルを返す立ち回りで盤面を有利に導く。
[対雨]
/(@1)
相手のイダイトウを倒せるポケモンで固めることで、構築の崩壊を極力防ぐ。不意打ち+その他の技の集中で完封することができるため、その状態を目指す。雨ミラーは、基本的に雨が降ってなければ構築のメンバーの相性で勝てる方に分がある。つまり、イトウやその他のポケモンに相性で勝っている限り、こちらから雨を降らせてやる必要はない。その方が有利だからだ。そのため、相手はペリッパーを出してくるのだが、私の知る限りペリを強く動かせる他人はほぼ存在しないため、十分に付け入る隙があった。
ここからは主要な立ち回りをいくつかまとめ、解説していく。
立ち回り
○草髪隠し
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対象:追い風軸
手順:
1.ゴリラ→トルネに蜻蛉(襷潰しや、トルネの横に猫騙し警戒で守られることをケア)→ガチグマ着地
ハバカミ→(大体鋼テラスを使って)トリル
2.4ターン使ってガチグマ+ハバカミ+ペリで攻め切る
トルネ+特殊アタッカーの選出を想定した戦術。クローズドルールにおいて、ハバカミのトリル展開が追い風軸に刺さることは先述したとおりだが、この初手からガチトリル路線で来られるとは(オープンだとしても)相手視点では思えない。実際に何度かオープンシートBO3の1本目で試したが、綺麗にはまっていた。
トリル蜻蛉でガチグマがノーリスクで綺麗に着地するため、そこから4ターンフル活用して攻めることができる。また、グラスフィールドにより徐々に回復できるのも、毎ターン火傷で消耗するガチグマにとってありがたい。
例えば初手に眼鏡と思われるハバカミやサーフゴーがトルネの横にいた場合、鋼テラスで耐性を変えながらトリルを張れば成功する。木枯嵐まで半減できる優れものだ。
相手は突然の出来事に置いてけぼりになり、当てもないまま4ターンのトリル空間を彷徨い続ける。異空間に攫われた子供のような有様は、さながら神隠しならぬ「髪隠し」のようだ。(羽撃く髪にかけて)
初見の相手にはほぼ決まるが、再戦時には裏のガチグマをイトウに変えて、「普通に殴る+雨展開」に持ち込むと相手の対処筋を更に裏切ることができる。
○疫災毒豹牙(エキサイトファング)
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対象:スタンや追い風軸など幅広く
手順:毒テラスパオジアンで攻撃+ウッドハンマー
パオジアンで突っ張れば対面勝ちできる場合にいきなり毒テラスを切ってぶっ放す技。とはいえ普通に相手を一撃で粉砕する気迫で殴るだけだ。追い風+弱点技で縛られているとパオジアンを突っ張らせることを躊躇ってしまうが、毒テラスにより格闘やフェアリーへの「抗体」を作ることで、その不安を解消しながら攻撃できる。
パオ×ゴリは対面性能の鬼。
○熊転(べあてん)
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対象:初手で来ることが予想されるパオカイ(初見の相手に限る)
手順:
1.パオジ守る+ガチグマで霊テラス地震→相手パオジの襷を割り、ノーマルカイリューのマルスケを潰す。
2.パオジ方向に聖剣・神速が来るため、パオジ→イトウ交代、ガチグマ方向の不意打ちを透かすためクマ→ペリ交代
これで全ケア&速やかに雨展開可能。
3.雨で制圧する。地震でアクジェ圏内まで削ったパオジを縛れているため、そのまま撃つか守る読みでカイリュー側に集中するか、場合によって選択。怖かったら素直にアクジェ。
初見の相手に対してはほとんど決まる対パオカイ戦術。パオジアンを前に放置もできず、かといってガチグマも削っておかないと次のターンに大ダメージを受けてしまうため、そもそも相手視点で行動選択が難しい。こちらは、その隙をついてカイリューの聖剣とけたぐりを透かせる霊テラスを切りながら、守る地震でパオカイ両者を削ってアドを稼いでいく。
次のターンは、パオクマとイトウの縦の補完が取れていることを利用して両交代を行い、有利盤面を維持していく。ここまでの完璧な流れで相手や第三者からは激ウマプレイに見えるだろうが、こちら視点では予定していた通りに動かしているだけなので、精神的負担もほぼない。
参考動画
8:23〜
不利な相手
7月終盤にかけて上位帯で数を増やしたポケモンたち。寿司は突破困難、イーユイ悪ウーラは技の一貫と火力がとんでもないことになっているため、相当頑張らないとパーティ崩壊して負け。ここら辺と戦うことをあまり想定していなかったので、増加してしまったのは終盤の勝率低下に大きく響いた。相手のイトウは確かに厳しいが、プレイングで何とかできる範疇ではある。
成績
旧型:テラスクエアbest4まで(別の構築でも抜けてるのでこれで抜けてる回数少なめ)
新型:ランクマダブルS8
最高成績2055・3位 (イケメン)
最終成績1886・247位(ザコ、ブス)
7/29あたりから悪霊に取り憑かれたように勝てなくなって撃沈。最高順位で放置していれば最後まで1桁(5〜7位程度)だったらしい。
突然勝てなくなる原因が分かっていないが、今後も起こる可能性を考えると、ポケパラ権がかかっている8月のランクマは、現実的なラインに留めて終盤4〜5位くらいまで来たら冷静に撤退しようと思う。
おわりに
敗因を正確に読み取るのが難しい時もあるが、今回は引き際を見誤ったことと、構築が環境の変化に左右されるレベルだったことが大きいのは分かる。
WCSでアラサー世代のVGC勢の方々とたくさん交流した。その人たちにほとんど共通してあるものは「具体的な目標を見据え、そこへ向けて自分の身の丈に合う取り組み方を模索する」というもので、ポケモン歴こそこちらの方が長いものの、人生経験の差からくる彼らの素晴らしい姿勢に感服し、自分に足りないところだと感じた。
確かに7月は少し無理をしていた気がするし、今月の目標である「ランクマ最終1桁を取ってポケパラ権を得る」ことを第一に、新たな構築や取り組み方を考えようと思う。
構築のクオリティや考え方への納得感は高いので、引き続き「対面勝てるグッドスタッフ雨パーティ」の模索を続けたい。
ここまで読んでいただきありがとうございました。構築記事の文量じゃないよなと毎回思いますが、私は小説だと思って書いています。今後も当ブログが好きな方は御一読いただけたらと思います。
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次回はペリッパーの単体解説記事でも書きたいと思います。(ニョロトノ内定による寝取られが発生する前に)